完結

いつか

恋愛

更新日:2020年8月19日

いつか

第1章


 「いつか、また逢えたらさ」

 あれは、卒業式の日。夕暮れの誰もいない教室。

 「その時は、ずっと一緒にいられるのかな。私たち」

 募りに募った想いをぶつけた僕を、君が振った後。
 そう言った君に射した夕陽は、少しだけ柔らかかった。今でも、君だけにピントが合った写真みたいに、脳裏に鮮やかに焼き付いている。

 あれから一年以上経った今も、決して忘れることがない。
 いや、それに限らず、君に関わる記憶は忘れたくても忘れられないんだろう。



 「今日は涼しいな」

 九月下旬、晴天。
 窓から流れてくる穏やかな風を感じて、一人呟いた。

 遅くなった梅雨明けの分を取り戻すかのように、猛威を奮った酷暑も、今では微かにその残痕を感じさせるだけだ。

もくじ (1章)

修正履歴
  • 第1章 第1章

    第1章

    2020年8月19日

作品情報

今この瞬間が、この眼に映る君が、写真になったら。そしたら、ずっと見ていられるのに。

物語へのリアクション

お気に入り

2

読書時間

12分

コメント

6

リアクション

54

関連作品

このページの内容について報告する