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次は貴方の星が予言するかも? 完結

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「次は貴方の苗字が活躍するかも?」のスピンオフ第2弾
イニシャルスキル『アストロジー』の使い手「安倍」が活躍します。
彼の能力の詳細が明らかに?
新規でもある程度分かるようにしました。

次は貴方の苗字が活躍するかも? 本編はこちら👇 (コピペしてください)
https://monogatary.com/story_view/749

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とある県のとある住宅街。

一般的な一軒家に住む、ごく普通の一家。

その家の表札に書かれた苗字は『安倍』である。

そんなありふれた家庭で育ったのが、聖名高校の男子生徒である安倍だ。

彼はこれと言った才能もなく、天体観測が趣味のごく普通の男子高校生。

しかし、彼には隠された特殊能力がある。

イニシャルスキル発動! 『アストロジー』

『安倍』と言えば、有名なのは陰陽道の安倍晴明ではないだろうか。現代では呪術や式神などの幻想性のある話ばかりが人々の興味を引いているが、かつては自然を観察してその法則性を見極め、予言や占いのような役割を果たした。男子高校生の安倍が昔から興味があったのは星空だった。そんな彼が星座やそれに連なる物語、そして星占いを知ることとなったのはおかしい話ではない。

そんな安倍はいつしか特殊能力として、星詠みに確信を持つときが訪れる能力を得た。

その特殊能力を得た時、彼はとても舞い上がり黒歴史を作ってしまったが、根が常識人だっただけに早々に元に戻った。

そして現在、冷静になるのが早くなったもう一つの原因が、目下の悩みの種であった。

「今日もダメか………物欲センサーとか働いてるんじゃない?」

彼の悩み、それは彼のイニシャルスキルの発動条件がはっきりしていないことである。

今も冬の澄み切った星空を見ながら星詠みを行ったが、出てきた答えにピンとこなかった。

こういう時はイニシャルスキルが不発だったということ。

彼が記録を付けた結果、確信を得た時の的中率は例外を除きほぼ100%

それに対して、不発時に占いが当たったのは50%

「自分のことになると途端に下がるんだよね」

彼が占った内容は「今月中に異性と仲良くなれるか?」

今週中でないあたりに彼の悟り具合が見える。

今年中にしていないだけ思い切った方なのだ。

物欲と言っていいのかは微妙だが、彼の欲に反応しているのではないかというのが最近の予想だ。

「それに比べてあいつはいいなぁ」

あいつとは、安倍の親友の佐藤のことである。

今日も文化祭に向けたクラスの出し物を決めるときに、佐藤は自身のイニシャルスキルをフル活用していた。

イニシャルスキルは万能ではないことから、彼の思惑通りになったのは彼の手腕もあったのだろうが………。

「やっぱりずるいって。なんで俺の能力だけ任意で発動できないんだろう」

聞こえてくる声では、他の人は制限を除いて任意発動するらしい。

特に納得いかないのが、過去に起こったあの大事件では何度もイニシャルスキルが発動したことだ。

あの時はバンバン確信をもって星詠みできたのに、最近は碌に役に立ってない。

「命の危機になれば使えるのかな? いや、それなら諦めるけど」

冷たい風が寝間着の隙間を通り抜け、早急にベランダから撤退する安倍。

布団にもぐりこんだ彼は次第に暖かくなっていく心地よさに意識を沈めた。

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  • 誤字、脱字の修正をおこないました。(2018/02/11)

