欲情を迂回して友情より深い

ヒューマンドラマ・日常系

更新日:2020年10月23日

欲情を迂回して友情より深い

第1章

助手席で目覚めるとフロントガラスの向こうに冬の空が広がっていた。
運転席に高史の姿はない。

「高史?」

ドアを開けたとたんに波音に包まれる。
駐車場の弱いオレンジ色の灯りを頼りに車を降りた。

また、この場所に来たんだ。

手が凍えてしまう前に羽織ったダウンコートのファスナーを急いで上げた。
風が強い。
ほどいていた髪があおられて視界をさえぎる。
あわてて手首にはめていたゴムで髪を一つに束ねた。

「起きたか」

車の後ろをあけて高史は、荷物を降ろしている。
二人で入れる大きな赤い寝袋。
今夜、わたしたちの暖かい子宮になる。

「ごめん。助手席で寝ちゃって」
「はいはい。早く手伝えよ」
笑いながら怒る高史の声は聞きなれたいつもの調子…

もくじ (1章)

  • 第1章 第1章

    第1章

    2020年10月23日

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