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勇者を助ける【勇者さん】は大体定時に帰ります

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「未成年者を拉致った上に過酷労働?馬鹿なんじゃないですか、それなら私が定時内で働きます。」
理を創造せし神々の作った【勇者(世界救済システム)】に物申して働く、ある【勇者さん(お姉さん)】の物語。


長編ではなく、様々な短編のエピソード集。
基本は【勇者さん】のお話ですが、時々合間に他の勇者や神々のお話しも挟みます。

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目次

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#勇者さんと繋がりたい

「すみません、部長!ヒロノワの【勇者さんと繋がりたい】タグに、天使のコードから代理で救援申請がきてるんですが!」

「天使からならレコード課にも確認取って、あと本人にもレクチャーなのかレスキューなのか問いかけてくれ。内容次第で他の勇者にも回せるしな。」

「はい、連絡取ってきますね!」

パッと転移でレコード課、正式にはアカシックレコード課へ世界の記録を確認しに行く部下の神を見送っては、目の前のモニターに意識を戻す。

一番最初に我々高次元生命体である創造神に創られた【純正宇宙世界】の中の内の地球と呼ばれる場所。

さらに言えば主に日本と呼ばれるもの凄く適応能力の高い国の様々な若者。

そこから肉体ごとや魂だけを抜き出して、神々の使用するエネルギーを発生させるために、作られた量産品の様々な世界に【勇者】として転移や転生をさせて過酷な中放り込んで英雄として救済させる【世界救済システム】――そんなシステムの存在は今は無い。

全ては、神階暦で百年ほど前にやってきた、たった一人の勇者格の女が破壊したのだ。

そして女は気が付けば、ただ放り込むだけで世界状況や適正などを考えなかった勇者システムに「馬鹿じゃないの」と怒りを見せて、次々に改革していった。

転移者、転生者関係なく勇者の誰もが使える【端末式】を生み出し、世界にある程度の分類的な類似があると知れば、他者の話が解決のヒントになるだろうと、地球のネットのような勇者同士の繋がりを生み出せる英雄の為の輪【ヒロノワ】という術式を作り上げ。

あまりにも様子のおかしい世界の勇者から救援要請がくれば、解決の為に走る。

勇者は世界から安定したエネルギー放出の為に必要なので、基本的には不安定化が進んで暴走しているなどでなければ、本人を始めとした偶然にもハイティーンが適正といわれる勇者の適性年齢から外れてやってきた者や、エネルギー放出しきった世界から天使などになれる程に力を持って退役した勇者、通称【保護者】達が師匠や教師、補佐として動く。

今ではすっかり、勇者を送りこんで各々好きに過ごしてもらうことで【世界を安定化】させるシステムとなっている。

この、神格を分け与えられてもおかしくない高度な改革を与えてくれた、今では勇者たちに親しみをこめて【勇者さん】と呼ばれる女は。

「では、きっちり八時間。定時になったんで帰りますね。」

パタン、と神階暦の時間を示す銀時計の蓋を閉じては、交代まであと二時間ある私を嘲笑うように静かに仕事上がりを私に告げるのだった。

労働時間は休憩除いて八時間。給料はポイント制で好きな物資に変換。時間超過や残業・早出・休日出勤等はその分給与を支給。

最初に出会った最高クラスの神ですら、彼女が圧倒したが故の契約。

ただ、八時間できっちり複数の世界を救ったりしてるぐらいに有能なため、創造神でも下っ端の私は何も言えないのである。

修正履歴

  • 内容に影響のない範囲で、一部表現の変更や追記をおこないました。(2018/08/01)
  • 内容に影響のない範囲で、一部表現の変更や追記をおこないました。(2018/07/30)
  • 誤字、脱字の修正をおこないました。(2018/07/30)
  • 内容に影響のない範囲で、一部表現の変更や追記をおこないました。(2018/07/30)

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とじる

#勇者さんに遭遇・テオスマギア救出編

神魔導世界【テオスマギア】、それがオレが勇者として送られた世界の名前だ。

神霊と呼ばれている存在と契約して属性を得て、その属性に指向性をつけて魔道武器へ力を流すことで戦う力を得るこの世界で、オレは堕ちた神霊である【悪魔】と戦っていたんだが――・・・。

