0

おかえり 完結

ポイント
11
オススメ度
0
感情ボタン
  • 2
  • 0
  • 0
  • 0
  • 0

合計:2

冬になると現れる白い猫の話

投稿された表紙はありません

この物語の表紙を投稿する

すべてのコメントを非表示

暫く顔を出していなかった太陽が足元の雪を溶かす

アスファルトを見るのも久しぶりだ

陽が射しているとはいえ横からの風も相まってまだまだ気温は低い

残っている雪に足跡をつけるように歩き 私は目的地へと向かう

二度と来る事は無いと昨年の冬は思ったのに

静か過ぎる程に寒い空気と匂いのない風が君を思い出させる

△ △

初めて会ったのは5年前の冬だった

急に降り出した雪から身を守るように逃げ込んだ 使われていないバスの待合場に君はいた

降り募る雪のように全身真っ白で 左目の下にある黒子が目を惹く綺麗な猫だった

急に来た私に君はひどく警戒していたね

あの時は驚かせてごめんね

でも優しい君は側に来て暖めてくれたね

春になって君がいなくなり私は少し寂しかったよ

でもまたその年の冬に当然のように君がいてとても嬉しかったのを覚えてるよ

冬限定の私たちの付き合いはずっと続くと思っていたんだ

去年の冬に君が思い出になるまでは

雪にタイヤをとられた車が猫をはねたらしい

新雪が赤く染まる様は場に相応しくない程美しかったと

近所の人がそんな事を話しているのを聞いて

私は茫然とし 暫く抜け殻のような日々を送った

△ △

もう少しで目的地に着くというところで 太陽がかげり雪が降り始め 私は歩を速める

目的の場所に到着し

まるで初めて会った日のような感覚で待合所に入るが 当然君はいない

別にわかりきっていたことだ

私は君と過ごした時間 幸せだったけど君はどうだったかな?

「やっと来てくれたね」

急な声に警戒し 振り向けば

色白で爽やかな男が私に話しかけている

更には微笑みながら私の頭を撫でてくる男に

警戒し戸惑っていたが

笑った目尻の横にある黒子を見つけて私は全てを悟る

そうか君は男の子だったんだね

「おかえり」

そういって私を抱きかかえる彼に

ただいま と意味を込めて

私は にゃあ と鳴いた

  • 2拍手
  • 0笑い
  • 0
  • 0怖い
  • 0惚れた

コメントはありません

コメントを書く

とじる

オススメポイント 0

つづけて SNS でシェアしてオススメシポイントをゲットしましょう。

とじる

このページの内容について報告する

送信中

送信しました

文字数の上限を超えています。