さくら舞う旋律
第1章 1
雨上がりの街を歩いている。
空は徐々に赤く染まって来た。
放課後の“声”探し。
私は幼い頃からの夢を叶えるため、今日も耳を澄ましながら歩を進めていた。
相棒が欲しい。
共にあの場所に立つ、素敵な相棒が。
それが叶う日を夢みて、耳を澄ます。
いつもの帰り道である細い路地に入ろうとして、ふと立ち止まった。
今日は別の道を通ってみようと体の向きを変える。
そんな小さな好奇心が、大きな出会いをもたらすとは知らずに。
普段は通らない道を歩くと、生まれ変わったような気分になる。
しかし、そんな気分を噛み締める今も、私は耳を澄ましている。
人々の話し声、車の走行音、靴と地面が触れ合う音。
どれも私の耳を楽しませてくれるが、探し物は…
もくじ (8章)
作品情報
そう――私が求めていたのは、この“声”だ。
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