指先
第1章
金曜の夜。
仕事終わり。
勇気を出してあの人にメッセージを送る。
既読がつく。
ドキドキして返信を待つ。
遠く離れているけど
近くにいるように感じたいから
一生懸命話題を探す。
声が聞きたい。
そう思わなくもない。
でも彼が打つ一文字一文字が
指先で繋がっているようで
ちょっと嬉しい。
彼が一文字一文字
あたしのために打ってくれる文字すら
愛おしい。
画面に並ぶ文字は
全てあたしのためのもの。
会話が終わった真夜中
彼の言葉を見返して、ひとりニヤける。
『じゃあ、来週ね』
その言葉をそっと指でなぞる。
何を着ていこう。
どこへ行こう。
…今夜は眠れないな。
もくじ (1章)
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