こころ紡ぐなみだ繋ぐ
第1章
私は無機質で真っ白の中にいた。消毒液の匂いと、エアコンの空気の混ざった独特の匂いが鼻に抜ける。ベッドを囲むクリーム色のカーテンは揺れることもなくじっと吊るされている。窓のカーテンの隙間からはまだ光は見えない。
私はゆっくりと瞼を閉じる。部屋には泣き声が響く。それは時に小鳥のように静かで、時にカラスのように甲高い声で。人生22年生きてきて私には今、絶望しかなかった。
「私は役に立たない、必要のない人間」
日々、上司から「それくらいのこともできないのか役立たず」「代わりなんていくらでもいるんだから一生懸命やれ」と言われ続けていた。
学生の頃はテストで学年10位には入るほどの好成績だった。だが、社会に出て…
もくじ (1章)
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