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リライト~異世界勇者のご要望は加筆修正!?~ 完結

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ライトノベル「ヒロインDEATH」のアニメ化が決定した。
しかしテレビで放送した主人公は原作通りに動かず……!?
「俺はヒロインを殺したくねぇんだよ!!!!クソ作者、今すぐ書きかえやがれ!!!」

オタク美女作家・花江珠喜とアニメの中のワガママ主人公が織りなす奇想天外な加筆修正ファンタジー風味の現代物語。

1位の表紙

目次

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1 主人公は加筆修正を要求してきた

10月5日

都内某所

「いや~、改めておめでとうございます。珠喜(たまき)先生!」

星屑ノベルズの編集者で私の担当でもある大和洋平が満面の笑みで握手してくる。

それもそのはずだ。私の書いた「ヒロインDEATH」がアニメ化されることになったんだから。

「えへへ、ありがとうございます!でも、大和さんの力もあってこそですよ」

私は着慣れないスーツにメイクまでして祝賀会に参加していた。

「いよいよですね!ヒロインDEATHの第一話!」

大和さんが腕時計を確認する。

「はい!楽しみです~。しかも主演のエルトの声は篠宮一樹さんが担当してくれるって、もうお腹いっぱいです!でへへへぇええ~」

「せんせっ、先生!悪い癖出てますよ……」

自分の気持ち悪い声を小声で大和さんに注意される。

「あっ、しまった……」

「先生、あの一応ですね、美しすぎるラノベ作家として売り出してるんですから、立ち振る舞いには……その……」

「……すみません」

思わず頭を下げる。

大和さんの言いたいことは痛いほどわかる。

これはあれだ……このままメインイベントの「ヒロインDEATH」の鑑賞会までいたら、私の化けの皮が剥がれるな……。

「あの大和さん、わたしお腹の調子が……」

「え?先生?」

「すみません!!!帰ります!!」

「ちょっ!!先生ーー!!!」

◆ ◆   ◆

プシュ!

発泡酒を開け、お気に入りの自堕落クッションに座る。

メイクも落として、高校生の時から愛用しているメガネを装着。バッチリだ。

目の前はこの日のために新調した52型4Kフルハイビジョンのテレビが置かれている。

「ふへへ……」

思わず口元が緩む。やっぱり鑑賞会まで参加しなくてよかった。

大和さんは今、こっ酷く上司に怒られているだろうけど、本当にごめん、私には無理だ。

アニメを見ながら平静を保てる自信がない。

リビングの時計を確認すると時刻は22時59分。ヒロインDEATHの放送まであと1分。

思えば、ここまで長かった。異世界系はネタが尽きただの、ヒロインが可愛くないだの散々言われたが何とかここまで辿り着いた。

ピコン!

テレビの録画機能の音と共にヒロインDEATHが始まった。

「ふぉぉおおおおお!!!!オープニング、めっちゃ動く!!さすが天下の東都アニメーション!!」

オープニングの熱狂も冷めやらぬまま、物語は始まる。

あらすじはこうだ。

主人公エルトは勇者として魔王を倒すために異世界・アイマールに生まれる。しかしエルトは生まれながらにして5つの呪いを受けていた。

それは勇者の家に伝わる呪い。始祖の魔王・ゼロスによって刻まれた、消えぬ呪い。

呪いを解く方法は一つしかない。

それは5つの大陸にいる5人の姫君を殺すこと――――

「小説通りなら、最初からクライマックスだよね……」

ゴクッと生唾を飲む。

―――――――――――――――――――――

ヒロインDEATH

第一話 蒼の姫君

『蒼の姫君・サリーシャ、俺は君を殺さなくてはいけない……この手で』

銀の髪を束ね、白銀の鎧に身を包み、呪いの右腕は封印の聖骸布に巻かれている。

エルト・オーシュマン。断罪の勇者にして魔王を倒せる希望の子。

壮大な湖の中央に建つ蒼の城。

その最上階にエルトと蒼の姫君サリーシャは立っていた。

エルトの剣がサリーシャに向けられている。 

『エルト、この日が来るって私はずっと前から知っていたよ?』

サリーシャの青の髪が風に揺れる。その顔はなぜか微笑んでいた。

『……どうして、笑っていられるんだ?』

エルトは俯く。

『だってエルトは勇者だもん。希望の子だもん……あなたしか世界を救えないの』

『……サリーシャ……』

『あなたの手で私を殺して』

笑みを浮かべるサリーシャの瞳には矛盾するように涙が零れた。

『ああああああああああああああああああああ!!!!!!!!!』

エルトは剣を構え、駆ける。

呪いを解き、この世界の人々を救うために―――

――――――――――――――――――――――――――

『―――じゃねーーーーーーーーーーーーーよ!!!!』

声はテレビから聞こえてきた。

ブッ―――――!!

