三番線メランコリック
第1章
絶不調とは、このことか。
雨。風邪。頭痛。遅延。隣には、石川。
ほら、悪魔のロイヤルストレートフラッシュだ。
「強風の影響により、線路内に障害物を確認したため、10分ほど────」
2回目の車内アナウンス。
ため息が思わずこぼれる。あと10分とか、最悪だ。
三番線を7時40分に出発した電車内は満席。
けれどここはしがない田舎町の私鉄線。
大都会のように、肩が触れ合うほどの通勤ラッシュなどは無い。人口密度丁度に設計されたかのような座席に、パズル然りと隙間なく座る乗客。
その乗客を、ただじっと無言で眺めるわたし。
隣に座る同じクラスの石川は、今日も氷のように冷たい目を文庫本に向けている。
「そ、それ……面白い?」…
もくじ (1章)
作品情報
たった10分。されど10分。
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