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ちゃんねる操作!

インターネット・ファンタジー

更新:2018/9/14

朝倉きょう

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  • 改稿により一部内容が変更になっている箇所があります。(2018/09/14)

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○ちゃんねるネタの妖怪ファンタジー


科学が普及しどんな現象も科学によって解明されるようになった現代社会。最早妖怪を信じるものがいなくなり、人々の信じる心により産まれた妖怪は生きる場所をなくしていた。それでも生き残ろうと足掻いた妖怪はインターネットなどの電脳世界に潜ることでその存在を保った。以来、○ちゃんねるやブログなどと言った不特定多数の人間が交流するsnsから人の心を操り、人の魂を喰らう。

そんな世界である日突然妖怪にであった引きこもりのニート、秋比奈世夜は妖怪に脅されるまま人を救うことになったのだった

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目次

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いちっ!

 それは暑い夏の日の始まりの日に始まった。

 蒸し暑い部屋、扇風機の風の音が低く聞こえてくる。じっとりと汗を掻きながら彼、秋比奈世夜(あきひなせいや)はパソコンの前にへばり付いていた。六月○○日火曜日、十一時四分。学校では授業が行われている時間だった。彼の年は十六歳。中卒で働いているわけではない。家の中からでる事のない彼は引きこもりの引きニートだった。

 日がな一日パソコンをつつく。特に目的もないただの暇つぶし。パソコンの前で眠ることなどよくあることだった。と言うか、一日の約半分はパソコンの前で眠っていた。それも電源をつけたままで。

 今もパソコンの前で起きたばかり。暗くなっている画面を寝る前の状況に戻し、インターネットの画面を開く。検索したい言葉も特になく、暇つぶしの履歴をぐるぐると巡りだしていた。一つのサイトでその流れは止まる。彼の深い隈の上にある死んだ魚の眼がちょっとだけ生き返った。

「○ちゃんか」

 小さく掠れたぼそぼそとした声が漏れる。

「久しぶりに冷やかしてみるのも良いかもな。でも、面白いものあるか? まあ、でもどうせ暇つぶしだし、見るのも良いか」

 一人ぼそぼそと話し終えると画面の中のタイトルを適当に押した。

 白に変わる画面。一番最初にタイトルが現れたかと思うと画面が真っ黒に塗りつぶされた。

「……え?」

 いきなりのことで目を丸くして見つめる。二、三度瞬く。画面が戻る様子はなかった。

「……え?」

 彼の口から再度同じ音が漏れた。嫌な汗が伝う。

「え?……まさか、壊れた? いや、そんな分けないよな。俺大事に使ってるし」

 無駄に早口でまくし立てながらがくがくと震える手でマウスをつつく。変化は訪れない。必死になってキーボードもつつくが無意味。愕然とした世夜は床に着きそうになるのを何とか堪えた。

 一体真っ黒な画面のままどれくらいの時間が進んだのか。焦っている彼にはかなり長く感じたのだが、実際には約二、三分程度だろう。時間が過ぎた頃画面に一つの変化が現れていた。

 色々な色が画面の中に現れ、そしてぐるぐると混ざり、まだらな模様を作っていく。真ん中に茶色が集まったとき、そこからぼこりと画面が浮き出た。ぼこぼこと凹凸ができた画面は、真ん中から一つの形が飛び出してくる。それは人の頭だった。人の頭から首が、首がら肩が、さらに胸が。

 徐々に画面の中から人の形がでてくる。ついに上半身が出来上がった。その閉じられた瞳が開かれる。

「ひぅ」

 妙な声が世夜の口からでる。

 世夜はもうパソコンの前にはいない。パソコンから遠く離れた部屋の扉に背を預けて震えていた。後ろ手でドアノブを探すが震えて上手くいかない。後ろを向こうにも、人の形をした何かを前に背を向けることは恐くてならなかった。怯えた瞳で彼が見つめる中、何かはゆっくりと部屋の中を見、そして彼を見付けた。

 何かは彼を見るとその無表情に笑みを浮かべた。目を細め、口を大きく開いた満面の笑みみたいに。

「やあ」

 声を掛けてくる何かに世夜は本能的な恐怖を感じ始めていた。それは生死に関する物ではない。何かもっとおぞましいもの。例えるなら自分が全く知らぬ未知のもの。想像もしなかったような、いやそもそも想像することから恐怖してしまうような、そんな理解したくないものが近付いてくる感覚に近かった。だが、それはあくまで例えだ。