思わず口に入れていた発泡酒をテレビ目がけて噴き出す。

「え?え?はい?」

意味が分からない。状況が飲み込めない。

今のテレビの中では何が起きているのだ?

小説ではこのままエルトがサリーシャに剣を突き刺し、悲しみにくれながらも改めて魔王を倒すということを決意する涙なみだの場面のはずなのに……

今、エルトは私のほうに向かって話しかけているように見える。

『おいおいおいおいおい、お前が作者かぁ?あぁ?』

「は……はひ!?」

先ほどまでの勇者様口調はどこへ?

そもそもなんで話しかけてきてんの!?

『まったくよぉ……黙って演じてみりゃ、何だこれは……』

「な……なんだとは、なんです、か?」

半信半疑のままテレビのエルトに話しかける。

『なんで・俺が・サリーシャちゃんを・殺さないと・いけないんだよぉおおおお!!!こんな可愛いんだぞ!!殺すなんて酷すぎるだろうがぁ!!!』

まるでテレビ越しからメンチを切るようにエルトは私に言ってきた。

これは何かの夢?

あ、そっか!久しぶりにお酒飲んで酔っ払っちゃったかな、私?

『おい聞いてんのか、お前だよ、メガネぇぇぇええええ!!!今すぐ書き直せゴラァアアア!!!』

ガタガタガタッ!!!と後ろの掛け時計が揺れ動く。

「ぽ……ぽぽぽ、ポルタ―ガイスト!!?」

『あ、時間だ。ちゃんと書き直せよ、ポンコツ』

画面のエルトは据わったような目で指をさした。

プツン、と画面が暗転し、バラード調のエンディングが流れ始めた。

バタッ、と私はその場に倒れこんだ。

―――――――――――――――――――

時は経ち、一週間後。

今日は第2話の放送。

あの出来事は夢ということで私の中ではケリがついていた。

時刻は23時。

始まった番組は「ヒロインDEATH」ではなく、よく分からない商品の通販番組だった。

「へ?」

プルルルル!!

「わっ!!!」

携帯に一本の着信があった。

「……大和さん?」

『先生!よかった、繋がった!』

「どうしたんですか大和さん、ていうか今日の第2話……」

「冷静に聞いてほしいんだけど、東京キラキラTVの放送局で火災があって、アニメ原稿がデータもろとも燃えたって連絡が……」

「…………え?」

修正履歴

  • 誤字、脱字の修正をおこないました。(2018/07/18)
  • 誤字、脱字の修正をおこないました。(2018/07/14)
  • 誤字、脱字の修正をおこないました。(2018/07/14)
  • 内容に影響のない範囲で、一部表現の変更や追記をおこないました。(2018/07/14)

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1

発想が奇抜だなあヽ(^o^)丿すごい!!

湊あむーる

2018/7/14

2

「えへへ、ありがとうございます!でも、大和さんの力も合ってこそですよ」

 あってこそですよ、と平仮名でしょうか(^_^)誤字かな??

湊あむーる

2018/7/14

3

湊さん、コメントありがとうございます!
褒めて頂いて嬉しいです(^^)

あと、すみません、、、誤字です笑

作者:佐伯春人

2018/7/14

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とじる

2「尊い」の正しい使い方

「テレビ局で火災……そんなことって」

『しかも、おかしな話なんだけど、燃えたのがヒロインDEATHのデータだけらしいんだよ……』

「…………」

『とにかくさ、こっちはこっちで対応進めるから、先生はとりあえず待機でお願いしますね!』

「はい……」

電話を切り、なぜかエルトの言葉が真っ先に頭の中に浮かんだ。

“今すぐ書き直せ”という脅迫めいた言葉が。

寝室にあるデスクに駆け足で向かう。

そしてパソコンを起動し、数年前のヒロインDEATHの原稿を探す。

「あった……!」

1巻の冒頭。

エルトは蒼の姫君サリーシャを剣で突き刺す。

そうだ、一気に読者を引き込もうと大和さんと何回も話し合い決めた最高の出だしのはず。

でも……あのテレビの中のエルトは……

「怒ってたなぁ……すっごい剣幕だったもんな~……」

思い出すだけで震える。

……もし本当に修正をしてアニメがまた放送されるのだとしたら?