ある日、今では【魔神】と呼ぶようになった強大な悪魔が暴走し、更には通常の悪魔も活性化させたためにこの世界を急速に壊滅させていった。

「じゃあ、そろそろ行こうか。ジョー。」

「あぁ。お姫さん、アンジュ、皆を頼んだぞ。」

「お二人ともお気をつけて。危ないと思ったら引き返して下さいませ。」

「死なないでね・・・死んだら何も残らないんだから。」

魔法型の世界には必ず用意されているらしい生命用シェルター【世界樹】に、僅かに生き残った人々と人間種最後の王族のお姫様と神々の世界からずっとついてきてくれている天使であるアンジュを残して。

最初に契約した神霊であり最強の相棒でもあるゼウスを連れて、【魔神】を討つために悪魔の蔓延るシェルターの外へと躍り出た。

「あの人なら、どうにかしてくれるかもしれない。」

あまりにも過酷な現実に【ヒロノワ】を見る余裕もなく。

そしてアンジュに万が一の時の為に端末を預けていたということを、オレは忘れていたまま。

「クッソ、キリがねぇ・・・!」

戦える人間種の殆どが動けないほどの怪我を負ったか戦死した中、動けるのはオレ一人。

魔神によって活性化した悪魔は以前に比べてはるかに強く、魔神にも届かず消耗するばかり。

そしてオレは、護る為に衝動的に、オレの命を削る禁呪を使おうとした。

「オレは、オレは、姫さんや皆、この世界を護らねぇといけないんだ!」

「ジョー!馬鹿ッ!お前・・・・!」

「【魔神】を倒すにはもうこれしか――禁呪《ソウr」

「何事にも全力全開で挑むのは青春的に良いですが、かといってそれで命を落とすような真似はダメですよ。少年。」

刹那、静かな女性の声と共に命ごと力を流し込もうとした手を黒革のグローブに包まれた白い手で押さえ込まれる。

ハッと顔を上げれば、吸い込まれるような金の煌めきを感じる琥珀色の瞳。

白肌に黒髪、黒一色の装束だからかモノクロといった印象の強いオレより年上の、地球で言えば大学に通ってそうな年齢の女性がそこにいた。

「誰だお前!もしや、新種の悪魔か!?」

気配もなく唐突に現れた女性に禁呪を止められ、一瞬呆けているとゼウスが警戒態勢を取る。

でもオレは、この女性を一方的に知っていた。

「失礼、所属を名乗ってませんでしたね。【ストーリーズシステム】監督官兼勇者【保護者】代表――」

「勇者、保護者・・?」

警戒したままよく分からない様子のゼウスを尻目に、静かにするすると名乗りながらどこから取り出したのか、身の丈の倍以上はありそうな幅広の大剣を女性は振るう。

一閃。それだけで周囲の悪魔は殲滅させられていた。

「夕飯が好物のオムライスだとワクテカしながら帰ろうとしたら、残業となってしまった私です。お気軽に【勇者さん】とでも呼んでください。」

ヒロノワ創始者であり世界と勇者(オレ等)の救出を行っている【勇者さん】の登場に、助かったという感情と同時に場違いにもオムライスが好物なんて可愛い所もある人なんだなと思ったのだった。

「・・・・クロックツーダウンのズレ、と。フィー、世界構築プログラムの精査を至急お願い。」

『はいよ。――【魔王システム】にやべぇバグがあるな。しかも今発生している魔王が難易度A+、勇者適性Aランクに補佐数人つけてようやく狩れる程度だ。一回魔王格の奴を破壊して修正した方がいい。』

「これだからあいつらは適当に創りすぎなんだ・・・了解。」

周囲の殲滅で事態が一旦落ち着いているからか、勇者さんは懐からおもむろに銀色の懐中時計を取り出しては蓋を開いて誰かと会話をしながら何かを確認する。

そして一つ大きなため息をついては、勇者さんはこちらを真っ直ぐに見て口を開いた。

「少年、私と一緒に大至急魔王、いえ、この世界では【魔神】でしたね。それを倒しましょうか、30分で。」

「「はぁ!?」」

一瞬、勇者さんが何を言っているのか分からなかった。

あれだけ、オレですら未だ手の出せていない強い【魔神】を倒す?30分で?

