在りし日と氷
第1章
幼少期の夏といえば、汗だくで家に帰り冷蔵庫に冷やしているお茶に氷を入れて一気に飲み干し、その冷たさに暑さの中に清涼感を感じるものであった。
最近、毎日のように続く真夏日の真昼間に珍しく外出した際にそんな事を思い出した私は帰宅後、あの頃と同じように製氷室から氷を取り出し、それを入れたコップ一杯のお茶を飲み干した。一瞬で飲み切ったあと真っ先に思ったことといえば、『これ氷無駄だな』ということだった。そう、この数秒で空になったコップには溶けだす暇もなかった氷が製氷室から取り出した時と同じ大きさで残っているのだ。よくよく飲み干したお茶の冷たさを思い出しても、別に氷を入れて冷たくなったとも思えない。氷を入…
もくじ (1章)
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