 実際のことではない。

 今目の前にあるのは、それよりまだ薄く、もっと別の恐怖があり、また、もっと別の感覚がある、恐怖。

 彼が長い間恐れてきた何かが近付いてくるような気が、その中に渦巻き余計に恐ろしかった。

 震えている世夜を何かはにっこりと見つめている。

「やあ、こんにちは」

 平坦とのんべんとした声。口元だけが上がっている。

「おんや~~、何でそんなに怯えてるんだい?」

 表面上は楽しげで不思議そうに何かは問う。画面の中からするりと抜け出して何かは足を床につけた。うわずった声が漏れるのを加虐心たっぷりの笑みを浮かべて近付いてくる。

「何ですか、その声。炭酸でも振ってかけますか」

「何で!」

 震えていた彼だが何かの発言には反応を返す。さっと彼が目に移したのは机の上、まだ一回も開けていない炭酸のジュースが置かれている。その視線の先に気付いた何かがニヤリと笑う。

「やりましょうか」

「いい! いい! やるな」

 世夜は必死に言い募るが何かは炭酸を手に取る。その後、拍子抜けた様に肩を落とした。

「ぬる」

 そう言われ彼は思い出した。そのペットボトルは寝る少し前に冷蔵庫から出していたのだ。ホッとしながら彼はドアからそっと背を離した。足は細かく震えているが、それでも何かと対峙する。

「お前、なんなんだよ」

「さあ? なんだろう。君は?」

「いわねえ奴に名乗る名はない」

「そうですか」

 にらみ合うふたりと言いたいところだが、何かはすぐに世夜から視線を逸らした。パソコンへ向かった瞳。画面に手を伸ばした何かの無機質な瞳は色鮮やかに染まっていた。ぐるぐると赤、黒、青、黄、緑、オレンジ、紫、灰。様々な色が瞳の中で混ざり合っていく。それに合わせるように画面もめちゃくちゃに動き、ぴったりと止まったときにはいくつかのタブが開いていた。

 何かはそれを覗き込む。

「ふーーん。秋比奈世夜君か。十六歳。あれ? 学校は」

 目をまん丸く見開いたは彼。口を金魚みたいにぱくぱく開けて震える指で何かをさした。

「な、何で……」

 ニヤと何かの口元が釣り上がる。

「さあ? なんでかな?」

「お前は一体……」

「妖怪」

「へっ」

「妖怪です」

 以後お見知りおきをと続けられたのに疑問の音が漏れる。

「妖怪?」

「はい、妖怪です」

「信じられねえ」

 世夜は何かの言うことをなかなか信じられなかった。口に出して否定するのに、何かはどうして良いのか分からないように笑っていた。

「なら、なんなら信じます」

「……宇宙人なら信じられる」

「……」

 世夜の言葉に何かは首を傾げるが、すぐに吹いた。

「宇宙人なら信じるんだ」

「当然」

「その心は」

「宇宙は地球の何十万倍も広い。その広い宇宙に地球人以外いない方が不思議だ」

「なるほど。まあ、でも僕は宇宙人ではなく、妖怪。そこはもう信じて貰うしかないんだけど、僕は妖怪で君に助けて貰うために来たんだ」

「助け……」

「そう。丁度君が僕のいたスレに新しく来てくれたんだよ。」

「スレ?」

「そう。ほら、これ」

 何か、本人曰く妖怪が画面に触れると一度まっ暗に変わり、一呼吸後には何かが現れる前の画面に戻っていた。

「ほら、ここに座って」

 促されるのはパソコンの前の椅子。決して動こうとしない世夜にしびれを切らしもう一度。何かは椅子の背もたれを強く手で叩いている。

「ほら、ほら」

 にこやかに笑い手招きをするように椅子の背もたれを叩く(もう少しで壊れそうだ)姿は愉快ではあるが恐くもある。なかなか足が進み出せないが、何かは行くまで椅子を叩くのを止めそうにない。嫌々、足を踏み出す。

「早く座って」

 押し込まれるように座り、手にマウスを握らされる。

「説明はこれを見てからね」

 彼の目は画面の中の文字を追った。

【ほぼ】友人カップルが別れた【俺のせい】

 

1 名無しの権兵衛

 やったった

 

2 名無しの権兵衛

 2げっと

 

3 名無しの権兵衛

 2ゲットじゃなくって3ゲット!