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とじる

賑やかな教室の一角で弁当をつつきながら、2人の男子生徒が雑談をしていた。

「なぁ、安倍。小耳に挟んだのだけどさ……」

「なにを?」

「お前、街の陰陽師になったんだって?」

「ん? なんだって? もう一度言ってくれないか」

「だから、リアル陰陽師目指してるんだって?」

「はぁ?!」

安倍は理解できなかった。

一体何がどうしたらそんな話が生まれるのか。

「誰がそんな話を?」

「なんか、工藤が話してたんだけど、あいつの家の近所のおじさんがお前に占いで助けてもらったって」

「おじさん? あ、もしかしてあの時の?」

~~~

一月ほど前の出来事。

たまたまバスを利用していた時、混雑する隣の席に座って来たおじさんがいた。

「どうするべきか………いやでも………よしっ!………でもなぁ………」

なにやらとんでもなく悩んでいる様子だった。

自分が独り言を呟いていることすら気付いていない。

席が隣り合っただけの見知らぬおっさん、普段なら一言も話さずにすれ違うだけのはず。

しかしこの時、何の気まぐれか安倍はおじさんに話しかけた。

「あのぉ、何かお悩みですか?」

ハッとした表情を浮かべるおじさんはようやく安倍の存在に気づいた。

「いや、あはは、口に出てましたか」

「はい、それはもう」

「うむぅ‥……お恥ずかしい限りで。でも、これも何かの縁だ。恥ずかしついでに聞いてくれるかい?」

彼が語る悩みは、要約すれば妻が不貞をしているか、いないかだった。

「最近妻と話すと、私の知らない男のことがよく話題に上ってね。なにやら楽しそうで、服や化粧も少しずつ変わっている気がするし。疑いだしたらきりがない。君は妻が浮気をしていると思うかい?」

安倍としては「彼女すらできたことのない俺に聞かれても困る」と答えたかったが、自分から聞いてしまった手前全く役に立たないというのも気が引ける。

「う~ん。そういう経験がないので何とも……」

「それもそうだな、おかしなことを聞いてしまった。ははは、今の話は忘「ただ……」

誰かに相談したくて堪らなかった男性としては聞いてもらっただけでも気持ちが楽になった。

だが、安倍が遮った瞬間、目にどこか期待の色が窺える。

「俺、星占いに凝ってまして。気休めかもしれませんけど、簡単に占ってみましょうか?」

「占いか……じゃあ頼んでみようかな」

期待したものとは違ったようで、少し悪いことをしたかなと思いつつ、安倍はバスの窓から外を見る。

日が暮れて暗い中を帰宅途中の人がせかせかと歩いていた。

バスは住宅街を走っており、街灯や住宅から漏れる光以外は星を妨げるものはない。

イニシャルスキル発動! 『アストロジー』

(ふむ、東のあの星が……あっちの1等星もか……いやまて、エウロパがあそこに見えるぞ)

彼の星詠みは星座占いのような簡単なものではない。

彼の自宅にあった古めかしい本に書かれた複雑な星の組み合わせからそれぞれの可能性を探り、時に具体的なまでの答えを出す。

そんな膨大な知識を覚えられたのも、彼の趣味に対する意欲が為せる業。

彼がイニシャルスキルを得たのもおかしくはない。

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とじる

そして、彼は天候や生活の照明が邪魔しているせいで見える星が増えたり減ったりしていると考えていたが、それは違う。

彼はイニシャルスキルがきちんと発動した時、生まれながら人よりも星を見つける能力が高いにもかかわらず、更に視力的に考えて異常なまでの観測能力を得る。

例えば、普通エウロパは双眼鏡で見るものであって、住宅街をバスに乗りながら窓越しに観測するものではない。

彼は一緒に星を見るような相手がおらず、その異常性に気づいたことがなかった。

その結果、答えに確信が得られたり得られなかったりする。

そんなことは梅雨知らず、彼は悩めるおっさんに結果を告げる。

「随分長いこと外を見ていたけれど、どうだった?」

「あくまで占いですが、奥さんは浮気なんかしてませんよ」

根拠もない唯の占いにもかかわらず、おじさんは安堵した。

たとえ気休めでも、求めている言葉というのはたった一つなのだから。

「アドバイスするなら、今度の休みにでもデートしてみてはいかがでしょう? その時に、奥さんの方から何か話してくれるんじゃないでしょうか」

「あ、あぁ。久しぶりにそうするとしようかな。ところで……『小道通り前~小道通り前~お降りの方はいませんか』」

「あっ! 乗り過ごした! それじゃあ奥さんとお幸せに」

「待ってくれ!」

おじさんの言葉は届かず、人を押しのけて外に出た安倍は走って自宅へと向かった。

「あいつ必ず人の部屋漁るからな。大人しく待っててくれよ、佐藤」

