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剣豪が刀を持てなくなった理由 完結

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剣豪をもってしても、世の趨勢には勝てません

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この試合に負ければ、ワシは剣を置く。

ワシは、剣の道に生き、研鑽を積み、剣豪と言われるようになった。

更にワシは精進を重ね、「最後の剣豪」と呼ばれるまでになったのだ。

すなわち、この試合で負けるということは、この世から剣豪が消えるということになる。

なんとしても、何としても、それを避けねばならない。

挑戦者は、仕度を終え、試合場で正座している。ワシも、面紐をパンッと音を立てて縛り、一礼する。

試合場の縁で一礼し、中央に進み出て蹲踞、竹刀を抜き立ち上がる。剣豪らしく卑怯な事をせず、ワシは中段の構えで様子を見る。

「始め!」

の一声に合わせて踏み込もうとして、右手に激痛が走る。

視界の隅で、赤旗が上がるのが見える。

「こてありぃ!」

なんと、こいつは化け物か。ワシが秒殺とは。噂には聞いていたが、敵の無駄のなさすぎる動きに、ワシは動揺を隠せない。これほど実力に差があるとは。しかも、目の前の挑戦者は、「剣豪」ではないのだ。

二本目は、突きでいこう。決め打ちで踏み込むだけ。ワシは賭けに出る。

「構え」

中段に構え、剣先を喉元に向け、ワシは審判の声に集中した。

「はじ」

渾身の踏み込みで、一気に突く。当たる!と思った瞬間に、目の前から面が消え、左耳が聞えなくなっている。たぶん左面を打たれたのだろう。

気が付くと、武道場の天井が見えていた。挑戦者がワシを見下ろしていた。

差し出された相手の右手を握り、ワシは立ち上がった。そのまま手を握り、面越しに相手を見つめた。

こいつが剣豪を世の中から消したのだ。

いや、剣豪だけではない。人間が人間でいられる分野を次々と消しているのだ。

この、ワシの手を握っている、プラスチックと金属で覆われた、AIという化け物が。

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オチが見事でした! ほんと20年後どうなってるんでしょうね。

鈴木それな

2018/5/8

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怖いですね。AIに働いてもらって、引きこもろうと思います。

作者:たけじん

2018/5/8

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とじる

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