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カップ麺の妖精 完結

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長~い3分間も、状況によっては、短くなりますね!?

1位の表紙

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「ふああああ……腹減ったな……」

 日曜日の昼前、のっそりと起き出した俺は、ジャージの上からポリポリ腹をかきながら、冷蔵庫を開けた。

 このところ残業続きで、食料の買い出しにも満足に行けていない。

 だから、あるのは、水、缶ビール、食べかけのつまみ、野菜の切れ端……。

「すっからかんか……」

 わかっちゃいたけど、ホントに何にも無い。

 が、

「ふっふっふ……」

 俺は、含み笑いをしながら、冷蔵庫横に置いてあるスチールワゴンの中を探った。

「こんなこともあろうかと!」

 そうなのだ!

 こんなときのために、ちゃあんとカップ麺を用意してあるのだ!

 俺、エライ!

 フンフンと鼻歌混じりに、カップ麺を取りだし、キッチンカウンターの上に置いた。

 ピリリ、紙蓋を半分くらい引っ張り開け、やかんで湯を沸かす。

 そして、沸騰した湯をカップ麺の指示線まで注ぎ入れ、紙蓋を閉める。

「よし!」

 これで、後は3分間待つだけだ。

 が……。

 ペラリ。

 紙蓋が持ちあがって、めくれた。

 ――よくなるよな、コレって。

 俺は、再びしっかりと紙蓋を閉じた。

 なのに、またもや蓋がひらりと開いた。

「うーむ……」

 今度は爪先も使って、容器にピッタリとくっつける。

 これで大丈夫だろう。

 しかし、三度蓋は開いた。

「うう」

 若干イライラとしながら、紙蓋を容器に押し付けようとした瞬間、妙な抵抗を指先に感じた。

 なんと、どうやっても閉まらないのだ。

 おまけに、隙間から漏れ出る湯気が、どんどん増えてきた。

「……へ?」

 呆気に取られている間に、湯気はモクモクと立ちのぼり、まるで雲のようになって、天井まで届いてしまった。

 あんぐりと口を開け、頭上を眺めていると――。

 ポンッ!

 奇妙な破裂音がして、湯気の中から、いきなり何かが現れた。

「な、な、な……!?」

 目を剥き、“ソレ”を見つめる。

 ――人?

 けど、人というには巨大な……。

 すると、ソイツは大きな口を開いて、こう言った。

「ご主人様」

「は? ゴシュジン、サマ?」

「ハイ」

「お前、何?」

 かすれた声で、尋ねる。

「我は、カップ麺の妖精」

「カップ麺の、よう、せい?」

 ぼうっとした頭で、おうむ返しする。

 目の前で繰り広げられている非現実的すぎる光景に、俺の思考能力はゼロになってしまった……。

 ――夢!? 夢だよな!?

 目をゴシゴシこすって、もういちど見上げる。

 そしたら、ソイツは天井近くにしっかりといて、巨体を揺らしながら重々しくうなずいた。

「しかり。何でもよい、ご主人様の願い事を3つ叶えてさしあげようぞ」

「えっ!? 何でもっ!? 何でもいいのかっ!?」

 ――夢なら夢でいい。こんな美味しい状況、なかなか無いぞ!

 呆然、一転、俺は嬉々として、ソイツに聞いた。

「うむ」

 俺のことをご主人様と呼ぶわりに、ソイツは腕組みをしつつ、やけにエラそうな態度で答えた。

「ただし」

「ただし?」

 ――何だ? 何か条件が付くのかっ?

「このカップ麺ができあがるまでの3分間に、その願いを我に伝えよ」

「え……?」

「すでに1分経過したから、後2分だ」

「ええっ!? ちょっ!? 待てって!」

「待たぬ」

 そこで俺は、ああでもない、こうでもない、と、必死で願い事を考えはじめた。

 給料が上がりますように。いや、そうじゃないな、隣の課の美空ちゃんと仲良く……いやいや、ここは、もっと大きく! なら、世界平和、って、デカすぎるな……。

 じゃ、幸運がやってきますように?

 ダメだ、あいまいすぎる……。

 慌てながら、脳ミソをフル回転させて考える。

「あ! そうだ!」

 ものすごい名案を思いついて、口を開いたそのとき。

「3分経った。さらばじゃ」

“カップ麺の妖精”は、シュルルル、と、カップ麺の中に雲と一緒に吸いこまれ消えていった。

「へ? うわああああ!!」

 俺は、泡を食って、蓋をめくった。

 と、そこには――。

 3分経って、ちょうど良い頃合いにできあがったカップ麺が、ホカホカと温かな湯気を立てていた……。

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9

kiriさん、読んでくださって、コメントをありがとうございます!!
ホントですね、夢のような3分間!
ああっ、そのお願い、最高ですねwww
私も、カップ麺の妖精に会ったら、ぜひともお願いしたいです(笑)

作者:りんこ

2018/7/8

10

面白かったですヽ(=´▽`=)ノ
2分で3つ答えるのは悩みますね(´;ω;`)
もし実際にあったらきっと悩んだあげく...
「お金持ちにしてくれ!」
「それは叶わぬ願いだ、ではさらばだ」
泣きながらカップラーメンをすする想像もできました(´;ω;`)

犬犬

2018/8/30

11

犬犬さん、こちらも読んでくださって、コメントとお気に入りとオススメをありがとうございます!!
わあ、ありがとうございます、面白かったと言っていただけて、すごく幸せですっ(≧∇≦)
あはは、その展開もありそう&いいですね!(笑)なかなか願いを叶えてくれないキビシイ妖精さんですね!(笑)
楽しいコメントをありがとうございますっ♪( ´▽`)

作者:りんこ

2018/8/31

12

お腹がかなり減っていて、待っている間の蓋をあけるまでの時間。
湯気すらいい匂いがしてどうしようもなくなる。
ウチの場合。いつも早めに開けてしまって、麺が硬く失敗します。
夢を叶えてもらうには、ちょうどいいタイミングが必要か?
って、思いました。

13

あふりかのそらさん、読んでくださって、オススメ&お気に入り、とっても嬉しいコメントをありがとうございます(≧∇≦)あ! わかります~! ついつい早めに開けちゃいますよねっ! ほんとですね、なかなかタイミングが難しそうです(;'∀')

作者:りんこ

2018/11/15

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とじる

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