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音ガール 完結

ある日突然、音符が女の子になった

更新:2018/8/12

テケネメ

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千年に一度現れるという音の精霊、音ガール。その正体とは!?

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 家に帰り、二階の自分の部屋に急いで上がった。

 家の中に誰もいないことは分かっているのに、意味もなく自分の部屋の前を見回したあとに、扉を閉めて鍵をかけた。

 汗ばんだ手で、ベッドの上に放り投げた学校の手提げから、例のぶつを取り出した。

 やってはいけないことだと分かっていた。それでも今日俺は一線を超えてしまった。

 今、俺の右手には、細長い革袋が握られている。中身は、学校一の美少女、芹沢佳代子先輩のリコーダーだ。

 

 今までこんなことするやつはアホだと思っていた。

 

 しかし気づけば俺は上級生の教室に一人で忍び込み、先輩の机の中からこれを盗んできてしまっていた。

 なんということをしたのか。だんだんと頭の中が冷静になってきて、大きな罪悪感に包まれる。

 それでも手は自動的に袋を開け、笛を取り出していた。

 白く、柔らかくカーブした笛の先端を、口に含んだ。

 それはやや、しょっぱかった。

 笛を吹いてみる。

 めちゃくちゃな音がなる。

 こんなんじゃだめだ。先輩に申し訳がない。

 ドの音はどう出すんだっけ、スマホで調べた。

 ああ、僕は今までこんなにもストイックにリコーダーを吹いたことがあるだろうか。

 というか音楽の授業に真面目にでた記憶が無かった。基本屋上でサボっていたから。このリコーダーを盗んだタイミングだって、自分のクラスでは音楽の授業をやっていて、先輩のクラスが体育の授業中のときだった。

 まあ、今はそんなことどうでもいいか。

 ポーーッ。

 思いが楽器に通じたのか、今度はとてもいい音がなった。

 ポーッ。ポーッ。ポーッ。

 先輩。先輩。先輩。

 先輩のことを思いながら、俺はリコーダーを吹き続けた。

 

 吹いている内に、音はどんどん綺羅びやかになる。

 感情が乗り、意思が乗り、心が乗った。

 生命さえ、音に合わさった感じがした。

 ポーーーーーーーッ。

 頭に響くような音がなったその時、リコーダーがこわれた。

 同時に、音の質量が現実になったような、そんな見た目の光の玉が目の前に現れ、そして弾けた。

 大きな、強い光に包まれ、思わず目を閉じる。

 目を開けると、黒の全身タイツを着たブサイクな女が目の前に立っていた。

「こんばんわ。私は音の精霊、音ガール」

 女はト音記号のようなポーズを取っていた。それを崩さなかった。

 俺は女にビンタすると、ベッドに入って眠った。

 とてもよく眠れた。

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【モノコン2018物語部門 予選通過のお知らせ】リビドー暴走系なのかはたまた青春の1ページものかと思わせておいてのキレのある終わり方、面白かったです。納得できる解決のないエンディングの、もやもやしたスピード感が後味最高でした。

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ありがとうございます。
すいません、なんかコメントに気づかなくて。まさか予選通過してたとは、、、
予選通過すればいいなあとかは思ってたのに。まさかしてたとは。すごい嬉しいです。ありがとうございます。

作者:テケネメ

2018/9/13

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