bye bye sweet rainy memory
第1章
「おまえ、どこまでついてくるんだよ」
ゆっくりと自転車をこぎながら、君が私を見て言った。
「どこまで行こうと私の勝手じゃん」
言葉ほど君が迷惑がっていないのをいいことに、私はとことこと君の後ろをついていく。
町の真ん中を流れる川に架かる橋のちょうど真ん中あたりで、冷たい風が吹き始め、やがて優しい雨がしとしとと降り出した。
川のせせらぎ、夏の始まり、夕方の疎雨。
西の空にあった入道雲は、あっという間に大きくなって、頭の上をどんよりと覆いつくす。雨脚はぱらぱらと、青春真っ只中の季節の巡りくらいの速さで強くなる。
「まじかよ、さっきまで晴れてたのに」
黒革の通学鞄を傘の代わりに頭に掲げ、ペダルの回転を上げ始めた君…
もくじ (1章)
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