星と涙に亡霊が
第1章
「私のこと、忘れないでね」
「約束だよ」
「絶対だからね」
星を見上げる度、こんな言葉が頭の中に響き渡る。
うるさいくらいに、何度も何度も繰り返される。
知らない声。無邪気に、でもどこか悲しそうなそんな声との付き合いは、もうかれこれ10年になる。
大学2年生になって尚、この声には迷惑をしている。
原因はきっと、10年前の事故だろう。
家に帰る途中、車に轢き逃げされ病院に搬送。
それからしばらくして、星を見上げると、この声が聞こえるようになった。
「私のこと、忘れないでね」
「約束だよ」
「絶対だからね」
両親に聞いても、分からないと言われ、結局何も分からないまま、10年の月日が経ってしまった。
今日も、星を見上げる…
もくじ (1章)
修正履歴作品情報
星を見上げる度、僕は思う。
君は誰で、僕はなぜ泣き、何を忘れているのか。
答えは分からない。
分かるのは、君がずっと僕の側にいたということ。
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