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くすり 完結

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この物語はフィクションですが、こうありたいなという願いではあります。

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 見舞いに行くと、友人はベッドの上で暗い顔をしていた。

 末期がんを宣告されているのだから、無理もあるまい。

 私は、かける言葉を失いかけていたが、顔の筋肉を引きつらせながら、笑顔で話しかけた。

 「今にも死にそうな顔をしているな」

 「……今にも死にそうなんだ。嫌味を言いに来たのか? 」

 「こんな話を知っているか? ある男がハンバーガーショップで注文をした。『ハンバーガーとコーラを。ピクルスは抜いてくれ。嫌いなんだ』『はい、畏まりました』 店員の女の子が可愛く初々しかったので、男はいたずらを思いついた。『そうだ、医者に注意されているので、肉も抜いて欲しい。それから私は小麦アレルギーなので、バンズもダメだ、抜いてくれ』『はい、畏まりました』 しばらくして店員は、ケチャップを塗った包み紙を差し出した」

 友人は、苦笑しながら文句を言った。

 「なんだそれ? ひねりが足りないんじゃないか? この歳になってから小説を書き始めたって聞いてたけど、大したことないんだな」

 「まあ、即興で作ったんだから、勘弁してくれ。でも君、今、ちょっと笑っただろ? 少しは楽になったんじゃないか? 」

 しばらく考えて、友人は答えた。

 「そうだな……病気がわかってから、ずっと暗い顔をしていたと思う。笑ったのは久しぶりだ。体の痛みは相変わらずだが、心の痛みはちょっとマシになったかもしれん」

 「俺のしょーもない話で、君の病気を治すことはできないと思うが、楽になるなら読んでほしい」

 私は彼に、monogatary.comのサイトを教え、毎日面白い話をアップすると約束した。

 大変な約束をしてしまったなと思うが、彼の死が訪れるまでのわずかな時間、少しでも心穏やかに過ごせるなら、大した苦労ではない。

 笑いは、絶望にはとても良く効くクスリなのだ。

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  • 内容に影響のない範囲で、一部表現の変更や追記をおこないました。(2018/06/14)

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