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犯罪促進部 完結

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個人的には、1番好きな物語。フィクションだけど、ひょっとしたら存在するんじゃないかって思わされる部活のお話。

1位の表紙

2位

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 「613番」

 名前を呼ばれた。

 「お前はーっと。おっ、コオロギの所か。まぁ、死なない程度に頑張れ」

 コオロギ。それが新しいボスの名前・・・。

 「んじゃこれ新しい職員証。忘れていくと殺されるから気をつけろよ」

 「わかってます」

 見た目には『職員証』と書かれた普通のカード。でもこのカードに縛られて、私は生きている。

 指定された住所へと向かう。

 『会員制BAR 蟋蟀』

 1階から8階まで、すべてのフロアにスナックが入ったビルの7階。いかにも人を寄せつけない造りのドア。

 渡された鍵を使って教えられた手順でドアノブを操作する。ドアを開けると中は真っ暗だった。中へと入りドアを閉める。

 突然、腹部に衝撃を感じた。身体が壁まで飛び、激突して落ちる。凄まじい衝撃だったが、手加減されているのは分かった。

 「最初の蹴りを避けられた奴は今までに34人。避けられなかった奴は今まで2人・・・」

 独り言のように呟きながら男が近づいてくる。髪の毛を掴まれ、無理やり引き起こされた。

 「だが、避けなかった奴はお前が初めてだ。名前は」

 髪の毛がプチプチと抜ける音がする。

 「613番」

 一瞬の沈黙があった。

 「あぁ、お前シャムヘイルの人間か」

 もう聞き飽きた言葉。

 「はい」

 「613は不便だな。今日からはキツツキと名乗れ」

 キツツキ?

 「いいんですか?キツツキで」

 「不満か?」

 「食べちゃいますよ?コオロギ」

 男はハハと笑った。

 「いい度胸だ。そのつもりで働け」

 「はい」

 それが、私とコオロギの出会いだった。

 「職員証を見せろ」

 私とコオロギは、クラブ風に作られた事務所内で向き合っていた。

 「はい」

 職員証を見たコオロギが眉間に皺を寄せる。

 「番号の末尾が1になってるぞ?なくしたのか?」

 訊かれると思っていた。

 「前の仕事で粉砕されました」

 「粉砕?」

 「身ぐるみを剥がされてドリルで襲われたんです。隠し持っていた職員証でドリルを受け止めました」

 「隠し持っていた・・・?身ぐるみ剥がされたのに?」

 「はい。職員証だけはなくすなと言われていたので」

 コオロギは無表情で話を聞いていた。

 「淡々と話すんだな。プロフィールを見せてみろ」

 カバンからB4二つ折りの書類を渡す。

 「ほーぅ、スタイルは二丁拳銃か。こりゃパートナーとしては初めてだな。銃はグロック19か、見せてみろ」

 私は背中に仕込んだ2丁のグロックをテーブルに置いた。コンパクトなモデルだが、サイレンサーは長めにしてある。

 「まるでマジシャンだな。リロードはどうするんだ?隙にならないか?」

 私はコオロギが話し終わるのを待たずに立ち上がり、2丁のグロックを構えマガジンを外した。スカートを払い、下半身を露出させる。大腿部には左右3つずつマガジンが仕込んである。目を真正面に向けたまま両手を振り下ろし、その動きでグロックにマガジンを装填。脇腹にスライドをあててリロードし、2つの銃口をコオロギに向けた。装填済みだった銃弾が床に転がる。

