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【R15】 15歳未満の方は移動してください。この作品には <残酷描写> が含まれています。

DragonRider

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彼を追ってカーブを曲がったその先に

思ったより長くなってきたので目次つけます
後付ですみません
なるべく控えめにするつもりですがR15つけます

関連作品
どらごんらいだぁ 〜はっしゅたぐ〜http://monogatary.com/story_view/3256
勇者の戦い http://monogatary.com/story_view/3066

1位の表紙

目次

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曲がり角にご用心

「お疲れ様でーす」

「おう、お疲れ」

 会社に戻るとあちこちから半ば反射のように声が上がる。さてと、さっさと報告書をまとめてしまおう。

「今日はもう上がりか」

「ええ、明日から三連休だしちょっとゆっくりしようと思います」

「そうか。お疲れ様、気をつけて帰れよ」

「はい、お疲れ様でした」

 あたしは報告書を提出すると鼻歌交じりで駐車場へむかった。

 バイク便のアルバイトを始めてから半年程になる。配達は大変だけど、バイクに乗れるのが嬉しくてこの仕事が辞められない。

 やっと手にしたバイクはあたしの宝物だ。

 世界に冠たる日本のバイクメーカーの車種の中でも繰り返し生産されるこの型は、人によっては優等生すぎてつまらないバイクとか言われるけど、あたしは一目見た時から気に入ってたんだ。何よりもワインのような深い赤色のカラーリングはとても綺麗でずっと見ていても見飽きない。

「おっまたせー」

「おう」

 バイクに凭れて待っていた蓮が手を振る。同僚で彼氏。趣味も似てるし、つき合ってて疲れないし、そういえばもう一年以上になるのか。あたしにも一応彼氏はいるんだからねっ。

「連休ですなあ」

「そうだな」

「とりあえずご飯食べに行こうよ」

「だな、まずはそれからだ」

 キーを差し込んで回すと、ドウッとエンジンが息を吹き返す。ヘルメットを被り、バイクに跨るとゆっくりと走らせ始めた。

 この回転数の上がっていく感じが気持ちを高揚させるんだよね。そしてヒュウンと風を切るような音を残してスピードを上げていく。

「ねえ、ちょっと買い物していかない?」

「何、作ってくれんの?」

「それもいいかなあって」

「さんきゅ。それじゃ、そこのスーパー寄っ……ちょっと待って」

「へ?」

 唐突にインカムの会話が切られた。何だろう。とりあえずついて行くしかないんだけど、彼の背中からなんだか切迫した気配を感じて少し不安になる。

「つかさ」

「な、何?」

 信号待ちで止まったあたしの耳に入ってきたのは緊張した蓮の声だった。

「悪い、これからちょっと行かなきゃならないとこがあって」

「え?」

「ごめん、埋め合わせはするから」

 ちょっと!三連休は?お家デートは!?

 変わった信号と共に走り出す彼のバイクを呆けたように見送ったあたしは、その一瞬が過ぎると猛然と追いかけ始めた。

 何よ!さっきまでのいい感じなのはどこいったのよ。あたしに言えないようなどこに行くっての!?冗談じゃないわ。とっ捕まえて文句言ってやる!

 左にカーブする彼のバイクを逃がすまいと、あたしもアクセルを握りしめた。

 ……で、ここはどこ?

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  • 内容に影響のない範囲で、一部表現の変更や追記をおこないました。(2018/08/25)
  • 内容に影響のない範囲で、一部表現の変更や追記をおこないました。(2018/07/26)
  • 誤字、脱字の修正をおこないました。(2018/07/26)
  • 内容に影響のない範囲で、一部表現の変更や追記をおこないました。(2018/07/21)

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とじる

出会いは突然に

 明らかに路面からの振動が違う。薄闇が広がり始めたその道は、どう見ても走り慣れた道とは違っていた。

 何より電柱がない、車がない、そもそも人が歩いてない。もっと違うのはビルがない。ネオンがない。なんなの?電気がないっての?

