YOAKEまでに
第1章
■第一章 揺らめく光の中で
「竹本くん……?」
がらんとした通路で紗良先輩に声をかけられた時、僕は驚きのあまり声が出せなかった。音楽ライブ会場のスタッフ用裏通路で、まさか高校時代の先輩に会うなんて想像すらしていなかった。
「竹本くんだよね? 覚えてる? 高校の時の」
「……あ、はい。紗良先輩も上京していたんですね」
「うん。カメラ撮影の会社に就職して、今日はカメラクルー!」
彼女の右手には一眼レフカメラがあった。なるほど。それにしても、相変わらず元気そうだ。高校の時もいつも元気だった。いつも……と言っても、僕と紗良先輩は片手で数えるほどしか会話したことがない。高2の時、下駄箱近くに落ちていたハンカチに紗良先輩…
もくじ (1章)
修正履歴作品情報
夜明けまでの行動で全てが変わる。二人の先にあるものは……
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