 「全部で1秒ちょいか。見事だな」

 「ありがとうございます」

 「得意分野は戦闘と暗殺か・・・」

 コオロギが渋い顔をする。

 「何か問題でも」

 「俺と同じなんだよな。なんで本部はそういうのをよこすのかね」

 「あぁ。そういうことですか。狙撃手がいないんですね」

 コオロギは首を縦に2度降った。

 「察しがいいな。昔から狙撃だけは苦手なんだよ」

 「私もです」

 「ひょっとしたら頼むことがあるかもしれん。心づもりだけはしておいてくれ」

 「はい」

 「ところで、あれは何です?」

 壁に磔にされている男と女がいる。2人とも猿ぐつわを噛まされていた。

 「あぁ、ちょっとしたテストだよ」

 コオロギが立ち上がる。

 「この2人はいたって善良な市民だ。ただ、強欲な資本家が邪魔だと感じたらしい。依頼されたから連れてきた。任せられるか?」

 悪者の依頼で善良な人間を殺せるか。そういうことだろう。

 「感情に流されるなよ」

 「はい」

 2丁のグロックの引き金を同時に引く。サイレンサー独特の鉄板が割れる様な銃声が部屋に響いた。先程までバタバタしていた2人の動きがピタリと止む。

 「上出来だ。じゃあ後始末といこうか。」

 人を殺すのは簡単だ。最も難しいのは死体の処理。殺人だと感づかれないこと。それがベスト。

 死体の処理を終えて、私達はファミレスに入った。

 「シャムヘイルでの生活はどうだった?」

 「覚えていません。あそこの教育メソッドは極秘ですから、卒業と同時に記憶消去のカリキュラムがあります」

 「なるほどね」

 コオロギはチキンステーキのプレート。私はカルボナーラ。

 「この仕事は感情に流されないことが最も重要だ。足を洗うことの出来ない仕事だからな。でもまぁ、シャムヘイル出身者には、釈迦に説法か」

 「釈迦に説法?」

 「お前の方が凄いって意味だ。そういえば、苦手な分野はあるのか?」

 プロフィールに書いたつもりだったが読んでいないのだろうか。

 「色仕掛け、ハニートラップは苦手です」

 コオロギがポテトサラダを食べながら私を上目遣いに見た。

 「うんまぁそれは、見ているとなんとなくわかる」

 その言い方には、少しイラッとするものがあった。

 「これからボスに会わせる」

 そう言われて驚いた。

 「コオロギがボスじゃないんですか?」

 「あぁ、知らなかったのか。俺はただの幹部だよ。うちのボスはギムレットって人だ」

 ギムレット。聞いたことがある。情報操作のスペシャリストだ。

 「ここ」

 そこは見た目には保険会社のビルだった。コオロギは受付嬢に「ギムレットを」と言った。

 「社長室でお待ちです。こちらを」

 セキュリティーカードらしきものを渡される。カクテルグラスの絵があしらわれていた。

 「離れるなよ。手順を間違えると殺されるから」

 「はい」

 外からはただのビルにしか見えなかったが内部構造は複雑だった。会議室で区切られた廊下は狭い割に見通しがいい。会議室の壁は全て磨りガラスだが、恐らく内側から廊下は丸見えなのだろう。こちらを見つめる気配を感じる。潜入も戦闘も難しい場所だと感じた。

 エレベーターに乗り、4階で降りる。コオロギは真っ直ぐな廊下を進み、社長室と書かれた部屋のドアをノックした。

 「どうぞ」

 と女性の声がする。コオロギがドアを開けた。ここに来るまで至る所にカードリーダーがあったが、結局渡されたカードは使わなかった。

 「ご無沙汰しています。ギムレット」

 ハーフだろうか。金髪の女性が立派な肘掛け椅子に座っている。

 「新入りを紹介に来ました」

 この人がギムレット?てっきり男性だと思っていた。でもなんでだろうか、どこかで会ったことのあるような気がした。

 「キツツキ、と申します」

 何故か、目を合わせていられない。

 「私の名前はギムレット。お前のボスだ。依頼はコオロギを通して伝える」

 「はい、ギムレット先生」

 一瞬で場の空気が凍りついた。今、自分は、なんと言った?

 恐る恐るコオロギを見ると目を見開いて固まっていた。

 カチッ

 ギムレットがタバコに火をつける。深呼吸をするように煙を吸い、吐き出す。

 コードネームには敬称を付けないのが原則だ。いくら年上のボスでもコオロギはコオロギ。

 「先生、か・・・」

 ギムレットが呟く。

 コオロギは唇に力を込めた表情を送ってきた。(殺されるかもしれない)と言っている。

 「ということは、キツツキの名付け親はお前か」

 「はい」

 「キツツキ、本名はなんと言う」

 「613番です」

 ギムレットはまた大きく息を吐いた。

 「なるほどね」

 ギムレットは何も武器を持っていない。私にはグロック。それでもコオロギの言う通り、私は殺されるのかもしれないと思った。

 「私の素性を知る者は、このビルにすら一人もいない。手がかりを持つ者さえも。ただコオロギ、お前がキツツキという少女を連れてきたことで状況は変わった。コオロギもキツツキも悪くはない。悪いのはシャムヘイルだ。記憶消去なんてことをするから、こんなときにボロが出る」

 私、やっぱりこの人と会ったことがある?

