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神魔部隊Oracle おらくる日誌

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凄惨な戦いに身を投じる、米軍の神魔による特務部隊「Oracle」の面々。
しかし、平時はごくユルイんです!?
Oracle日常編、神魔たちののほほんした日常をお送りします???

1位の表紙

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1 その名「ゼリービーンズ」

「ぱふーーー。やー、報告書書き上げちゃうと、一気にヒマだよね!!」

 というゆるーい声は、一見無人のその机の上から聞こえた。

 アメリカ国防総省、ペンタゴンの奥まった一室。

 春のなだらかな日差しが差し込む、そのオフィス。

 一応極秘部署であるはずの、「特務部隊Oracle」の本部である。

 Oracleといえば、神魔だけで構成された、神魔関連の事象に対応する、米軍の特務部隊である。

 一応全員オフィスに出勤する時は、人間の姿を装っている……のだが。

「ふふふ、いやー、子供の頃から夢だったんだよね。お菓子の家!! ヘンゼルとグレーテル!!」

 その声の元をたどると、一つの机に行きつく。

 まだ真新しい、その執務机。

 一応パソコンと、そしてささやかな文房具に、それに。

 休憩用なのか、コーヒーと、そして私物であろう、お菓子用の平たい木製ボウルが鎮座していた。

 ボウルの中には、色鮮やかなゼリービーンズが山盛り。

 そして。

 その中に、砂に身を隠す砂漠の蛇みたいに埋まっている、虹色の小蛇の姿があった。

「いやー!! ゼリービーンズに埋まりながら食べるゼリービーンズうめえ!!」

 のぞのぞゼリービーンズの中に埋もれながら、ちっちゃな尻尾でゼリービーンズを口に運ぶ小蛇。

 ちなみに、その声は、今やこの部署の誰もが知っている、創世の龍、D9のものだ。

 すると、この喋る小蛇がD9なのか。

「よう、D9。あんまりゼリービーンズに埋まってると、全身べたべたにならないか?」

 苦笑しながら、隣の机から覗き込んできたのはダイモンだ。

 立ち上がり、休憩用のコーヒーを手に、小蛇に変身した恋人兼同僚を見下ろす。

 ゼリービーンズに埋まる蛇。

 流石に旧き魔神であるダイモンだとて、なかなかお目にかかったことのない光景ではあろう。

「野暮なことは言いっ子なし!! だってさー、夢だったんだよ!! お菓子に埋まりながらお菓子を食べるの!!」

 手近の、アプリコット味のゼリービーンズを口に押し込むD9。

 蛇だから丸のみしかないのだが、それで美味いのかどうかは本人しか知らない。

 日本の古伝に言う。

 蛇の神が、姿を見せてくれという人間の妻の懇願に負けて、虹色の小蛇の姿で小箱の中に入っていた。

 哀れな結末のその話のような悲壮感とは無縁に、変身できる小蛇の姿で、勤務先の休憩時間を満喫するD9。

 お菓子に埋もれてお菓子を食べるという子供の夢を、転職した勤務先で叶える大人であった。

「なにかね、これは?」

 メフィストフェレスが、コーヒーカップ片手に、D9の机を覗き込んできた。

 色気と茶目っ気のある顔に、苦笑が浮かんでいる。

「子供番組でこういうのがあったよな……」

 相変わらず苦笑しつつ、ダイモンは世界的に有名な子供番組の名前を口にした。

「なんだ、キミたち!! その哀れむような目は!!」

 日本風に表現するなら「生暖かい目」に晒され、D9は尻尾でぴたぴたとボウルのふちを叩いた。

「ゼリービーンズに埋もれてゼリービーンズ食って、何が悪い!? これは全人類の夢だろう!? キミたちも素直になれよ!!」

 知った風なことをぬかす小蛇ちゃんにベテラン神魔たちはハイハイと適当にうなずき。

 その後しばらく、D9のあだ名は「ゼリービーンズ」になっていたのだった……。

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とじる

2 もっふりライトニング

「うひょひょ、おひょひょひょ、おっほ……」

「子供のいる前で、変な声出さないで下さい、ライトニング。教育に良くないです」

「だって、コレ、こそば……うひょほっ」

「うりうり、これがええのんかー!!」

「おほっ」

「こちょこちょこちょ……」

「君なあ、若いのにそれはマズ……ひはほっ!!」

 奇声の応酬をしているのは、サンダーバードの本性を現したライトニング、そして情容赦ない顔で彼女の羽毛に熊手を突っ込んでいるヴォイド。

 更には九頭龍姿で、ライトニングの抜け替わりの羽毛を梳いているD9。

 真昼間っから元気な吸血鬼娘、セシリア。

 ペンタゴンの中庭で繰り広げられている、そのコメディ劇を苦笑しつつ見守っているのは、「工兵」GHだった。

「今回の兵器開発では、電撃系の武器と絶縁系のボディアーマーが多めに必要だからな。徹底的に抜いてくれ。どうせ、今抜けるやつは最終的には抜け落ちる羽だからな。遠慮なく」

「お前さんなあ、人の羽毛をそんな森のキノコみたいに……ひょはっ」

 鷹揚に指揮を執っているGHに抗議したライトニングだったが、セシリアがカーボン熊手を腹の羽毛に突っ込んでごしごししたせいで、またもや奇声発声装置になっている。

 要するに、小山のような巨体のライトニングの腹側は、カーボン熊手装備のヴァイドとセシリアにもそもそされ、背中側は巨大化九頭龍のD9に梳き梳きされている。

 ひと梳きごとにごっそり抜けるのは、この時期不要になりつつある、ライトニングの冬毛。

 ペンタゴンの中庭側に面したオフィスからは、何人もの軍関係者が首を出し、その珍しい光景を見物している。

 中にはスマホに記録する者もいるが、当然極秘事項なので、外部に流出することはない。

 もふもふからつやつやに移行する巨大な鳥を見物するのは、軍関係者に限られるのだ。

 しかし、当のライトニングにとっては、そんなことで羽毛を抜かれるもぞもぞ感が軽減される訳でなく。

「うらーーー!! わーーー、すごいもふもふ!!」

 職場実習に来ていたセシリアが、カーボン製の熊手を、改めてライトニングのもっふり腹に突きこんだ。

 ごしごし引き下ろすと、先端に彼女の胴体くらいはありそうな巨大な羽毛がくっついてくる。

「もふもふ!! もふもふーーー!!」

 ごしごしごし……

「おいこらお嬢ちゃん。大人をからかっちゃいけないよ……おふっ」

「鳥はヒヨコも可愛いけど、大人のもふ感もいいわよね!! 特にライトニングさんのもふ感、私好きよ!!」

 情け容赦なくもふを減量させていくセシリアの熊手に、ライトニングはこそばゆいのをこらえた。

 いや、まあ……

 酷い目に遭っていたこの子がこんなに面白そうにしているなら、大人として多少のことには目をつぶろうではないか。

 鳥小屋のアヒル扱いされている気がするが、それは気付かなかったことにするのが大人であろうな……

 もっふもっふ、ごっしごっし……

「あふっ」

 しかし、こそばゆいのは仕方ない……

「いやー、もふもふが、もふもふが!! これむっちゃ楽しい!! どんどん抜ける!!」

 おひょひょひょと奇妙な声で笑いつつ、背中側のもふを引き抜いている九頭龍が、まとめて抜けたもふを地面に落とした。

 ちょっとした小山になっている。

 というか、それ以前にむっちゃ楽しんでいるな、D9。

 子供に当たる訳にはいかないライトニングは、とりあえずD9をつついてやった。

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