ベランダのおばけ。
第1章
「袋一枚三円って高くねー? 駄菓子買えちゃうじゃん」
夏も終わり、昼間の熱も秋の気配に溶け消えて、ほんの少し肌寒さも感じる。
そんな中、街灯がうっすらと照らす夜道を、缶ビールを煽りながら帰る。
至って豪快な飲みっぷりだが、ハイヒールの鳴らす音に乱れは見られない。
がさり、と音を立てる、左腕に引っ掛けたビニール袋には缶ビールが二本。さらに、おつまみにレジのところに並べられていた焼き鳥が五本入っている。
四階建てのアパートの三階。階段を一段飛ばしで駆け上がると、目の前の部屋に鍵を挿す。ぐるっと右に回すと、昔姪っ子に貰った、ご当地キャラのキーホルダーが楽しげに揺れた。
「たーだいまー」
引き抜いた鍵をショル…
もくじ (1章)
修正履歴作品情報
ビール片手に帰宅するOLと、ある日ベランダに現れた幽霊。
何故彼が現れたのか。
彼の目的は何だろうか。
「お姉さんが協力してくれたら教えるよ」
心温まる、現代ファンタジーです。
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