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白い箱 完結

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あらすじ
財前。彼は美食を求める男。
ある時彼は、世界一美味いものが食べれる店『白い箱』の情報を手に入れ、早速足を運ぶのだが……

登場人物
〇財前(ざいぜん)……美食を求める男
〇マネージャー……財前の付き人
〇シェフ……謎の店『白い箱』のシェフ
〇財前N……財前ナレーション
〇客……店の客。
店長……一つ星レストランの店長

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〇一つ星レストラン

店長   「お待たせしました。和牛のビーフシチューになります」

      財前のテーブルにビーフシチューが置かれる。

財前   「いただきます」

      緊張しながら財前を見守る店長。

      財前はビーフシチューを口に入れる。目を閉じる財前。

財前   「まずい。すぐに店をたため」

店長   「そんな!」 

客    「おいおい、ここ一つ星の店だぞ? どんなもんならうまいって言うんだあの人」

客    「俺たち一般人には到底理解できないね」

      店を出ていく財前。

財前N  「私の名は財前。美食を求める男。私の評価は世界の評価。私がうまいといえば人気店に。まずいと言えば店は終わる」

マネージャー「今回の店もダメでしたか?」

財前    「ああ、今日は三件目だというのに全部外れだ」

       財前はため息をつく。

財前    「うまい飯が食いたい」

マネージャー「財前様。こちらを使われてはいかがでしょうか?」

      マネージャーは財前にスマホを渡す。

財前    「なんだこれは?」

マネージャー「こちらはSNSグルメアカウント『食いログ』の裏アカウントです」

財前    「それがどうした?」

マネージャー「こちらに掲載されているのは、たった一つの店。店名は『白い箱』。世界一うまいものが食べられるそうです」

財前    「メニューは?」

マネージャー「非公開です」

財前    「ほう、しかし裏アカウントの掲載ということは何らかの問題があるのだろう?」

マネージャー「守ってほしい条件は一つ。必ず一人で来店することだそうです」

財前    「ほう、そいつは面白そうだ、さっそく予約してくれ。明日にでも向かうぞ」

〇山奥

財前の目の前には扉が付いた巨大な白い箱がある。

財前    「ここが店か。しかしまぁこんな山奥にあるとは。それに外観も店名同様、ただの白い箱だ」

      財前は白い箱についている扉を開く。中も真っ白。そこにはシェフが一人。

シェフ  「いらっしゃいませ。ご予約の財前様ですね」

財前   「ああそうだ」

シェフ  「それではこちらのお席にお座りください」

     店の中は白い空間。テーブル一つに椅子一つのみ。

財前   「ずいぶんと殺風景な店だな」

シェフ  「はい。料理以外のものは置きたくないのです」

財前   「そうか。見たところキッチンもないみたいだが?」

シェフ  「料理はこの部屋では行いません」

財前   「本当に世界一うまいものが食べれるのか?」

シェフ  「はい、お約束します」

財前   「そうか」

シェフ  「それでは、料理をお持ちしますので、しばらくお待ちください」

      そういってシェフは扉を閉めて出ていく。

財前   「(いったいどんな料理が出てくるんだ?)」

財前N  「それからしばらく時間が経過した」

      顔をしかめる財前。

財前   「いつまで待たせるつもりだ」

財前N  「さらに時間が経過した」

財前   「くそっ。もう限界だ」

     財前は机を立ち、扉に手をかける。

財前   「なんだ!? なぜ開かない? 閉じ込められたのか!?」

      何でも扉を開けようとするが、びくともしない。

財前   「ケータイは……圏外。どうすればいい!?」

財前N  「どうしようもなかった」

財前N  「そしてそのまま時間は過ぎていき、気が付けば私は立てなくなっていた」

財前   「このまま……死ぬのか……」

      白い部屋の扉が開く。

財前   「え?」

シェフ  「お待たせしました」

      財前は力を振り絞り、シェフの胸ぐらを掴む。

財前   「待たせすぎだ貴様ァ! もう少しで死ぬところだったぞ!? それで料理はもってきたんだろうな!」

シェフ  「もちろんでございます」

財前   「なんだ? フォアグラのハンバーグか? 最高級和牛のステーキか!? フカヒレの姿煮か!? なんだ!? 何が出てくるんだ!?」

シェフ  「こちらになります」

財前   「な……なんだこれは……!?」

     シェフはカピカピのパンと水を出す。

財前   「コッペパンと……水!? だとォ!?」

シェフ  「さようでございます」

財前   「ふざけるな! こんだけ待たせておいて! こんなふざけたことがあってたまるか!!」

シェフ  「すみませんでした。それでは料理はおさげします」

      シェフは料理を持ち出そうとする。コッペパンと水を見て財前はのどをごくりとならす。

財前   「ちょっと待て! 誰が食べないといった!」

     財前はシェフからコッペパンと水を奪う。

財前   「はぁはぁ……はむっ!」

     財前はコッペパンをかじる。

財前   「うっっっまあああああああああああい!! なんだこれは!? ただのカピカピのコッペパンなのに!  

 生地も湿気ているのにどうしてこんなにもうまいんだ!」

財前は水を飲む。

財前   「うっっっまあああああああああああい!! ただの水のはずなのに、乾いたのどが潤っていくぅ! 体に染みるぅううう!」

     財前は食事を終える。

財前   「ごちそうさまでした」

シェフ  「満足いただけましたか?」

財前   「ああ。とても満足したよ。最初はどうなることかと思ったがな」

シェフ  「私は食べ物の大切さを知っていただきたかったのです。どんな食べ物もありがたみを持っていただけると嬉しいです」

財前   「そうかい」

      財前は少しだけ笑う。

〇一つ星レストラン

      テーブルに財前が座っている。

客    「おい、また来てるぞ?」

客    「この前まずいって言ってたのに」

      店長は財前のもとに料理を持っていく。

店長   「お待たせしました。ミートソースパスタになります」

      財前のテーブルにミートソースパスタが置かれる。

      それを見ておなかを鳴らす財前。

財前   「いただきます」

      緊張しながら財前を見守る店長。

      財前はミートソースパスタを口に入れる。目を閉じる財前。

財前   「うまい!」

END

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  • 誤字、脱字の修正をおこないました。(2018/09/02)
  • 誤字、脱字の修正をおこないました。(2018/09/02)
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【モノコン2018物語部門 予選通過のお知らせ】「うまい飯が食いたい」が口癖で並みの料理はこき下ろす、そんな美食家の財前。ある時、世界一美味しい食事を出すレストランがあると聞き、店を訪れるが……。脚本形式で、キャラクター造形がしっかりしていて、絵が目に浮かぶ。怖い話かと思いきやちょっといい話なオチもよかった。この人の書く作品をもっと読みたい! という気持ちでいます。

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モノコン2018予選スタッフC様
コメントありがとうございます!
しかし、まだまだ作り込みに甘いところがあると感じています。もっといい作品を作れるように頑張っていきたいと思います。

作者:泉秋

2018/9/27

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