 「まぁ今日は帰りな。新入りの紹介に来ただけなんだろ?」

 「はい。分かりました。それでは失礼します」

 「失礼します」

 社長室をあとにする。2人で大きく息を吐いた。そしてビルを出て深呼吸。

 「殺されると思ったなー。2人とも」

 「ごめんなさい」

 この世界で相手の素性を明かすのはタブーだ。敬称を付けないというルールもそこからきている。

 「ギムレットさん、ぐらいならまだ潰しがきいたんだろうけど。さすがに先生はまずかったな」

 「自分でもなんであんなことを言ったのか」

 「ギムレット、シャムヘイルにいたのかな・・・」

 「多分それ、考えてると殺されますよ」

 「それもそうだな」

 今日は確かもう1件殺しの依頼が入っていると聞いていたが、2人で事務所に戻ってシャワーを浴びて寝た。

 (ギムレット。ギムレット?違う。もっと、違う、名前・・・犯罪促進部・・・)

 「おい、起きろ」

 コオロギに頬を叩かれた。眠りは浅い方なのにここまで接近を許すということは、昨日余程疲れたのだろう。

 「外にギムレットの手下がいる」

 素早く身体を起こすとコオロギは目を逸らした。

 「殺されるんですか?」

 「いや、殺られるならもう殺られてる。多分威嚇だろう。本気なら姿を見せるなんて真似はしない」

 それもそうだ。

 「だがな、お前、寝言を言ってたぞ」

 寝言?

 「犯罪促進部」

 「犯罪促進部・・・?」

 「覚えがないか。でもなんとなくヤバいオーラがする。寝言でも口にするんじゃないぞ」

 寝言を言わない訓練も受けたはずなのに、なんでだろう。

 「ごめんなさい、コオロギ」

 「謝るな、何かの歯車が噛み合っちまっただけだ」

 ネグリジェを脱いで、いつもの服に着替える。コオロギは後ろを向いてしまった。

 「堂々と玄関から出て、仕事に行くしかないな」

 「はい」

 結局その日、ギムレットの手下達は何もしてこなかった。そして2日目の朝には姿を消していた。

 「やはり威嚇か」

 (違う、これは威嚇じゃない)

 直感的にそう思っていた。あの手下達は、恐らく私へのメッセージ。ギムレットに感じたのと同じ既視感を呼び起こす人物が中に紛れていた。私に記憶を取り戻させようとしている?それとも思い出すなという警告?

 「コオロギ、ごめんなさい」

 「倒置法で来ましたか」

 そう言ってコオロギは煙草に火をつけた。

 「シャムヘイルって、どんな所なんですか?」

 「居た奴に訊かれるとは思わなかったな」

 朝食はベーコンエッグ。

 「その辺まで忘れんのか?」

 「多分教えられてないんだと思います。必要のないことなので」

 コオロギは(なるほど)と首で答えた。

 「俺もよくは知らん。あくまで噂レベルだ。元々は死刑囚を兵隊に育成する施設だったと聞いている。そして今では身寄りのない子どもを殺し屋に育てる機関になった、ということらしい」

 想像通りの答えだった。

 「ギムレットに訊くわけにはいきませんか?」

 「殺されてもいいと思うなら、訊いてみてもイイと思うぞ」

 思っているより軽い応えが帰ってきた。

 「いいんですか?」

 「そりゃ最初は俺もビビったけどさ。よく考えれば俺のとこに来て死んだ奴は山ほどいるんだ。俺だって最初は新入りだった。先輩が全員死んだからこうしている。自分の正体を知りたくて死ぬ奴がいてもおかしくないと思ったわけだ」

 この人は、不安になるとたくさん喋る癖がある人だ。

 「これは足しになる情報か分からんが伝えておく」

 (?)

 「俺はギムレットのあんな表情をこれまでに見たことがなかった。なんというか、包み込まれるというか、優しいっていうか」

 「ありがとうございます、十分です」

 社長室。目の前にはギムレット。

 「雪永先生」

 ギムレットの眉がピクリと動いた。

 「殺されに来たのか?」

 「そうかもしれません」

 ギムレットはため息をついた。

 「感情に流されるなと言ったはずだ。このままでは自分の目を抉ることになるぞ」

 「自分の目を、ですか?」

 「オイデプス王。自分のことを知りたいという欲望に負けて悲劇を招いた男だよ」

 シャムヘイル、私、雪永先生・・・。

 「犯罪促進部。雪永先生はその顧問でした」

 椅子に座っていたギムレットが飛び出し、デスクで1度踏み切る。次の瞬間、首にはナイフが当てられていた。

 「調子に乗るなよ、ガキが」

 (今日は新入部員を紹介する!613番だ!ほら、自己紹介しな)

 「613番です。手先は器用ですが、まだまだパソコンは苦手なのでよろしくお願いします」

 (最初はみんなそうだよ。私もただの事務員だったんだから)