「パソコンの中で変えるだけなら……別に売ってる本の内容が変わる訳ないし……」

修正はこうだ。

「勇者エルトは寸前で剣を止める。サリーシャの涙があまりにも美しかったから。そして優しく抱きしめた。君を殺さず魔王を倒すよ、と言って」

きゃーーー!!!かっこいいエルト!!

椅子に座りながら鼻息荒く、興奮してしまった。

なんという自画自賛なのだろう、私の頭の中はお花畑か……

「はぁ……」

溜息が出る。こんな文章が採用されるわけがない……読者はもっと刺激を求めているはずだから……。

そのままベッドに入り、私は瞼を閉じた。

カレンダーの日付は10月19日金曜日。

そう、また一週間が経ち、ヒロインDEATHの放送日がやってきた。

これで実際に放送されたらひっくり返るだろうな、私。

なぜだか知らないけど昨日からずっと大和さんの電話は繋がらないし。

時刻は23時。

テレビでは「ヒロインDEATH」のオープニングが始まっていた。

一体、どんな話が……。

アニメは見覚えのある蒼い城の風景とともに始まった。

「え?これってもしかして……一話……?」

――――――――――――――――――――――

『蒼の姫君・サリーシャ、俺は君を殺さなくてはいけない……この手で』

『エルト、この日が来るって私はずっと前から知っていたよ?』

『……どうして、笑っていられるんだ?』

『だってエルトは勇者だもん。希望の子だもん……あなたしか世界を救えないの』

『……サリーシャ……』

ここまでは前回とおんなじだよね……。

『あなたの手で私を殺して』

笑みを浮かべるサリーシャの瞳には矛盾するように涙が零れた。

『ああああああああああああああああああああ!!!!!!!!!』

エルトは剣を構え、駆ける。

息をのむ……

ここだ、この場面が……

ガランッ!!

エルトの持っていた剣が地面に落ちる。

「あっ!!」

『サリーシャ……俺は君を殺せない』

そう言いながら、エルトはサリーシャの白い頬にふれる。

『どうして?』

サリーシャは涙ぐんだ瞳でエルトを見つめる。

『君の涙があまりにも綺麗だったから……』

そして二人は蒼の城の最上階・天空の踊り場で抱き合った。

「ぐほぉーーーーー!!!」

思わず悶絶してしまった。

なんだ、これは!!

尊い……

ものすごく……尊い。

「っていうか……本当に変わっちゃった……」

テレビの中のエルトが親指を立てる。

「いや、グッジョブじゃないから」

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とじる

3 変化する現実、それはパラレル?

――――翌日

都内某社・星屑出版

大和さんに呼び出された私はブルブルと怯えていた。

ああ……絶対あの件だ。アニメ、原作と変わっちゃったもん。

私のせいだ……どうしよう。いや、どうにもできない……。

エルトがアニメの中から話しかけて原作を変えてくれって言ったからパソコンで書き替えたら、本当にアニメまで変わっちゃったなんて信じてもらえる訳がない。

星屑ノベルスの編集部の個室に通される。

ガチャと扉が開き、満面の笑みで大和さんが入ってきた。

「いや~、第一話、よかったですね~!」

「え?」

「やっぱり、初っ端からクライマックスってのがアツい!エルトがサリーシャを殺そうとする寸前で剣を落とす場面!!いや~……カッコよかった!」

褒められた?どうして?

だって……アニメは原作と変わって……

「これ!見てください!全部、昨日の放送後に届いた先生へのファンレターですよ!」

大和さんが段ボールからおびただしい数の手紙を出した。

ファンレターに目を通す。

「なに……これ」

『最初からクライマックス!!第一話、最高でした!!』

『呪いを受けた主人公が姫を殺さずにどうやって魔王を倒すのか気になります!!』

『原作に忠実……先生も安心ですね笑 さすが東都アニメーションですね』

なんで皆、こんなに受け入れているの……?

「大和さん!ヒロインDEATHの一巻、持ってきてください!!」

思わず普段出さないような大きな声が出てしまった。

「えっ……はい!」

小説・ヒロインDEATHの一巻を開く。

『勇者エルトは寸前で剣を止める。サリーシャの涙があまりにも美しかったから。そして優しく抱きしめた。君を殺さず魔王を倒すよ、と言って』

本文にはたしかにその言葉が印字されていた。

「パソコンで……家のパソコンで書きなおしただけなのに……」

本を持つ手が恐ろしいほど震えていた。

原作まで修正されている。

「いや~、この調子だと来週の二話も楽しみですね~」

後ろで大和さんがポツリとつぶやく。

二話……そうだ!