相棒のゼウスとアイコンタクトを取っては、思わず本気なのだろうかと視線を勇者さんに戻す。

「恐らく無理だろうと考えていると思いますが、残業かつ夕飯に間に合いたい個人の都合があるので私も大幅に、出血大サービスでサポートします。」

「いや、でも30分は無理では?魔神の城までは数か月かかるだろうし・・・今のオレでは到底【魔神】を倒せないと思うんですが」

「もーまんたい、のーぷろぶれむです。『今のオレでは』、つまり少年が諦めてないなら為せば成るのです。サクッと行きますよー。」

またもやどこから出したのか、1200cc超はありそうなスポーツタイプの巨大なバイクの後ろにオレを乗せては吹き飛ばされそうなスピードで勇者さんは走り出した。

「それでは、時間は有限ですし移動しながらではありますが現状を説明しますね。」

「は、はぁ・・・」

魔神の城への道を爆走しつつ、道すがら悪魔をバイクのスピードで発生しているらしい衝撃波で殲滅しながら静かに勇者さんは話しかけてくるが、オレは戸惑いつつも大人しく話を聞く。

ちなみに、走り出してから暫くしてようやく気付けたが、このバイクも魔道武器らしく自然系統四大属性の神霊の力を彼女は借りていた。

おかげで風圧も感じずに、瞬間移動しているような速さで左右の景色が流れていく。

「今回の問題は、神々の作った、物語を動かす機構でもある世界そのものにバグが発生しているんですよね。」

「バグ、ですか?」

そう言われてよくよく考えてみれば、確かにあの【魔神】は異様に強い。

勇者講習の時に習った現システムではハッピーエンドを迎える物語を紡ぐ勇者が、どうすることも出来ずに世界が壊滅するような事態は確かにおかしいと勇者さんのバグという言葉でようやく気付けた。

オレも相当酷い状況に、いつの間にか思考が参っていたらしい。

「今回に関しては、私が完全介入が出来るレベルでの異常事態というわけですね。巻き戻し修正後の円滑なストーリー進行の為に軽く魔神との戦闘経験だけはしてもらいますが。」

「巻き戻し、修正?」

「はい、貴方と随伴の天使。あとは必要なキャラ以外の記憶を消して魔神発生前まで巻き戻して物語をもう一度進めます。今の事は、IFストーリーとなるわけです。」

「それって――」

IFストーリー。

つまりは今の状態は全部数人の記憶の中だけに残る、架空の出来事になるのだろうか。

共に戦いすぐに散っていった学園の仲間や兵士も、娘と人々を助けるために最期まで立ち続けていた国王も、世界の皆が戻ってくるのだろうか。

そして、魔神からオレを逃がすために殺された、最高の親友も。

「・・・信じられない、といった感じですね?無理もないですが。魔王システムは魔法型の世界では物語の根幹に関わるモノです、そこがダメとなれば大幅な修正を掛ける程の大問題なのですよ。」

「でも、それならさっさと魔神だけアンタが倒した方が早いんじゃねーか?」

ひょこりと省エネモードで小さくなってるゼウスがオレの髪の中から顔を出しつつ問いかける。

丁度そこで、禍々しき城の前で勇者さんがバイクを止めた。

「【保護者(オトナ)】が甘やかしすぎては、【勇者(コドモ)】が成長しないでしょう?」

駐車時に衝撃波で殲滅したのか周囲の悪魔は一体も居らず、勇者さんは優雅にコートの裾を翻してバイクから降りたのでオレも慌てて後を追うように降りた。

「確かに、私が一撃で仕留めてすぐに修正すれば話は早いでしょう。」

「だったら・・・」

「でも、それではダメです。本来人間は生き返らない、どの世界も基本的に時間は巻き戻らない。今回はあくまで【失敗してしまった神々(バカ)】の都合で巻き戻せるのですから。」

そうだ。勇者さんが来て安心したことで忘れていたが、壊れたもの、亡くなった者は本当は元には戻らないんだ。

それを思い出して思わず立ち止まるオレに、勇者さんは少し前でこちらを振り向いては、薄く微笑んでどこか優しい静かな声をかけてきた。

「行きますよ、魔神は目の前です。あぁ、戦闘に関するヒントですが。『基本的にどの世界でも大まかな物理法則は地球と似てる』んですよ。人も、世界も。」

「地球と似ている、ですか・・・?」

「えぇ、後は少年がちゃんと理科系の閃きが出来るかどうかです。私が今回君に残して行けるのは、遥か上の存在との戦闘経験だけですしね。」

物理法則の類似。理科。

本当に何もかも巻き戻ってオレを始めとした数人の記憶だけが残るなら、経験を積ませようとしているのは勇者さんなりの餞別なのだろう。

魔神周辺までの悪魔を倒してあるのか、オレなりに考えながら勇者さんと二人で魔神の下まで歩く。

オレの手札は手持ちの長剣型の魔導武器と神霊であるゼウスだけ、他の神霊はサポート型で勇者さんには見せてないからゼウスの属性に関するヒントで間違いはないと思うけども――ゼウスの属性は『天雷』と『正義』。