 草原やら、散在する小さな林やら、家はファンタジーの世界にでもあるような西洋風の平屋ばかり。

 辺りを見回していたせいで、危うく彼を見失うところだった。

 蓮は慌てたように一軒の家に入っていく。あたしもその家に向かってバイクを走らせた。

 黒いバイクの横にあたしも停める。ヘルメットを脱いで家のドアを叩こうとすると、中から声が聞こえてきた。

「じゃあ、そのゴブリンの群れを追い払えばいいんだな」

「はい。後は補給物資を運べば我々でもなんとかなると思うんですが、とにかく数が多くて」

「では先に行く」

「蓮!」

「つかさ!?お前なんでここに?」

 ドアが開いて彼が出てきたけど、あたしが聞きたいよ。ここはどこで、なんであんたが中世騎士みたいなコスプレしてんのか。

「勇者様、この者は?何者ですか」

「勇者ぁ!?」

 素っ頓狂なあたしの声に、蓮は頭を抱えてため息をついた。

「ええっと、お前異世界物とか好きだったよな?そんで初めて会ったのも展示即売会場だったよな?」

 こくこくと頷く。目を丸くしたままのあたしの肩にポンと手を乗せて蓮は言った。

「そのまま受け入れてくれるとありがたい。俺、異世界で勇者をやってる。ついでに聞くがお前、空飛んだりするのは苦手か?」

「いやぁ、それはないかな。うん、大丈夫だと思う」

 普通に聞かれて普通に答えて、異世界で勇者のところを丸っきりスルーしてしまったような気がするんだけど。

「おい、これも変えられるか?」

 蓮はさっき話してた人に、あたしのバイクを指さして聞いた。ちょっと何する気?あたしのバイクに手出したら許さないから。

「はい、勇者様のものと同じですよね。それなら大丈夫です」

「そうか」

 蓮は振り向くとあたしを見つめて言った。

「つかさ、黙って俺について来て欲しい」

「へ?あ……うん。でも、そんな急に」

「ありがとう!今、荷作りさせるからな!」

 んだよっ!荷物運ぶからついて来いってことか!勘違いしたじゃん。そうだよね、プロポーズにはまだ早いし、こんな状況だし……悲しくて恥ずかしい……

「すまん、時間が惜しいんだ。後でちゃんと説明するからな。とりあえずこいつに乗って補給物資を運んで欲しいんだ」

「え?ちょっと!こいつって?あたしのバイクどこよ」

「こいつだよ」

 そこには黒と赤の二頭のドラゴンがいた。

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とじる

空へ

「はい?」

「黒いのが俺のNINJA、赤いのがお前のボルドール」

「……はい?」

「黒いの……」

「そこじゃない!バイクとドラゴンじゃどう見ても違うでしょ」

「異世界の魔法はこういう事ができるの。それと」

 と言いながら、蓮は黒いドラゴンの頬を軽く叩いた。ドラゴンは金色の目を細めて嬉しそうに彼に甘えている。

「そいつも話せるから話しかけてみ」

  嘘でしょ?だって元はバイクよ?っていうか、バイクをドラゴンに変えたってのも信じられないのに。話しかけるって……

 恐る恐る近づいてそっと手を差し出すと、赤いドラゴンは顔を近づけて笑った。

 笑った!?笑ったのがわかる。それもすごく嬉しそうに。なんだろう、すごく愛おしい。バイクを手入れしている時に感じる愛おしさと似てる。うっとりと見つめていると耳元で声がした。

