夕焼けのペンギン
第1章
誰もいない車両は、やけに静かで耳が寂しい。だから私は、音楽アプリを開いて、プレイリスト検索欄に「失恋」と打ち込んだ。それ以上、指は進まなかった。
こんな日は、何を聴こうか。
こんな日は、ラジオでも聴いてみよう。何故かそう思った私は、今まで二、三回しか開いたことのなかったラジオアプリのアイコンをタップする。すると、自動で番組が再生された。
「東京の天気です。今降り続いている雨ですが、17時頃には降り止み、今晩から明日にかけて晴れるでしょう」
特に聴きたい番組がある訳でもなかったので、私はそのまま天気予報を聴いていた。今夜の月は、ストロベリームーンとかいう特別な満月らしい。
電車が止まった。次の駅に着いた…
もくじ (1章)
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電車とラジオと、あの日と今と。
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