終わりじゃない
第1章
窓を開けると、心地よく暖かな、春の風が吹いていた。
学部生から大学院まで6年も暮らしていたと言うのに、段ボールは3つしかなくて、この家で過ごしていた時間より、外で過ごしていた時間の方が長かったんだな、と、思った。思えば学校とバイトの往復だった。けど、悪くない学生生活だったと思う。こんな、暖かくて柔らかい空気とも、今日でお別れかと、少し感傷的な気分になった。
私は明日、この街を旅立つ。
携帯が鳴った。
開くと、
『明日、何時?』
あいつからのメッセージがあった。
私が、4年ほど前当時付き合っていた彼の浮気が発覚し、相手を問いただして驚愕した。相手はあいつが当時付き合っていた彼女。W不倫ならぬW浮気。しかも、…
もくじ (1章)
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大丈夫。いつか、この街で。
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