記憶の森
第1章 1.ある夜の記憶
「僕が殺したのだ・・・」
夜になれば、この辺りは街灯もなく、月明かりだけが頼りなのである。
こんな山奥に、家など殆どない。
僕の家とお隣さんの家がポツンとあるだけである。
半年前に静かなこの場所で、僕は妻の夏生と暮らす事になった。
夏生の為に。
僕はさっきからずっと、庭に置いて有る、シーツに包まれた死体についてどうしたものかと、考えている。
朝まで此のままとはいかないし・・・いくら変わり者のお隣さんでも、バレるに違いない。
シーツの上からでも、この滑らかな曲線で一体これが何なのかなんて直ぐにわかってしまうだろう。
僕は、庭に穴を掘る事にした。
が、園芸用の小さなスコップが庭にあるだけである。此れでは朝になってし…
もくじ (4章)
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