 

4 名無しの権兵衛

 プッギャーできないだとこの3できる

 

5 名無しの権兵衛

 茶番乙

 そして、1はやったったじゃねえよ。もう少し悲壮そうにしろ

 

6 名無しの権兵衛

 そうだぞ。スレタイ見る限りお前最悪じゃないか。

 取り敢えずコテと経緯、寄こせ

 

7 名無しの権兵衛

 この5,6できる

 

8 名無しの権兵衛

 とくに5な。ただようイケメン臭

 

9 名無しの権兵衛

 マジ、それ

 

10 安価好き 

 5>好き。抱いて

 

 コテはこれで。

 経緯はこないだ撮り貯めてた写真を現像して、友人と見ていたんだけど、それが原因でふたりが別れた。

 ちなみにスッペクはこれな。つ

 

友人A 俺の親友。小学校からの仲。優しい。大人。怒ると恐い。優しい。Dk

 

友人B 俺の親友。中学生からの仲。可愛い。ちょっと我が儘。大人しい

 

俺。 スレ民。三度の飯より安価が好き。でも高校言ってるぜ。ニートじゃねえ。友達二人しかいない

 

11 名無しの5

 10>断る

 

12 名無しの権兵衛

 ばくはーーつ

 

 ……したかったが、微妙にナカーマ?

 

13 名無しの権兵衛

 ばくはーーつ

 

 ……ナカーマなのか?

 

14 名無しの権兵衛

 ばくはーーつ

 

 ……ナカーマだった

 

15 名無しの権兵衛

 ばくはーーつ

 

 

 俺は友達0人

 

16 名無しの権兵衛

 おふ

 

17 名無しの権兵衛

 おう……

 

18 名無しの権兵衛

 泣くなよ

 つ【タオル】

 

19 名無しの権兵衛

 強く生きろよ

 つ【ティッシュ】

 

20 名無しの権兵衛

 安心しろ。俺の妹もそうだ

 つ【妹のメールアドレス】

 

21 名無しの権兵衛

 おい

 

22 名無しの権兵衛

 おい

 

23 名無しの権兵衛

 おい

 

24 名無しの権兵衛

 おい

 

25 名無しの権兵衛

 おい

 

26 名無しの権兵衛

 おい

 

27 名無しの権兵衛

 おい

 

28 名無しの権兵衛

 ありがとう

 て、受け取れねえよ

 

29 名無しの権兵衛

 だろうな。冗談だ。

 つうか、本気で受け取ったら殴るところだわ。何処の馬の骨に妹のメーアドをやるか

 

30 名無しの権兵衛

 愉快犯かと思ったらシスコンだった

 

31 名無しの権兵衛

 妹虐めかと思ったらシスコンだった

 

32 名無しの権兵衛

 ただのシスコンだった

 

33 名無しの権兵衛、改めシスコン

 ふっ。

 妹はもう家からでなくって良いと思うんだ。

 

34 名無しの権兵衛

 おい、こら

 

35 名無しの権兵衛

 監禁ですか

 

36 名無しの権兵衛

 妹さん、逃げてーー

 

37 名無しの権兵衛

 誰か妹さんをシスコンの手から救えーー

 

38 安価好き

 チラッ

 

39 名無しの権兵衛

 あ (やべ、忘れてた)

 

40 名無しの権兵衛

 あ、(俺も)

 

41 名無しの権兵衛

 あ、(どうしよ)

 

42 名無しの権兵衛

 ほら、隠れてないででてこい。はじまんねえだろうが

 

43 名無しの権兵衛え

 ほら、おいでおいで

 

44 名無しの権兵衛

 この42,43できる

 

45 名無しの権兵衛

 つうか、この感覚5と6何じゃ

 

46 名無しの6

 何で分かったし

 

47 名無しの権兵衛

 やっぱりか

 

48 名無しの権兵衛

 おーー。

 

49 名無しの5

 そうだがお前らスレ主わすれんな

 進まないままもう50行くぞ

 

50 名無しの権兵衛

 あっ

 

51 名無しの権兵衛

 マジだ。ちょっと自重しよう

 

52 名無しの権兵衛

 そうだな。

 

 そして、1

 ほら、出てこいよ。恐くないぜ。ほらほら。

 

53 安価好き

 うん。

 

 ガプッ

 

54 名無しの52

 うぎゃあああああああ!