 「ありがとうございます。精一杯頑張ります」

 ギムレットが目を丸くしている。気づくと自分の目から涙が溢れていた。

 「お前・・・」

 なぜ、この記憶だけ覚えているんだろう。思い出してしまったんだろう。

 「記憶消去がうまくいかなかったのか、いまの技術がザルになったのか」

 ギムレットはアンティークなデスクに斜めに座ってタバコを吸っている。

 「よく覚えてたな」

 「コオロギの事務所内で囲まれたとき、既視感を感じる相手がいました」

 「504番。お前と1番仲が良かった女の子だ。あの子もここで仕事をしている。そのヒントで気づくなら、知りたいことを話してやろうと思ったんだ」

 「なぜですか?」

 「1番」

 心臓がドクンと跳ねた。

 「番号なんて記号。何度もリセットされてるから意味なんてない。でもやっぱり1番って番号には心惹かれるよな」

 「やっぱり、そうなんですか?」

 「そう。コオロギもシャムヘイルの卒業生だ。本人はまったく覚えちゃいないけどな」

 今日殺される覚悟でここに来たのはそのため。私は私以上にコオロギのことを知りたかった。コオロギの、どこか懐かしくて落ち着く空気。

 「イチ。卒業までそう呼ばれていたよ。それと、もう1つ教えてやろう、大サービスだ」 

 ギムレットは、私と真正面に向きあった。

 「そのとき、私はゼロと呼ばれていた。あいつと私は同期なんだよ」

 「お前に先生と呼ばれた日、なぜ生きて返したのかずっと考えてた。そして答えがでた」

 「コオロギに、記憶を取り戻して欲しいんですね」

 なんとなくそう感じていた。この2人には、何かある。

 「うん、多分、そうだ。別に恋仲とかそういう訳じゃない。でももう一度イチに会いたいと思うことはあった。そこにお前が現れた。叶わないと思っていた願いの鍵を手にしてしまったわけだ」

 ギムレットは辛そうだった。

 「でもそれは、私にもコオロギにもリスクがある。素性を探ることはタブー。これはお互いの命を失う結果になりかねない」

 「私は、命をかける価値があると思います」

 自分の原点が分からないことの辛さは知っている。その辛さを克服できれば1人前になれると人には言われた。でも私の心の中の空洞は広がるばかりだった。多分コオロギは、過去をすっかり忘れ、一人前になった1人なのだ。

 「そこに座りな」

 応接用のソファーを勧められた。ギムレットはデスクへ戻る。

 「少し、昔話をしようか」

 「シャムヘイルには部活動があった。野球部とか、美術部とか。自分が何部だったか、覚えてるか?」

 「覚えてません」

 「お前は服飾部だった。今着ているその服。普段着にも使える戦闘服。何着も持ってるだろ?それ、全部自分で作ったんだぞ」

 おもわず胸を抑えた。この服が?

 「太ももにマガジンを仕込むからって、スカートの翻り方にもこだわってた。布地から加工までな。お前は大真面目だったが、男子には刺激が強過ぎだって評判だったよ」

 そうだったのか。意識したことがなかった。

 「で、お前の技術は完成されていたし、新しい技術を仕込みたいと思って、私が服飾部から引き抜いたんだよ。普通の学校と違って、一定レベルに達したら他の部へ移るってのが習わしだったからな。幅広い技術を身につけさせるために」

 「それが犯罪促進部」

 「そう。この世で1番腐った部活だ」

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 「今日は新入部員を紹介する!613番だ!ほら、自己紹介しな」

