声がタイプな殺し屋
第1章
後頭部に当たる冷たい感触は、まるで接着剤で付けられたかの如く微動だにしなかった。
「最後に言い残した言葉はあるか?」
落ち着いた男の声が、私の耳に向かって囁きかける。
言い残した言葉?
それを言った所でどうなるっていうの。
だって、この男は……。
「なぜ私を殺すの? こんな無害な人間なのに……」
「オッケー。それが最後の言葉だな」
耳のすぐ後ろからカチャリと音がした。
「待って待って! 今のは最後の言葉じゃなくて質問!」
「あっ、そう。そっちか」
ったく、油断も隙もありゃしない!
って言うかマジでなんなの!?
私はただ、この小さなレンタルオフィスでマジメに仕事してただけなのに。
音も無く部屋に入ってきたこの男は、突然私の後…
もくじ (1章)
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