郵便島のシナー
第1章 プロローグ
アイリスの花が咲く庭で、君と二人で暮らす。
いつかは三人、四人と家族が増えて、皆で星空を見るのも素敵だ。
そんな日々が来ることを、ずっと、夢に見ている。
震える指先を無理やり動かしながら、紙に文字を記していく。
これは、僕が初めて手紙を書くまでの物語だーー
* * *
朝、天井の隙間から漏れた光で起きたなら晴れ。
水滴が顔に落ちて起きたなら雨。
今日の目覚めは心地よかった。従って晴れである。
ベッドの上で背伸びしたシナーは、そろそろ、雨が来る前に天井を補強しなきゃなぁ、何てことを考えながら起き上がる。
「おはよう。ワタリガラスさん」
小屋の前に立つ木の枝にいる鳥に声をかける。
ちらりとこちらを見てくるが、返事はない…
もくじ (10章)
修正履歴作品情報
どこかから手紙が流れ着く不思議な島。
この世のどこかにある"郵便島"で、シナーは島にたどり着いた手紙をこっそり読み、また海に返すことを楽しみに暮らしている。
ある日、ある少女からの手紙を読み温かい思いを覚えたシナーは、それをきっかけに過去と未来に触れていく。
・・・
monogataryの、章ごとに雰囲気を変えて投稿できる特性に合わせた作品を書いてみたいと思っていました。
シナーと一緒に誰かの手紙を読み、散りばめられた謎と答えから、真実に辿り着いてください。
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