 勢いよく背中を叩かれた。

 「613番です。手先は器用ですが、まだまだパソコンは苦手なのでよろしくお願いします」

 「最初はみんなそうだよ。私もただの事務員だったんだから」

 雪永先生の手が肩に乗る。

 「ありがとうございます。精一杯頑張ります」

 部室は壁が真っ白で窓がなかった。壁際が全てデスクになっていて、パソコンが並んでいる。6人の生徒が勢い良く立ち上がって私を見た。

 「よろしくお願いします!」

 6人が揃って言う。雪永先生が小さく笑った。

 「そこまで固くなることはないんだけどな。そこはやっぱりシャムヘイルなんだな。みんな戻っていいよ」

 6人の生徒がパソコン作業に戻る。

 「先生は、シャムヘイルの人ではないんですか?」

 初めて会ったときからの違和感だった。

 「いや、ここの卒業生だよ。でも卒業してからはここの事務員だった。だから他の先生とは確かにちょっと違うかもね」

 「事務員は人を殺さないんですか?」

 「殺さないね。でも、殺しているとも言える。それにこの部活は私の仕事から生まれたんだけど、ある意味1番人を殺してる」

 部活には暗殺や狙撃、毒等を扱う部もある。卒業前に経験が積めるということで人気が高かった。

 「ある意味・・・」

 雪永先生はパンッと手を叩いた。

 「そうだな!今日は新入部員も入ったし、作業は一旦止めてオリエンテーションといこうか」

 6人が意外そうな顔で雪永先生を見た。

 「ちゃんと説明できてない子もいるしな。そうだそうだ、調度いい。みんなこっちに椅子向けて。613番はこの椅子」

 私たち7人の生徒は教室の真ん中に集まって座った。雪永先生が前に立つ。

 「私が事務員の時に何が起こったか。そもそもシャムヘイルがどうしてこういう機関になったのか、説明しきれてなかったと思う。部の活動にも関わることだから伝えておこうと思う。テストもなければ罰もない。ゆっくり聞いてくれればいいよ」

 この言葉は意外だった。

 「シャムヘイルが設立されたのは戦時中だった。戦死による深刻な人手不足。財政を圧迫し、収容場所もなくなって来ていた受刑者の取り扱い問題。それらが重なって、まずは死刑囚を戦地に送ることになった。刑務所をそのまま育成施設にしたんだ。それがシャムヘイルの始まり。でもあっという間に人は死ぬ。それで死刑囚だけでなく、受刑者全員が戦地に送られる対象になった」

 初めて聞く話だった。

 「知らなかったろう?教える必要がないからね。でもここからが重要なんだ」

 雪永先生は腕を組んで壁にもたれた。

 「受刑者はほとんどが戦死したらしい。そして戦争は終わった。我が国は戦争には勝利したが深刻な財政難が残った。そして今度は大量の戦争孤児を抱えることになったんだ。そこでシャムヘイルを利用しようとするものが現れて、君たちの大先輩が生まれた。シャムヘイルにはその時点で既に優れた訓練プログラムがあったからね。それがどんどん変化して、今のプログラムになった。つまり、兵隊育成でなく、殺し屋を育てるプログラムに。なんでかわかる?」

 「わかりません」

 7人が声を揃える。

 「殺し屋は、金になるんだよ」

 カネ。依頼を受けて貰うもの。

 「それで国は子どもをどんどんシャムヘイルに送ってくるようになった。財政難の救世主というわけ。卒業生は世界各地で仕事をした。やがてシャムヘイルの名は世界に轟くようになった。でも世界はそう甘くはなかったの。何が起こったかわかる?」

 「わかりません」

 「たまには自分で考えようね。殺し屋が活躍し過ぎて、あるときから依頼が減り始めたんだ。国は焦った。このままでは育成にかけた金が無駄になる。そこで国はシャムヘイルにある依頼を出してきた。それがこの部活の原点」

 「犯罪促進?」

 504番が言った。

 「そう!いいよ504番。要は依頼を増やす依頼だね。シャムヘイルの幹部たちは必死で頭を捻った。どうすれば依頼が増える?人口を増やす?暴力的な組織を作る?内戦を起こす?でもどれも有効には思えない。カネはかかるのに効果が未知数。そこで私がポロッと漏らした一言がある幹部の耳に入った」

 『この法律、穴だらけですね。悪用したら大儲けできますよ』

 「当時私は法律の教科書を作ってたんだけどね。法律の穴がよく目に付いたんだ。その発言が幹部会で取り上げられて、私が祭り上げられた。呼び出しを食らったときは殺させると思ってたよ。そこで言われたんだ」

 『不備のある法律のリストを作って欲しい。そして、悪用される法律や制度には何が必要か、分析してくれないか』

 「私には10人の部下と犯罪促進部部長という肩書きがついた。初めはよく分からなかったけど、仕事をするうちに段々正体が掴めてきた。そして実際に依頼の件数も増えてきたんだ」

 6人の部員はやっと納得したような表情をし始めた。

 「法律や制度をわざと悪用されるように改正する。それが私たちの仕事だった。もちろん私たちが出すのは案であって、決めるのは国だけどね。犯罪促進部の仕事は全世界に広がった。依頼はみるみるうちに増えた。法律や制度で泣いたり笑ったりする人たちが増えたってわけ」

 直接には殺さないとはそういうことか。

 「依頼は増えた。でも自殺も犯罪も急激に増加したんだ。その頃私は、シャムヘイルで1番人を殺した女と呼ばれるようになった。直接殺したことなんてないのにね。その荷が重くて後身に仕事を譲ったってわけ。その条件が、シャムヘイルで犯罪促進部の人材育成をすることだったの。わかったかな」

