きらめく海は、誰の瞳にも美しく映る訳ではない。しかし、きれいに見えるようになりたいとは思う。
第1章 歌を歌う。
阿部(三木)砂月は、毎週木曜日の夜7時から新宿の小田急デパートの前で歌っている。
それ以外の平日は、いきものがかりの聖地である小田急本厚木駅前でギターを抱え、一人で歌っている。
厚木では、声量があるため、マイクを使わずに歌う。
歌う曲は全部オリジナルだ。
テーマは、父、母、妹、おじいちゃん、おばあちゃん、そして家族である。
砂月は、10歳の時に地元である岩手県の陸前高田で、東日本大震災に遭った。
津波で、父、母、そして当時4歳の妹をいっぺんに亡くした。
家も、家族も、思い出も全部海に流された。
残ったのは、とうちゃんが自分の漁船で弾いてたギター。
とうちゃんが高校生の時にアルバイトして買ったフォークギター。
…
もくじ (22章)
作品情報
阿部砂月は、19歳。東日本大震災の津波で両親と妹を亡くした。
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