完結

愚者の闊歩

ヒューマンドラマ・日常系

更新日:2020年7月22日

愚者の闊歩

第1章







 僕には何も残っちゃいなかった。夢も希望も愛する人も。

 六畳一間。僕は親戚に借りたその一室でただひたすらに横になっていた。夏だというのに敷物もないフローリングの上はあまりに冷たくて、僕の体温と床がまるで一体化しているような錯覚を覚える。

 ネオンが煌めき、揺らめく人の群れに憧れて十八の頃の僕は夢を抱いてこの地に足を踏み入れた。家族の反対を押し切って、今を時めく時代の人に僕にもなれるのだと、若かりしあの頃、自分自身の可能性を信じて無謀にも芸事の世界へ飛び込んだ。

 夢を追いかけて数年は楽しいものだった。同じ目標を目指す仲間たちと、苦悩し笑い合い、お金がなくとも好きという情熱はやはり僕の心を満たしてくれた。…

もくじ (1章)

修正履歴
  • 第1章 第1章

    第1章

    2020年7月22日

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ゆめ、やぶれて。君の行く末をただ、

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