 「はい!」

 私だけタイミングがズレた。

 「わかった?613番」

 「はい、雪永先生」

 雪永先生は私を見ながら頷いた。

 「じゃあ、うちの部員を紹介するね」

 6人がサッと立ち上がる。私も遅れて立ち上がった。

 「まずは504番。彼女は罰金刑を担当してる。罰金の条文を納得のいかないものにするのが彼女の仕事。警察ってのは案外殺し屋のターゲットになりやすいんだ。恨みを晴らしにくいからね。だから、わざと腹の立つような罰金刑を作ってもらってる。

 次は539番。彼は主に校則。彼の仕事は大きく分けて2種類。生徒が教師を恨む校則と、教師が生徒を恨む校則を作ってる。生徒は校則によって生まれた不平等で教師を恨んだり、教師は暴走する生徒をどうすることも出来ずに恨んだり。学級崩壊係とも呼ばれてるね。

 次は443番。彼女は建築基準法を担当してる。要は破りやすい安全基準作りかな。建築は動く金が大きいから、恨みは直ぐに依頼に繋がるんだ。欠陥建築製造係だね。今つけた名前だけど。

 次は501番と705番。この2人は法律全般を担当してもらってるエース。何をしてもらっているかというと、合法だけど悪用すれば人が泣きを見る法律の研究をしてる。本部からの評価も高い部門。その分難易度も高いし、範囲も広いから2人で担当してもらってる。ひょっとしたらいつかは、全員がこの担当になるかもしれないくらいに重要なところ。

 最後は606番。彼が担当しているのは穴のある安全。安全対策とか安全基準かな。疎かにしやすい基準、監視が杜撰になりやすい基準を作って事故を起こさせるのが主な仕事。そういう事故は加害者が十分な罪に問われないから、こっちに依頼が回ってくるんだ。十分な罪に問われないようにしてるのもうちだけどね」

 雪永先生は「ふぅー」っと息を吐いた。

 「これで全員。もちろん本部の犯罪促進部ではもっと高度な仕事を幅広くやってる。私たちの案が本部に送られて、採用されれば国に送られる。修正されることが多いけど、それでも評価高いよ、うちは」

 「1番、人を殺しているんですね」

 思わず呟いた。

 「1番泣かせてもいるね。いきようのない恨みってのを作ってるのは大体本部とここだから」

 雪永先生は悲しい顔をした。

 「あの、私は何をすれば・・・」

 仕事が専門的過ぎて、正直自分に何かが務まるようには思えなかった。

 「そうそう。本部でも着手のし始めで、こっちでもやってくれって珍しく依頼があったんだよ」

 そう言って、雪永先生は記憶媒体を渡してきた。

 「613番の担当はこれ。労働基準法」

 労働基準法?

 「これから大々的にやっていくそうだ。今は501番と705番がやってるんだけど、613番にはこれを中心にやってもらいたい。今後、関係法規もどんどん増える予定だそうだ」

 「はぁ・・・」

 イメージがつかなかった。

 「ブラック企業製造係とか呼ばれてたよ。本部は息巻いてた。私もまだあんまりイメージ湧いてないんだけどね。だから、マイペースにやってみて」

 「はい、わかりました」

 「まぁ、そんな感じ。613番用のパソコン、今から取ってくるから、とりあえず座って待ってて」

 「はい」と言って椅子に座った。生徒は皆、パソコンを向いたままだ。

 「気をつけた方がいいよ。雪永先生のこと」

 「えっ?」

 705番だった。

 「多分、この仕事向いてない。雪永先生はいつも辛そうにしてる。いつ逃げてもおかしくない」

 逃亡は死罪だ。

 「だから、あんまり仲良くならない方がいいと思う」

 504番が言った。

 「多分、いつか寂しくなる」

 事実この1年後、雪永先生は姿を消し、犯罪促進部は廃部になった。

 「逃げたんですか?」

 「そう。耐えられなくてね。それで追われた。この国の秘密を握ってたから」

 どうやって生き延びたのだろう。

 「自分はそれまでただの事務方だった。シャムヘイルの卒業生とはいえ実践経験もなかった。でも生き延びた。ガラスの破片で刺し、銃弾を避け、逃亡ルートを計算し、武器を奪い、アジトを乗っ取り、篭城した。そこで言われたんだ。組織を率いないか?と」

 才能が開花した、ということだろうか。

 「冗談じゃないと思ったよ。犯罪促進部からも逃げだしたのに、直接手を下す側に回るなんてね。そこに現れたのがイチだった。初めからいたと言っていたよ。運良く生き残ったんだね。それが卒業以来の再会だった。もちろんイチは私のことを覚えてはいなかったけど」