 って、何で咬まれるんだよ

 

55 名無しの権兵衛

 そりゃあ、あれだけほっとけばな

 

56 名無しの権兵衛 

 まあ、そう怒るな。

 それでは話もとに戻すけど、写真見てたらそれが原因で友達が別れたんだよな

 で、安価好きはどうしたいんだ

 

57 名無しの権兵衛。

 と言うか、どんな写真だったの?

 

58 名無しの権兵衛

 おお、やるな

 

59 名無しの権兵衛

 どうせまた、5と6だろ

 

60 名無しの権兵衛

 もう5と6が軌道修正係で良くないか

 

61 名無しの権兵衛

 さんせー

 

62 名無しの権兵衛

 さんせー

 

63 安価好き 

 さんせー

 

64 名無しの権兵衛

 さんせー、って安価好き。まざんなし

 

65 安価好き

 だって、みんな俺のこと忘れる

 

66 名無しの権兵衛

 次は忘れねえよ(多分)

 

67 名無しの6

 66>おい

 

 まあ、俺は軌道修正係で良いですけどね

 

68 名無しの5

 俺も良い。話がすすまねえからな

 

69 名無しの権兵衛

 きゃ、格好いい

 

70 名無しの権兵衛

 イケメン!

 

71 安価好き

 抱いて!

 

72 名無しの5

 71>断る

 

73 名無しの6

 71>それはちょっと

 

74 名無しの権兵衛

 おい

 

75 名無しの権兵衛

 何げに10でも抱いてって言ってるし

 

76 名無しの権兵衛

 ぁ、本当だ。全然気付かなかった

 

77 名無しの権兵衛

 そして、断られているがな

 

78 安価好き

 ぶぅー

 いい。話進める

 

79 名無しの権兵衛

 是非、そうしろ 

 

80 名無しの権兵衛

 と言うか、して下さい。お願いします

 

81 名無しの権兵衛

 もう80も消費している

 

82 名無しの権兵衛

 おっふ。

 

83 名無しの権兵衛

 話全然進んでね

 

84 安価好き

 だから話進める

 

 >56

 何とかよりを戻させたい

 

 >57

 友人Bが他の男と腕を組んでいたのが、一つ交じってた。町の写真なんだが脇に写り込んでて、俺全然気付いてなかったのに……

 

85 名無しの権兵衛

 サンキューっておい、これは

 

86 名無しの権兵衛

 おふ

 

87 名無しの権兵衛

 おう……。何て事だ

 

88 名無しの権兵衛

 これはもう……

 

89 名無しの権兵衛

 修復不可能だろ……

 

90 名無しの権兵衛

 こら、そんなこと言うな!

 

91 名無しの権兵衛

 いや、だって浮気現場発見だぜ

 

92 名無しの権兵衛

 そうだけど安価好きの前だろ!

 

93 名無しの権兵衛

 しょぼーーん

 俺のせいだ……

 

94 名無しの権兵衛

 うわああああ!

 

95 名無しの権兵衛

 誰か安価好きを慰めろ

 

96 名無しの権兵衛

 慰めろって言ったて

 

97 名無しの権兵衛

 ……大丈夫だ。俺たちも一緒に考えるからな

 

98 名無しの権兵衛

 そうだぜ、俺たちもできることなら何でもやるから

 

99 名無しの権兵衛

 そうそう。大船に乗ったつもりでいろよ!

 

100 名無しの権兵衛

 絶対二人のより戻そうな

 

 あ、100ゲット

 

101 安価好き

 ありがとう

 

 100ゲット ……できなかった。ショボーン

 

102 名無しの権兵衛

 狙ってたのか

 

103 名無しの権兵衛

 次頑張れ

 

104 安価好き

 うん

 

105 名無しの権兵衛

 話元に戻すけど、今、二人はどういう感じなんだ。

 二人の気持ちは? ぎくしゃくしているのか? 

 

106 名無しの権兵衛

 仲直りできそうな、雰囲気?

