はす向いから、まっすぐな恋をした。
第1章
第1章 音信不通
生(せい)がLINEで桜にブロックされていることに気づいたのは、最後に会ってから1週間後くらい、12月上旬のことだった。
数回送ったLINEが全く既読にならず、電話もかけても応答がないなんて、今まで絶対にありえなかった。
昨日も家にいない様子だったので、決してやりたくはなかったものの、ドクドクと速くなる心臓の鼓動を落ち着かせながら、ブロックされているのかスマホで念のため確認してみたのだった。
あまりの驚きで手から滑り落ちてしまったスマホを拾い、生はちょうどはす向いにある桜の家を窓から覗く。
すると、2階にある桜の部屋だけが、まるで身を隠しているかのようにぼんやりと明かりがついていた。
…
もくじ (1章)
修正履歴作品情報
大学3年生の12月。生は突然、はす向かいに住む彼女の桜と音信不通になる。先週も仲良くデートをしていたはずなのに。桜に何があったのか。『はす向かい』であることが、もどかしく、心をかき乱す。
社会と恋愛の狭間を描く、ちょっとビターなラブストーリー。
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