「ご主人、会えて嬉しい。いつも大切にしてくれて感謝している」

 喋った!あたしはなんだか心臓がきゅっとして涙が込み上げてきた。

「どうした、どこか痛むのか?」

 あたしはふるふると頭を振った。

「痛くも悲しくもない。嬉しいの!あたし、まだ下手くそだからあんたが「こんな乗り方して」って怒ってないかななんていつも思ってたわ」

「そんな事はない。丁寧に乗ってくれているから私も嬉しい」

「そっか。えへへ、あんたすごく乗りやすいしいい子よね。それに綺麗な赤」

「ご主人はいつも褒めてくれる。私もとても気持ちよく走れる」

 あたしが目尻を下げてデレデレと話してる間にも、ここの村かな?集落の人達はドラゴンへ荷物を装着する手を止めていない。もうそろそろ準備も終わりそう。

「これは?」

「あなたをドラゴンの背に乗せるために鞍が必要なんです。後は、これを取り付ければ飛べますから」

 そういえば空飛ぶんだっけ。その人から安全のためベルトはしっかりつけてくださいねと念を押された。そして胸当てと兜をつけてもらってあたしも準備ができた。

「そろそろ行くぞ」

「うん」

「バイク乗るのと要領は同じだ。ベルトはかけたか?」

「大丈夫」

「後はドラゴンにこうしろって言えば、あいつらが判断して動いてくれる」

「わかった」

 鞍に跨って手綱を握る。うう、これはバイクのハンドルより頼りない感じ。

「ご主人、大丈夫だ。力を抜いて、いつものように」

「う、うん」

 赤いドラゴンがチラリとあたしを見てニッと笑う。

「まるで初めて私に乗った時のようだな」

 あの時は緊張し過ぎてキーが差し込めなくて何度もやり直したっけ。あたしはちょっと恥ずかしくなって大声を出した。

「行くわよ蓮!ボルドール!」

 その一言を合図に、二頭のドラゴンはトトッと助走をつけるとフワリと浮き上がる。そして勢いよく加速していった。

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  • 誤字、脱字の修正をおこないました。(2018/08/27)
  • 内容に影響のない範囲で、一部表現の変更や追記をおこないました。(2018/07/26)
  • 内容に影響のない範囲で、一部表現の変更や追記をおこないました。(2018/07/21)

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とじる

勇者立つ

「見えた、あそこだ」

  飛行時間は短いけどかなりの距離を移動したと思う。途中に森と川があったから、地上の移動は少し時間を取られそうだな。それにしても異世界に来ても配達ってなんだかなぁ。

「降りるぞ」

「うん」

 旋回しながら降下していく。

 自陣後方の空き地に着地すると、わらわらと人々が寄ってきた。

「勇者様!来てくださったのですね」

「ああ、荷を降ろせ。そっちに補給の矢が入ってるから早く持って行ってやれ。今、俺も行く」

「え?俺も行くって……」

 あたしがびっくりして聞くと蓮は苦笑いして言った。

「あのな、俺が行かないで誰が行くんだよ。陣の真ん中でぼーっとしてる勇者とかいないだろ?」

「でも」

 上から見たからあたしにもわかる。攻めてきてるゴブリンは結構な数だ。彼一人で対処するのは厳しいんじゃないだろうか。

「そのために補給物資を運んで来たんだ。弓矢の攻撃が続けられれば魔法を発動させる時間も稼げるし、俺は直接奴らの指揮官を狙いに行ける」

 彼は笑って言った。

「心配すんなって。あいつら単体じゃそうでもないけど数で押してくるから、ちょちょいと倒してくるとは言えないけどさ。ま、がんばってくるよ。粘れば増援も来る」

「うん」

「お前はここにいろよ」

 じゃあなと手を振って蓮はドラゴンの元へ行く。

 そして剣を抜いて高々と掲げた。

「さあ、反撃だ!奴らを追い払い交易路の安全を確保する!俺に続け!行くぞニーズヘッグ」

 ドラゴンに跨り、おおっと響めく人々の鬨の声に推されるように蓮が飛び立つ。

 威嚇するように上空に留まると剣を振って合図を送る。それを機に味方は矢を射掛け始めた。

 間断なく射掛けられる矢の雨を縫ってドラゴンが敵陣へと攻め込む。

 ハラハラしながら見ていたけどそんな場合じゃないな。せめて、あたしも何かお手伝いしよう。

「あの!何か手伝えることありますか」

「では、矢を弓士隊のところへお願いします」

「はい!」

 右へ左へと走ってなんとか矢を配り終える。そうするとあたしにはできることがほとんどない。邪魔にならないように赤いドラゴンと待っている事くらいしかできる事がないんだ。

「なんかもどかしいね。あたし達で何かできることはないのかな」

「私は飛ぶ事しかできないが」

「それだ!」

「ご主人、なにか思いついたのか」

「上空から様子を見て状況を伝えるんだよ。そしたら蓮も戦いやすくなると思う」

「なるほど」

「じゃあ、行くよ」

 ただ待ってろって言われても、何もできないなんてなんだか申し訳ない気がする。離れたところから見るなら大丈夫だろう。あたし達は上空へと駆け上がっていった。

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1

バイク好きカップルがまさかの異世界!?
という発想に度肝を抜かれましたし、最初どこにドラゴンが!? と思っていたら、こういうこと……!! と唸りました。
推測ですが、愛車がドラゴンにって、割と夢見るシチュエイションではないですかねえ(*´`*)
時めきました(´∀`*)ウフフ

大久保珠恵

2018/7/19

2

夢見るシチュですとも。ぶっちゃけると例の昆虫ぽい変身するライダー的な発想でした。
勢いで書いてたのであちこち穴だらけですが続きもよろしくお願いします
いつも表紙ありがとうございます!

