図書室、カウンター、隣の君
第1章 前編
毎週木曜日、午後5時15分。
その時間が待ち遠しい。
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図書室はいつも静かだ。静かでない時を数える方が難しいくらいだ。聞こえる音は、外から響いてくる吹奏楽部の金管の音色と、ページとページが擦れる紙の音。それくらい。それだけの音が心地よくて、志保は好きだった。
「やっぱり、今日も綾垣さんが先だ」
ガラリと志保が座っている図書室のカウンターの横の扉が開き、声がかけられる。
「先輩、お疲れ様です」
志保はその声の主、高瀬悠斗に頭を下げる。
毎週木曜日は志保と悠斗が図書当番の日である。図書当番は、図書委員会に入っている生徒が交代で当番をする…
もくじ (4章)
作品情報
毎週木曜日の夕方、その日がいつも待ち遠しい。
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