追憶の欠片を拾い集めて
第1章 プロローグ
スマホから軽快な音楽が流れて、俺は朝を感じた。
午前5時。今日は友達がいない俺にしては珍しく友達の予定がある。
言い方は矛盾しているけれど、どちらも事実だ。
俺には友達はいない。せっかく大学生になったのにも関わらず、飲み会にも参加しないし、サークルにも所属していないのだから。
でも今日は友達の予定がある。
そのために俺は1年前の今日以外ずっと休んでいない大学を休み、いつもより早起きしていた。
俺は、随分前からカレンダーに赤いペンで丸がついていたこの日を、ずっと楽しみにしていた。
———いや、楽しみにしていた、という表現は可笑しいな。
俺はゆっくりとベッドから起きて、数秒間体を伸ばして、気合を入れる。1年ぶり…
もくじ (7章)
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追憶の欠片を拾い集めに、僕は君に会いに行く。
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