作者:kiri

2018/7/19

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とじる

再び空へ

 上から見るとなんだか苦戦してるように見える。やっぱり数が多いのが気になるなあ。素人のあたしでもそう思うんだから皆の不安はもっと切実なんだろう。

 壊れかけた柵を守りながら、そこを更に壊して入り込もうとするゴブリンと戦っている。柵の壊されていない場所では近づけないように矢を射たり、あの爆発が魔法なのかな、ひっきりなしに土煙が広がり火花が散る。

 そのまま大きく周辺を回る。あたし達が来た方向に目を移すとかなりのスピードでこちらに向かってくる一団が見えた。

「きっとあれが増援の人達だよね」

「そのようだな」

「ちょっと近くに行って」

 赤いドラゴンは頷いて、すうっと降下しながら彼らに近づいていく。

 先頭で馬を走らせている人が手を振っているのが見えてきた。

「勇者様とご一緒に来られた方ですね」

「はい!つかさと呼んでください」

「つかさ様、戦況がどうなっているかおわかりになりますか」

「今、あたしが見たのは柵を越えてこようとするゴブリンをなんとか止めてるところです。後、こちらから見て右手の方が少し苦戦してる感じに見えました」

「ありがとうございます!申し遅れました。私はラウールと申します。すみません、伝言をお願いできますか」

「なんでしょうか」

「陣にトゥロという者がいます。もうすぐ我々が到着するのでそれまで持ちこたえて欲しいとお伝えください」

「わかりました」

 赤いドラゴンは高度を上げると自陣へ直行した。

「トゥロさんはいらっしゃいますか!増援のラウールさんからの伝言です」

 陣のほぼ中央で指揮を取る人が振り向いて手を挙げた。あたしは急いで状況を伝えに行く。

「もうすぐ到着するのでそれまで持ちこたえて欲しいとの事です。今、森を抜けたところを走っています。それと少し前ですけど戦ってる人達、右側が少し苦戦してるみたいに感じました」

「ありがとうございます。助かります。おい、みんな!もうすぐ増援が到着するそうだ!踏ん張りどころだぞ!」

 おお!と声が上がって皆の戦いにも熱がこもった。伝令が数人、トゥロさんの言葉を伝えに走る。

「あの……!」

「何でしょう?」

「蓮は大丈夫でしょうか」

 トゥロさんは難しい顔で腕を組む。

「勇者様の事ですから、大丈夫だと思いますが何せ数が多い。もしかしたら攻撃を邪魔されて決定打が打てないのかもしれません」

「そう……なんですか」

「心配なさらなくても大丈夫ですよ。ご無事で戻られますとも」

「ええ」

 無理矢理笑ってその場を離れたけど……

 確かにさっき見た時もあちこち飛び回ってたもんね。向こうの指揮官探しながら戦ってるんだろうし、決定打が打てないって言ったトゥロさんの言葉もわかる。でも、本当に一人で大丈夫なのかな。

 ほとんど無意識だった。なんだか居ても立ってもいられなくなって。

「蓮!?」

「つかさ?何やってんだ、戻れ!」

「ごめん!待ってるつもりだったけど、あんたが一人で戦ってると思ったら……」

 気がつくとすぐそこに彼が見える位置まで赤いドラゴンを駆っていた。

「気がついたらここにいた」

 あたしがそう言うと、彼はポカンと口を開けて次の瞬間笑い出した。

「お前、馬鹿だよな!」

「何よそれ!心配したのに」

「わかってる。ありがとな」

「もうすぐ増援が到着するし、それ聞いて士気が上がったの。それだけでも伝えとく」

「わかった」

 ヒュッと矢が上空に向かってきた。どう考えても下に落ちるだけだから空にいるあたし達に矢を射ても無駄になると思うんだけどな。でも、その中の一本があたしの赤いドラゴンの足にコツンと当たった。

「ひっ!?」

「ご主人には当たっていないし、私はちょっと当たっただけだ」

 そう言われたけどあたしは目の前が真っ暗になった。怒りで。

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  • 内容に影響のない範囲で、一部表現の変更や追記をおこないました。(2018/07/26)

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ドラゴンに乗った伝令役、かっこいいですね!!
しかもすっごく役に立ってるヽ(*´∇`)ノ
でも、蓮さんの危機に思わず駆け付けてしまうつかささん、いじらしいですねえ(*´`*)
……と思いきや、これは出る予兆でしょうか!?!?

大久保珠恵

2018/7/21

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とじる

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