~~~

「やっぱり事実だったか」

「まぁそんなこともあったね。でも、あの時は滅茶苦茶困ったアピールされて仕方なく」

「工藤曰く、そのおじさんはお前のアドバイスに従ってデートをしたらおじさんの為に自分磨きをしていたんだと。話題の男はブティックの店員で、女性の気持ちを理解してくれて仲良くなったとか何とか」

「あぁ、やっぱり。その時の占いは確信があったね。平穏と愛情と相思を示す星の並びだったから、話すきっかけを用意すれば誤解も解けると思ったんだよ」

「ほかにも聞いてるぞ。2年くらい前におばあさんを助けたんだって?」

「2年前? 何かあったかな?」

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とじる

2年前 

たまたま駅前を歩いていた安倍は、辺りを見回し困った様子のおばあさんを見かけた。

「どうかされました?」

「アンちゃん、ここらで一番大きな喫茶店って知らねぇか? 息子が倒れたって聞いて大慌てでこっちさ来たんだけども、待ち合わせ場所がわかねぇで困ってんだ」

おばあさんは田舎から急いで上京してきた。

1人暮らしの息子が熱で倒れたという知らせを受けたのだ。

息子の知り合いが家まで案内してくれるというので待ち合わせ場所に向かおうとしていたのだが、その待ち合わせ場所が分からず迷子となっていた。

そんな事を聞いては放置できないのが安倍である。

「そこなら知ってます。案内しますよ」

「こりゃあご親切にどうも。助かったぁ」

イニシャルスキル発動! 『アストロジー』

何も、安倍は目的地までの案内だけが自分のすべきことだとは思っていない。

最近よく聞くご老人を騙して金を掠め取る詐欺ではないかと疑った安倍は、早速自身の能力を利用した。

しかし……

「急がば回れって感じかな?」

彼が確信をもって得られた答えは、直線は凶兆を、遠回りが吉を示す。

なんだかよく分からないが、詐欺だから行かない方が良いという答えではなかったので、安倍は安心した。

「息子さんも心配ですし、さっそく行きましょうか。こちらです」

「はぁいはい、今行きますよぉ」

一番大きい喫茶店というと、恐らく駅前の有名な純喫茶だろう。

そのお店自体はおばあさんと会った時から見えていたのだが、あえて駅を一周してから着くように歩く。

「また右かいね?」

「え、えぇ、そうですよ。もう少し歩きます」

「駅の近くさ聞いてたけんども嘘だったぁ。意外と遠いなぁ」

歩みの遅いおばあさんに合わせてゆっくりと進む安倍。

疑いの言葉に騙しているようで罪悪感を抱いたが、確信を得たのだからしょうがない。

きっと遠回りすれば何か良いことがあるのだろうと自分のイニシャルスキルを信じて進むのみ。

「ここが目的地ですよ」

「あんれ? さっきいたの場所と同じでねぇか」

「え、そんなことないですよ。この辺りはどこも似た景色ですから」

遠回りする理由が説明できず先ほどから嘘をつき続けてきたが、おばあさんには何か感づかれたようだ。

「あんた、嘘ついてるねぇ。年寄りだと思って馬鹿にしてからに」

「そ、それは誤解です」

「田舎に住んでるとねぇ、裏山さ山菜取りに行くんだぁ。方角分かんねぇ奴はすーぐ迷うさ。こんの歳まで山さ居れば自分の向かってる方向くらい分かるでな」

「いや、あの。さっきの道じゃないと凶兆が」

「親切に教えてくれたと思ったら、ばあさん騙して裏で笑うたぁ都会は怖いねぇ」

碌に弁解も出来ぬまま、フンっと鼻を鳴らしたおばあさんが店の中に入って行ってしまった。

「君、今は人がよく通るからここを動いてくれないか」

「あ、すみません」

