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彼の為に生きている訳じゃないけど、彼のそばで生きていたいと思っている私を私は大事にしたい 完結

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男女カップル

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いつかはこんな日が来ると思っていた。覚悟はしていた。

その時になって分かる事があった。どれだけ覚悟していても嫌なものは嫌なのだ。

「私、音符から生まれたの」

とうとう言ってしまった。出来る事なら言いたくなかった。告白されたのが嬉しかったから、言わないといけないと思ったんだ。だって自分の事を隠して付き合うのは私には無理だったから。

「告白の返事は?」

すると彼は私の言葉を聞いてなかったかのように、そんなことを言った。

「え。私の話、聞いてた?」

「聞いてたけど俺の方が先だったし」

「なにそれ」

しかし彼の目は真剣。

私は心を決め、彼に言った。

「……私も好き」

その瞬間、彼が私をギュッと抱きしめた。

「大事にする」

その言葉、その体温に私はトロけそうになった。

が。

「私の告白はどうした」

私はそう言って彼を突き飛ばした。

「なんだよ」

「だから私の告白についてよ」

「彩音が音符さんから生まれたこと?」

「なんか可愛いけど違うから、それ。正真正銘の音から生まれたの私」

「ふうん」

数秒の沈黙。

「それが?」

「それがって気持ち悪くないの?」

「そんなんいったら俺は人間から生まれたよ」

「別にそれは気持ち悪くないでしょ」

「なんで?」

「いや、それが普通だから」

「普通だったら気持ち悪くないんだ」

「……」

黙ってしまった私に彼はフッと笑った。

「どうでもいいよ。俺は彩音がいればそれだけでいいんだから」

「そういうもん?」

「そういうもん。だって誰かを好きになった時点でそれは普通な事じゃなくて特別な事になるんだからさ」

彼はそう言って私の頭を撫でた。

人間になって分かったことがある。人生は恋愛の他にも楽しい事が沢山ある事に。今の私は彼の為に生きている訳では無い。自分の為に生きている。だけどその「自分」には彼が含まれている訳で、そんな自分が少し照れくさくて大好きなのだ。

「あ」彼が突然声を上げた。

「なに?」

「ラの音から生まれただろ?」

「どうして?」

「だって俺、小さい時からラの音が好きだから」

「なにそれ」私はクスッと笑い、そして彼にキスをした。照れ隠しと嬉しさのキスだ。彼も私のことを好きだったなんて。

黙っておこう。

私も小さい時の彼に一目ぼれしていた事を。

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【モノコン2018物語部門 予選通過のお知らせ】かわいらしい短編小説ですね。不思議な設定だけども実は幼馴染とかいいですね。この部分、実は紆余曲折あった物語のラストシーンとかなのでは?と思うくらいのハッピーエンドで読んでて幸せになりました。

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ありがとうございます。ツイッターで書かれていた紹介文「1分で幸せになれます。」という言葉も素敵なコピーで、とても嬉しく思いました。

作者:アマツミカ

2018/9/14

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とじる

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