四点セットの失恋くらい
第1章
「綿貫か…。そろそろ塾閉めるけど、まだ課題粘ってるのか?」
『先生…。うわっ、すみません!もうこんな時間。』
広げたプリントと格闘する綿貫咲に、様子を見に来た塾講師・秋月新が声をかける。少し前まで聞こえていた喧騒はすっかりと静まり、秋月先生の声だけがそこにあった。
「親御さん、待たせてるんじゃないのか?」
『いえ。今日両親は親戚の家に行っていて、兄は彼女と旅行中なんです。なので、集中できるしもう少しここにいさせてもらおうと思ってたら…つい。』
「そうなのか。でも、娘を一人にして余計心配されてるだろ。飯は?帰りとかどうするんだ?」
『ふふ、先生。私、もう高三ですよ?先生から見たら子どもかもしれませんが、ご…
もくじ (1章)
作品情報
作品紹介文はありません。
物語へのリアクション
お気に入り
3読書時間
7分コメント
2リアクション
20