おばあさんの勢いに飲まれていた安倍は店を出てきたスーツの男性に話しかけられて再起動し、トボトボと家に帰るのだった。

「俺、絶対に良いことしたはずなんだけどなぁ」

釈然としない気持ちを抱えながら。

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とじる

「って出来事があったとか」

「ねぇ、なんで俺すら忘れている出来事を俺の心情すら交えて語れるの?」

「いや、全部工藤から聞いた話。心情は俺が追加した」

「そっか………」

なんだか聞くだけ無駄な気がしてきた安倍。

すると気になるのは先ほどのおじさんのように、おばあさんがその後どうなったかだ。

「なんでも、待っているであろう息子さんの知り合いを探したけど見つからなかったらしい。住所は知ってるから、交番とか利用しつつ1人で息子の家に向かったんだと。そしたら、元気そうな息子が玄関で出迎えたってさ。おかしいと思ったおばあさんが家に帰ったら、警察署から『老人をターゲットにした詐欺グループを検挙した際、被害者リストに貴女の連絡先が載っていました。』って電話が入ったんだ。つまり、丁度遠回りしている最中に詐欺グループの検挙計画が実行されたらしい。苦しい言い訳だと思っていたが、安倍の最後の言葉をきちんと聞いてたんだな。最近腰を痛めて息子宅で介護されているんだけど、安倍に感謝したいって何度も息子さんにその話をしているそうだ」

めでたしめでたし、と締める佐藤。

何故近況まで知っているのか問いただすのは後にして、とりあえず今は自分の行いがちゃんと報われていたことに安堵した。

「あの時は確か、自分のイニシャルスキルが遂に壊れたかと思ったよ」

「そんなわけないだろ。お前の行動はちゃんと人を助けたんだよ」

「そっか」

今度の返事には晴れやかな表情が浮かんでいた。

「けど、それくらいでなんで街の陰陽師だなんて……」

「お前、本当に忘れたのか?」

「何を?」

はぁ~とため息をついた佐藤はまたペラペラと話し出す。

「他にもクラスメイトの庄司に楽しみにしていたイベントに傘を持っていくようアドバイスしたらしいじゃん。そしたら見事に大雨が降って助かったとか。

近所にある曰くつきアパートの一室の処理に困ってた大家さんにお祓いを勧めてみたら、重苦しい空気が本当に霧散したとか」

その後も続く安倍の活躍。

「お前、結構話題になってるぞ。最近じゃあネットにも書き込まれてるって噂も聞くな」

「言われてみると人助け結構してるんだね」

自分の小さな活躍を褒められているようでどこか歯がゆい安倍。

「何を他人事のように。昔陰陽師がしていたっていう助言と似たことし続けてるんだから、そりゃあ街の陰陽師なんて噂も立つさ」

「一日一善って言うからさ、ちょいちょい自分に出来る手助けをしてたつもりなんだけどなぁ」

「イニシャルスキルを持った人間は、出来ることの幅が広がるってことだな。その最たる例が今お前の後ろにいるんだが」

え? と振り返るとそこには一人の女子生徒が。

どこか気だるげな様子だが、かつて見た、瞳に灯る炎が今でも思い出される。

「安倍君、貴方の力を借りたいのよ。来て頂戴」

「あ、はい」

抵抗することなくついていくのは、これが1度や2度のことではないからだ。

あの事件以降、たびたび一緒にいる2人。

隣り合って歩く姿は、佐藤の目にしっくりきた。

「自分の役に立ってるじゃんか」

一人寂しい昼休みとなった佐藤が教室の窓から空を見上げると、金星がきらりと光ったきがした。

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