――『天雷』?当然のように使っていた属性だが理科的な閃きというヒントを聞いた今、雷電を纏い操作するその属性は電気として化学的な利用すれば、色々出来ることにオレは気付いた。

「は、ははっ・・・電気分解、神経、出来ること多いじゃねぇか!」

「『異世界だから』――凝り固まっていた思考の準備運動は終わりましたか?」

「はい、ぶっつけ本番になりそうですが。」

「それは良かった。【勇者】とは【主人公】でもあります。急な本番という不可能ですらココロの持ち様で可能にする、それに私も居ますから安心して全力でぶつかって下さいね。」

極限が続けば思考を鈍らせ、異世界という先入観が魔法の使い方を固定する、それをオレは思わず笑いが零れてしまうほどに痛感した。

心も落ち着き、思考も晴れると段々と体も心なしか軽くなる。

それに、何よりもいざという時は救い上げてくれる【勇者さん(オトナ)】が居るというのは本当に心強く感じる。

「【勇者】とは勇ましきモノ、英雄への道を歩む若人。――存分に少年の力を奮ってください。」

先程も振るった大剣を手に、魔神の居る部屋のドアを開けながらこちらを見る【勇者さん】の眼は。

とろける蜂蜜のような日差しを遮る紅葉ような、優しさを溶かし込んだ色だった。

「本当に、ありがとうございました。」

「いえ、コレも私の仕事ですから。」

その後、雷電で神経の反応を加速させるという新技を魔神相手にぶっつけで試して成功させては、何とか魔神の腕一本を奪うことが出来た。

最終的にはあまりにも強すぎて勇者さんが倒してくれたが、新技や心構えなど得たものは多かったと思う。

「修正も完了しましたし、そろそろ私は帰りますね。本来の定時過ぎてますし。」

修正前の記憶は俺とアンジュ、あとはゼウスと本人の希望でお姫様が残し、綺麗さっぱりに魔神の現れなかったという形の次の日まで世界は巻き戻された。

パタンと来た時のように銀時計を眺めていた勇者さんは、静かな声で帰還することを伝えながら蓋を閉じる。

一時間にも満たないのに濃厚だった彼女との時間は終わりが近い、その事実にオレは思わず勇者さんに一つ頼みごとをしていた。

「えっと、その、ヒロノワに勇者さんが来たことを載せたいので一緒に写真撮ってください!」

「あ、いいですよ。」

「あっさりとOK!?」

断られるだろうと思ってダメ元で頼んだのだが、しれっと承諾されて思わずツッコんでしまった。

でも、よく考えれば【ヒロノワ】を創ったのもこの人だったな。

「上げてもらえれば『助けてくれる人がいる』というが色んな所に伝わりやすくなりますからね。端末を天使に預けていたのも良い判断でしたよ。」

静かに僅かに微笑む【勇者さん】は、オレと一緒に剣を構えているポーズでツーショットを撮影させてくれてから、夕飯が待っていると帰っていった。

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[ジョー]

 色々心配かけましたが、勇者さんが来てくれました。

 写真は解決後のものです。ありがとう勇者さん!

 #勇者さんと遭遇 #魔法型世界

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[***]生きてたか、よかった!天使ちゃんもファインプレーだったな!

[***]勇者さんの剣デッカイwww

[***]今日も勇者さんは世界と勇者を救ってますなぁ。お帰りなさい。

[***]ライダースーツにコート姿ってレア衣装じゃん

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ヒロノワにUPした報告に、魔神が来る前に少しずつ交流していた人、そうでない人、色々な【勇者(仲間)】からコメントが届く。

そして端末を開いて初めて、端末を預けていたアンジュがオレの為に勇者さんを呼んでくれていたことを知った。

「別に、ジョーが死んだりしたら悲しいから呼んだだけよ?」

アンジュにそのことを聞いてもツンとした様子で深くは答えなかったが、シンプルなその言葉に笑みがこぼれてしまう。

今日オレは、『助けてくれる人がいる』ということを知ったのだった。

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【モノコン2018物語部門 予選通過のお知らせ】「勇者さん」と呼ばれる非常に有能な勇者が、他の世界にいる勇者を救済していく物語。有能だけどあくまで定時内で任務を終わらせようとする「勇者さん」のキャラクターがユニークで楽しく読めました。今後も【勇者さん】の色々な活躍をもっと読んでみたいです。

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