星の声に肩を貸して
第1章 1
「あー だめだ、かず。今日は目の日だ」
「おぉ、そうか。なんとかフレックスで早めに上がらしてもらわ」
「ごめんよ」
「あいよ」
パンを焼くのと並行して、慣れた手付きで余り物と申し訳程度の卵焼きを弁当箱に詰めて、余った卵を用いてスクランブルエッグを作る。
義母にはこの間もはやオムレツじゃないかと言われたけれど、直子がケチャップ好きだから、我が家ではケチャップも添えている。
「朝ごはんできたよ」
声をかけながら彼女を起こしに行く。抱き抱えて寝室からリビングへ。
「ありがとう」
パンは僕がゆっくりちぎって手渡しする。スクランブルエッグはスプーンにすくってあげる。慣れたもので、そんなに声をかけなくてもうまいこと直子に食…
もくじ (7章)
作品情報
僕の妻はちょっとだけ変わった病気を持っている。
病気というかもはや体質なのかもしれない。
そんな妻と僕の闘病日記。
ではなくて、どこにでもいる普通の夫婦のやりとり。
世界がちょっと優しくなることを願いながら。
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