0

三つのしもべに愚痴をこぼした結果 完結

ポイント
15
オススメ度
0
感情ボタン
  • 0
  • 2
  • 0
  • 0
  • 0

合計:2

イケメンに捨てられシングルマザー確定の女。彼女の心の拠り所は、ペットだけだった。

ペットの名前は、有名な超能力少年のしもべから拝借しました。私もこの名前のペットを飼いたいと思います。ついでに犬も飼ったら、パトラッシュかラッシー、あるいはフュージョンさせてパトラッシー。馬を飼えたら、ストライクイーグルがいいな。

投稿された表紙はありません

この物語の表紙を投稿する

すべてのコメントを非表示

 可愛がっていた猫を事故で亡くして、私は落ち込みまくっていた。

 私の命が、私だけのものだったら、自ら絶っていたかもしれない。

 なんとかもう一つの命のおかげで、踏みとどまることができた。

 でも、私の中にいるその子が、私を苦しめているのも事実だった。

 一年ほど前に知り合った男はイケメンで、私の理想そのものの顔をしていた。

 そんな男が私ごときを選んでくれるなんて、と舞い上がっているうち、気がつけば妊娠していた。

 それを知った途端、男は私から離れていった。

 お腹が目立つ前に、私は会社を辞めた。

 理由は適当に。ともかく、妊娠したのは会社の誰にも知られたくなかった。

 仕事を辞めても、将来の結婚資金に貯めていたお金で、しばらくは生活できる。

 親には頼りたくない。こんな状況を話せば、状況はもっと悪くなる。

 私はほとんど一日中部屋に閉じこもり、ペットに癒しを求める日々を過ごした。

 亡くなった猫は、私の愚痴をよく聞いてくれた。

 猫がトラックに轢かれて死んだのは、出産予定日が近づいてきた頃だった。

 次の日、部屋にいきなりイケメンが現れた。

 あの男ではない。

 もっと私好みのイケメンだ。

 突然のことに私が無言でいると、そのイケメンがニヤッと笑った。

 「わからない?僕だよ、猫のロデム。昨日、トラックに轢かれて死んだ」

 「うそ!?ホントにロデムなの?」

 「疑うのかい?ご主人様が僕に聞かせた愚痴なら、全部覚えてるぜ。今喋ってやろうか?」

 「……それはやめて。でも、どうして?」

 「死んだあと神様に話したんだ。ご主人様のこと。そしたら、特別に転生させてやるって」

 「……ずいぶんアッサリ転生させてくれたのね、その神様」

 「こういうのが人間界では流行ってるんだろう?って言ってた。僕、よくわかんないけど」

 「で、そのイケメン……?」

 「転生するのはどんなのがイイ?って聞かれたから、ご主人様好みのイケメンでお願いした。偉いでしょ、僕」

 「うん、偉い」

 ロデムは家事を手伝ってくれるわけではなかったが、私の心を癒してくれた。

 ほどなくして、私は心やすらかに出産することができた。

 しかし。

 赤ん坊を連れて家に帰り、慣れない育児を始めても、ロデムは物理的には何にも役に立たなかった。

 ただただ、私の心を癒してくれるだけである。

 それはそれで有難いので、彼に文句を言っても仕方がないのはわかっている。

 でも、家事と育児を一人でするのは辛い。

 育児の愚痴は、水槽で飼っていたミドリガメに漏らすことにした。

 一か月後。

 水槽からカメがいなくなった翌日、部屋の中に優しそうな中年男性が現れた。

 顔は好みではないが、頼りがいのオーラに満ち溢れている。

 「……あなた、もしかして?」

 「はい、ミドリガメのポセイドンです。昨日、水槽から脱走して、トラックに轢かれてきました」

 「どうしてそんなことを!?」

 「ロデムにできて私にできないはずはないと思って。アイツは育児どころか、家事もしませんからね。日々疲れていくご主人様のお力になりたいと願っておりました」

 「よくもまあ都合よく転生させてもらえたわね」

 「ロデムは良くて何故私はダメなのかと神様に強く迫ったら、あっさりと。トラックに轢かれて転生はトレンドなんだそうです。転生後はイクメンになるようお願いしましたので、育児も家事もばっちりです。ご安心ください、ご主人様」

 ロデムは精神面を支えてくれて、ポセイドンは生活を支えてくれる。

 私はどんどん元気になっていった。

 赤ん坊も、すくすく育っている。

 とはいえ、生まれて間もない赤ん坊がいると外出の範囲は限られる。

 飲食店に連れて入るにはまだ早い。

 ポセイドンに任せて、一人で食べに行くのは後ろめたい。言えば、笑顔で送り出してくれるのがわかっているだけに、かえって言い辛い。

 私は大好きなつけ麺を、しばらく食べていないことに気がついた。

 もちろん、頼めばポセイドンが作ってくれるのだが、やはり本物の、お店のつけ麺が食べたいのだ。それをポセイドンに言えば、彼はトンコツを煮だすことから始めそうだし、そこまで彼に甘えるのも申し訳なく、言え出せずにいた。

 結局私は、小鳥相手にこっそり愚痴をこぼすのだった。

 そして。

 小鳥がいなくなった次の日。

 昼寝から目覚めると、居間のテーブルの上には、つけ麺があった。

 専門店で作られたとしか思えない、見事に完璧で、出来立てのつけ麺。

 そういえば昨日、プロのつけ麺食いてぇとかボヤいてたよ、私。

 なんて短絡的な考え方するんだ、ロプロス!

 私は、自分の浅はかさを呪った。

 いくらロプロスが望んだこととはいえ、こんなの食べられるわけないじゃないか!

 

 私が居間で泣いていると、ロデムとポセイドンが、それぞれつけ麺を持ちながら、居間に入ってきた。ポセイドンは背中に赤ん坊を背負っている。

 「あれ?食べないの?ご主人様」

 「私たちにも作ってくれたんですよ、ロプロスのヤツ」

 「美味い!ポセイドンのメシも美味いけど、なんか違うよね!」

 「プロの味ってヤツかな。ロプロス、凄腕のプロのつけ麺屋になって戻ってきましたよ?」

 馬鹿。

 イケメン、イクメンと続いて、つけ麺が置いてあったら、勘違いしちゃうだろ!

 Tシャツに鉢巻き姿で居間に入ってきたロプロスを、とりあえずポカポカと殴った。

 ロプロスは、なんで殴られてるのかわからないようだが、ニコニコ笑ってた。

 私の三つのしもべは、最高だ!

  • 0拍手
  • 2笑い
  • 0
  • 0怖い
  • 0惚れた

コメントはありません

コメントを書く

とじる

オススメポイント 0

つづけて SNS でシェアしてオススメシポイントをゲットしましょう。

とじる

このページの内容について報告する

送信中

送信しました

文字数の上限を超えています。