高貴なる自虐
第1章
扉を開けるとそこは、私が中心の、私が主役の世界。
でも別に、そんな大層な扉じゃないの。
魔法がかかる訳でもなく、異世界に通じる訳でもない。
取っ手に手をかけ押すと、カランコロンと、出迎えのチャイムと共に聞こえる耳に馴染んだ言葉。
「いらっしゃいませ、お一人様ですか?」
「いえ、先に友人が来ているので」
「かしこまりました、お冷お持ちしますので席でお待ち下さい」
「はい、有難うございます」
「........今の人、凄い綺麗だったね。モデルさんかしら」
そう、例えばこの小さな地元の喫茶店だって、私が入れば私が主役の舞台になるの。
今の容姿に対する小声の称賛だって、勿論聞こえてる。
地獄耳な訳じゃないの、ただ余りに…
もくじ (1章)
作品情報
容姿外見のヒエラルキーなんて、信用ならないわ。
物語へのリアクション
お気に入り
1読書時間
10分コメント
1リアクション
9