「あの!二話のデータが燃えたって件はどうなったんでしょうか?」

「燃えた?何のことです?」

首を傾げ、とぼけたような顔で大和さんは言った。

「ほら一話の放送のあと……あれ?そもそも昨日一話が放送されたってことが皆にとってはおかしなことだよね……」

自分の言葉で頭の中がこんがらがる。

「き……昨日って本来は二話の放送日ですよね?何かの間違いで一話が放送されただけですよね?」

恐る恐る大和さんに尋ねる。

「もー先生、寝ぼけているんですか?第一話の放送は“10月19日金曜日”ですよ!昨日、一緒に途中まで祝賀会にいたじゃないですか~」

「はへ?」

もしかして……。

いや、でもそんな馬鹿なことあるの?

現実まで修正されちゃった……?

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1

なんか世にも奇妙な物語、いや、モノガタリ―みたい(^^♪

湊あむーる

2018/7/15

2

湊さん、読んで頂き、ありがとうございます!
たとえが秀逸です(^^)
たしかに言われてみるとテイストが似てますね笑

作者:佐伯春人

2018/7/15

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とじる

4 ワガママ勇者ふたたび

自宅に帰り、ソファに腰掛ける。

脳がパンクしてしまいそうだ……まずいぞ、私。

冷静になれ……!

大きく深呼吸をして頭の中を整理する。

今、分かっていることは大きく分けて二つ。

ひとつは初回放送がなぜか10月5日ではなく二週間後の10月19日になってしまったこと。

もうひとつは大和さんをはじめ、視聴者も原作修正版の「ヒロインDEATH」のアニメを見ているということ。

「どうして、こんなことに?」

火事が起きたことも第二話が放送されなかったこともなかったことになってる。

しかもみんなは原作修正版のアニメを平然と見ている。まるで平然と、はじめから原作通りだったという風に。

私がやったことはエルトに言われるがままパソコンの中の原稿の修正をしただけ……。

なのに、販売されている原作の小説まで変わってしまった。

エルトの希望を叶えたから。エルトの思い通りにアニメが変わった。

そしてアニメが変わったことで現実にも影響が出た……?

「いやいやSFかよっ!!」

思わず独り言で自分の脳内にツッコみをいれる。

早く夢から醒めろと思って引っ張り続けた頬は赤くなってしまった。

ありえないことが今、現実に起きている。

でも……なんでだろう?