 『感情に、流されればいいと思いますよ。あなたの好きなように』

 「その言葉に拍子抜けしちゃってね、自決も出来ずにシャムヘイルに戻ることになった。戦闘技術に才能ありってね。当時は人材不足が深刻だっんだ。そしてギムレットが生まれた」

 「イチと一緒に?」

 ギムレットは遠くを見た。

 「んー。まぁそこでシャムヘイルに従わなかったら、イチも一緒に死ぬな、とは思ったね。囲まれてたし。で結局今の形に落ちいた。そんな感じかな。さぁ、これでヒントは以上。後は自分で頑張りな」

 「はい」

 どうやって帰ったかは覚えてない。気づくとネグリジェの私に、コオロギが毛布をかけていた。

 私とイチは、どこで出会った?

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  • 誤字、脱字の修正をおこないました。(2018/09/25)
  • 内容に影響のない範囲で、一部表現の変更や追記をおこないました。(2018/08/26)
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  • 内容に影響のない範囲で、一部表現の変更や追記をおこないました。(2018/08/26)
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とじる

 シャムヘイルは、卒業と同時に記憶消去のカリキュラムがある。例外はシャムヘイルに残る場合。事務員や組織のリーダーとして残ったギムレットがそうだ。

 イチはコオロギとして世に出た。そこで記憶消去され、今ではまったく記憶に残っていないらしい。でも分かる。コオロギには今までのボスとは違う空気がある。シャムヘイルの匂い。

 ギムレットは犯罪促進部の顧問だった。コオロギとは同期と言っていたから、先生級の立場だったはずだ。服飾部の顧問?いや、そんな技術があるようには見えない。

 それとももっと幼い頃に出会っていたのだろうか。

 

 「何かわかったか?」

 朝食はカップラーメン。

 「ん~、半分半分かな」

 「ん?」

 「分かったの半分、分からないの半分」

 「あー、なるほど」

 コオロギはスープを飲まない。

 「スープ、もらっていい?」

 「あぁ、いいよ」

 無性に塩分を摂りたかった。

 「今日の依頼は1件だな。詳細は車で話す。車を降りてからは電車だ」

 目的地まで車で行かないというのは、最近できたセオリーだ。

 「面倒臭いよね。返り血浴びないようにしなきゃ」

 「服の替えはもって行けよ」

 「うん」

 服の替えは既に車に積んであったはずだ。前の仕事の分が残ってる。

 「なぁ」

 「ん?」

 「なんで今日はタメ口なんだ?」

 次の瞬間、私は気を失っていた。

 

 目を開けると、近くにコオロギが座っていた。

 「イチ・・・」

 呟いて手を伸ばす。

 「イチ?」

 コオロギは眉間に皺を寄せていた。

 「あっ、コオロギ。ごめんなさい、私、何してた?」

 「倒れたんだよ、急に。驚いた」

 そうだった。今日は車で行って、途中から電車・・・。

 「なんだかお前、おかしいぞ。ギムレットと話したからか?」

 「私たちは、元々オカシイ」

 また、意識が遠のく。

 「イチは、ゼロと仲が良かった?」

 コオロギが銃口を向けてきた。記憶消去を受けた者は、素性を明かされると相手を殺す様にプログラムされている。ギムレットの話を聞いたとき、私もギムレットに銃を向けそうだった。もっとも、殺されるのは私の方だったろうけど。だからこそギムレットも、イチの話はしなかった。

 「コオロギ、イチ・・・。貴方にはもう1つ名前がある」

 「やめろ、お前を、殺したくない」

 引き金にかかった指が震えている。

 「懐かしい」

 私は銃口に触れた。

 「私はターゲットだった。そのときも、銃口は震えてた。悪者による依頼で、善良な人間を殺す。私はある人にとって、いてはいけない子どもだった。だからターゲットになった。でもイチは私を殺さずに、シャムヘイルに匿った」

 「やめてくれ、頼む」

 「シャムヘイルで、貴方は私を育ててくれた。狭い部屋だったけど、私たちは身を寄せあってた」

 コオロギは、今にも引き金を引きそうだ。

 「思い出して?イチ。私のこと」

 「断る。俺はお前を殺したくない」

 私はどうしたいの?

