王の条件
第1章 Ⅰ
私は鼠(ねずみ)です。
私の一族は、代々このお城に住みついております。
ここは食料も豊富で、
寒い日には暖炉に火がくべられ、
とても住みやすい場所です。
しかし、人間に見つかったら最後、王の家来たちが血眼で私たちを探し回り、
叩きのめすまでやめないので、
絶対に見つかってはなりません。
昔、少しだけ動きが遅い鼠がおりまして、
あれはまぁ、なんともかわいそうなことでした。
倉庫にあった果物を食べているところを見つかって、それから帰ってくることはありませんでした。
なので私たちは寝床を慎重に選びました。
絶対に見つからない場所。
それは意外や意外、
王の部屋の屋根裏なのです。
限られた者しか、掃除できない場所。
信頼された家…
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