どこか腑に落ちてしまった私がいる。

10月26日金曜日

何も解決策が見つからぬまま日は過ぎていき、第二話の放送日が訪れた。

胸に手を当てる。動悸がする。

第二話……修正されていない原作通りだったら、エルトは一つ目の呪いを解き、魔王軍の幹部で黒の執事オニキス・ブラッカイマーと戦い、勝利するはずだけど……。

修正された第一話でエイトは呪いを解いていない……。

だとしたのなら……。

―――――――――――――――――――――――――

ヒロインDEATH

第二話 黒の罠

旅の道中でエルトは敵の幹部・オニキスの術中にはまる。

『勇者エルトですか。まったく、希望の子が笑わせますね。この黒霧の中からはもう逃げられません。この地に足を踏み入れた地点であなたの敗北は決まっていたんですよ』

『くっ!!』

黒の執事オニキスの罠にはまり、エルトは苦しそうに霧の中で膝をつく。

『さぁ、そろそろ終幕です。王が手を下すまでもない。ここで光の芽を私が潰すとしましょう』

オニキスの影が霧の中に現れる。

黒い漆のステッキの柄から隠し刀が妖しく光る。

『まだ……俺は……!!』

『しねぇえええ!!!!』

『カッ――――――――――――――ト!!!!!!』

恐れていたことが、また起こってしまった。

放送時間残り五分、エルトがまた原作にない動きをし始めた。

夢だ、夢ならとっとと醒めてください。

『おい!メガネェ!!これはぁどういうことだっ!!!』

エルトが黒い霧の中を掻き分けるようにテレビにドアップで映りこんできた。

「……いや、その原作通りだもん……」

『原作通りぃ?ちげーし、俺は第一の呪いを解いてねぇーんだよ!!!どうやって倒すんだよ、あんなツエーやつ!!』

エルトがテレビの中でトドメをさす寸前で静止するオニキスを指さして言う。

なんというか、オニキスにとても酷いことをしているような気がする。

「だ……だってそれはエルトが言ったんじゃない!サリーシャを殺したくないって!!」

私も負けまいとテレビに食らいつくようにエルトに怒鳴る。

『あー、言ったともさ!!だけどな、呪いも解かないままで魔王の幹部が倒せるか!?おぉん?』

「ふ……ふ……ふざけないでよ!!!あなたの言う通りにしたら現実まで変わって……もうなんか色々大変なんだから!!!!」

思わず涙声になる。

自分が情けない。テレビの中の主人公に八つ当たりしたところでどうなる。

『俺が知るか!!とりあえずな、来週までにアイツを倒す術を考えとけ、いいな?ポンコツ作家。じゃ、また来週』

勇者設定はどこにいったのか。とんでもなくワガママで自由奔放で口の悪いエルトは画面から消えた。

「あああ~~~~!!!!もう、何がどうなってんのーーーーーーー!!!!」

これでまたエルトの言うことを無視して放置したらアニメは放送されないの?

でもエイトから駄目だしされる度に原作を変えていったら、もうそれって私の書いたヒロインDEATHじゃないよ……。

「そんなことって……」

修正履歴

  • 誤字、脱字の修正をおこないました。(2018/07/18)
  • 誤字、脱字の修正をおこないました。(2018/07/18)

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執筆しているとキャラが暴走する現象になんとなく似ているような(^^♪まさにキャラとの対話

湊あむーる

2018/7/16

2

【モノコン2018物語部門 予選通過のお知らせ】アニメ化された自分の作品の主人公がテレビ画面越しに作者に文句を言ってくるという設定に、まず心惹かれました。勇者エイト(エルト?)やオタク美女作家のキャラ配置も面白い! 今後、花江が勇者のピンチをどう救うのか、また現実世界への影響は……? など展開が楽しみです。現実世界での花江の動きをうまく使えるとさらに面白くなりそう。

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とじる

5 予想だにしない影響

11月2日金曜日

チッ、チッ、チッ……

時計の秒針を刻む音が部屋に聞こえる。

時刻は22時59分。

スマホのホーム画面を開く。

「あれから一週間……きっと二話は放送されないはず……」

23時になり始まったのは、通販番組だった。

「やっぱり……この前と一緒……」

ソファにあるクッションをギュッと抱きしめる。

「ファンの人たち、怒るかな……。でも……」

これは私の小説なんだから……。

11月3日土曜日

昨日の夜は何故だか眠れず、つけっぱなしのテレビは早朝の情報番組に切り替わった。

『速報です。今朝未明、東京都○○区の東都アニメーションが何者かに襲撃されたと情報が入ってきました』

見慣れた男性アナウンサーが淡々とそんなことを伝える。

「……は?」

『犯人は東都アニメーションの数名を人質にとって同ビル内に立て籠もっているようです。中継です。現場の村井さん、そちらは現在どうなっていますか?』

映像が東都アニメーションのビル前に切り替わる。

ビルの窓から拳銃を持った目だし帽の男が暴れている。

『現場の村井です!見えますでしょうか?現在、あの窓から叫び続けているのが立て籠もり犯のようです!犯人は先ほどから意味不明な要求をしており、警察の機動隊も迂闊に近付けない現状です』

現場にいる村井という男性が慌てた様子で中継をしている。

『意味不明な要求とはなんでしょうか?』

アナウンサーが聞き返す。

『えっーとですね……ヒロインDEATHの第二話を放送しろ……と、放送しなければアニメーション会社の人間を一人ずつ殺していくと要求しているようです!』

「……なによ、それ……」

『えー、先ほど逃げてきた東都アニメーションの社員の方に取材をすることができたのですが、昨日放送するはずだったヒロインDEATHの第二話は単純に原画作業が間に合わず放送延期となったようなんですが……それを聞くと激高したのか犯人は一人の社員を刺したようです!』

「!!」

『え、村井さん、怪我人が出ているってことですか?』

『はい!そのようです!』

そこからの記憶はほとんど曖昧だった。

気付けば自宅のパソコンの前に座っていて、原作の修正を始めていた。

大粒の涙がキーボードに落ちてきたのは覚えている。

原作を修正した後、私は怖くてテレビを付けることもなければ、何十回もかかってきた大和さんからの電話に出ることもなかった。

逃げるようにベッドの中に潜り込み、生きるために最低限の生活だけをして、ただただ時間だけが過ぎるのを待っていた。

そして半ば引きこもり状態で一週間が経ち、運命の日がやってきた。

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この突飛な展開が、いいですね

湊あむーる

2018/7/19

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とじる

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