 「ワタシはねー、1人前になったら、イチのパートナーになるの!」

 笑顔のワタシにイチは冷たかった。

 「無理だよ。記憶消去カリキュラムがある。俺はお前のことをキッパリ忘れるし、お前も俺の事を忘れる」

 記憶消去の噂は聞いていた。

 「嫌だなー。ひょっとしたら殺し合うのかもしれないよね、そんなんじゃ」

 「そうなるな」

 「んじゃあさ!なんか1個だけ決めといてみようよ。試しにさ!」

 閃いたことがあった。

 「何をさ」

 「一人前の殺し屋になったらコードネーム決めるんでしょ?番号じゃなくて」

 「らしいな」

 口に出す前にうふふと笑ってしまう。

 「おい、嫌だぞ」

 気づいたイチが言う。

 「なんでさー!コオロギなんて殺し屋、他にいないって。名前見たら、ワタシ絶対気づくから」

 ワタシはコオロギが大好きだった。どんな虫よりずっとカッコイイ。だから、虫かごに何匹もコオロギを集めていた。

 「大体お前のお陰で俺コオロギ苦手になってるからな。もう増やすのもやめろ」

 「それは断る!」

 方法は分からない。メモなのか、暗号なのか、強く念じたのか。でもイチは、約束を守ってくれた。その名前が鍵になって、私の記憶の檻が次々と開き始めた。私の人生の中で、最も甘かった時間。

 「ねぇ、呼んで?私の名前」

 コオロギが目を見開く。

 「お前、何言ってんだよ!」

 「ねぇ、お願い。私、イチといたいから。一瞬でいい。私はそれで満足」

 コオロギは銃を降ろして、私の横に跪いた。

 「おっきくなったな」

 目から涙が溢れている。私もだった。

 「うん。ちっちゃかった。私」

 コオロギも、記憶が戻ってきているようだった。

 「見違えたよ。お前は、俺の誇りだ」

 「生かしてくれて、ありがとう」

 私たちは、タブーを犯した。もう元には戻れない。

 「ねぇ、名前を呼んで?」

 コオロギの頬に手を当てる。

 「俺にとってお前は、最も大切な存在だ」

 コオロギが頬に当てた右手を強く握る。

 「ありがとう、凛」

 名前を呼ばれた私は、背中のグロック19を掴んでコオロギに向け、引き金を引いた。薄い鉄板を割るような銃声が響く。銃弾は眉間を捉え、コオロギは弾けるように倒れた。素性を明かされたときに、相手を殺すプログラム。

 ギムレットはイヤホンから銃声を聞くと合図を送った。

 「やれ、504番」

 私はレミントンM700の引き金を引いた。スコープの中のキツツキが倒れる。銃弾はこめかみを射抜いていた。

 「キツツキは、重要な幹部であるコオロギを殺した。だから始末した」

 ギムレットは、誰に言うでもなく呟いた。

 銃声に気づいた者がいるに違いない。早くこの場を離れるべきだった。

 「いくよ、779番」

 パートナーの観測手。

 「はい!」

 ギムレットが動かない。

 名前。私たちから奪われたもの。命をかけて取り戻したいと思ったもの。

 「私、キツツキの気持ちが分かります。2つの命をかけてでも、名前を呼ばれたかった気持ち」

 手がかりのない私には、叶わぬ願いだ。

 「雪永カオル。今日からそう名乗れ」

 「はい」

 コオロギの本名がカオルだったということを、ギムレットは遺書で教えてくれた。

修正履歴

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  • 内容に影響のない範囲で、一部表現の変更や追記をおこないました。(2018/09/03)
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3

>青楊様
なんと3回も!ありがとうございます。と、言いつつ僕も何度も読んでいます。ラストが気に入っていて(  *´ω`*  )。

>中村ハル様
ありがとうございます!犯罪促進部の話のはずが、キツツキとコオロギとギムレットにキュンキュンし過ぎてしまいました。個人的には結果オーライですが、お題から外れてしまうのは課題です(笑)。

作者:山羊文学

2018/9/8

4

【モノコン2018物語部門 予選通過のお知らせ】フィクション作品でも犯罪は抑制する側が主軸になるケースが多い中、犯罪を促進するという設定にひかれた。多少、秘密裏に訓練されて活躍する的なところは目新しさはないものの、思いのほかハードボイルドで、その部があることへの意味はしっかり芯を食っていて、納得性がありました。純粋に面白い。これからも奇抜な発想に期待しております。

5

と、とても褒められている・・・恐縮です。この作品が予選を通ったことが、とても嬉しいです。ありがとうございました。

作者:山羊文学

2018/9/19

6

山羊文学様
はじめまして、僭越ながら表紙の投稿を失礼致します
著しくIQの低いコメントで恐縮なのですが
コオロギさんに萌えて萌えて仕方がなかったです…!

amai

2018/9/22

7

>amai様
2人に会えた気分で涙が出ました(ガチです)。いろんなところから、ありがとうございます。ずっと見つめています。

作者:山羊文学

2018/9/22

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