 

107 安価好き

 二人の気持ちはよく分からないけど、凄くぎくしゃくしてる。

 

 できそうなら相談したりしない

 

108 名無しの権兵衛

 まあ、それもそうだよな

 

109 名無しの権兵衛

 ぎくしゃくってどれくらい?

 

110 名無しの権兵衛

 ちょっとぐらいでも二人の気持ち分からないのか

 

111 名無しの権兵衛

 それ、わかればこれからの動き結構スムーズになるよな

 

112 名無しの権兵衛

 そうだな

 

113 安価好き

 うーーん。

 

 >110

 Bの方は仲直りしたい、より戻したいって思ってると思う。Aのこと今でも好き

 Aの方が……、よくわからなくって、ただ凄く怒っている。顔も合わせない。あんなに怒っているAは初めてだ

 

 >109

 Bの方は近付こうと悪戦苦闘してるけど、Aが全部無視して空気が悪い

 

114 名無しの権兵衛

 A、むっちゃ怒ってる……

 

115 名無しの権兵衛

 これでより戻すとか、無茶げー

 

116 名無しの権兵衛

 どうやっても戻らないだろ

 

117 名無しの権兵衛

 それこそ魔法が必要だな

 

118 名無しの権兵衛

 そんな便利な物はこの世にありません

 

119 名無しの名無しの権兵衛

 じゃあ、無理だ

 

120 名無しの権兵衛

 すげえ怒ってるもんな

 

121 名無しの権兵衛

 顔も合わせないんだよな。

 きついわ、それ

 

122 名無しの権兵衛

 Bも可哀想に

 まあ、Bが悪いんだけどな

 

123 名無しの権兵衛

 浮気なんかするから

 

124 安価好き

 浮気って決まった訳じゃない……

 

 階段ゲッ……また、できなかった

 

125 名無しの権兵衛

 いや、腕組んでたなら確実だろ

 

 ドンマイ

 

126 名無しの権兵衛 

 余程親しい人じゃないと腕とかくまないからな。

 それこそ、家族か恋人ぐらいだろ

 

127 名無しの権兵衛。

 すくなくとも町中ではしないだろうな

 

128 安価好き

 しゅん……

 じゃあ、やっぱり浮気……? 

 

 でも、Bちゃんが

 

129 名無しの権兵衛

 この人がって思うような人ほど浮気するもんさ

 

130 名無しの権兵衛

 まあ、残念ながら浮気は確定

 より戻すのも不可能レベル

 

131 名無しの権兵衛

 おいおい。あんまりはっきり言うなよ

 

132 安価好き

 ……どうしたらいい

 

133 名無しの権兵衛

 さあな。

 もうどうしようもないのが現状だよな

 

134 安価好き

 俺のせいだ……

 

135 名無しの権兵衛

 いや、それは違うと思うけど。たまたまだったんだし

 

136 安価好き

 じゃあ、どうしたら元に戻せる

 

137 名無しの権兵衛

 それはもうむりだろ

 

138 安価好き

 ……

 

139 名無しの権兵衛

 悔しいとは思うけど仕方ねえよ

 

140 名無しの権兵衛

 そうそう

 

141 名無しの権兵衛

 あんまり落ち込むなよ……

 

142 安価好き

 ……

「読んだけど、これがどうしたんだよ」

 何かに顔を向けるとそこに笑っていながらも、苦虫を噛み潰すように眉間に皺を寄せた姿があった。

「まずいな」

「まずいって何が」

 何かが呟いた言葉を拾い問い返す。何かがこの様な顔をする理由が世夜には分からなかった。言われるままに読んでみたが、だんだん暗くなっていくスレは、読んでいくうちに少しずつ己の気さえも暗くなっていく気がして好きではない。できるなら早いこと別のスレに映りたかった。だが、何かの指示をまたない訳にもいかなくて、彼は溜息を一つ吐いた。

「良いですか、今から一回だけ説明しますから疑問は後にして、指示に従って下さい」

 何事かを考えていた何かが顔を上げるとそんなことを言われた。

「はぁ? 何だそれ」

「いいから」

 強い口調で言われた言葉は彼の反論を封じ込める。

「この中に妖怪がいます。

 そして人びとの心を僅かにマイナスに傾けている。これをこのままにしておくと最悪の方向に転んでいく可能性が高くなります。このスレ主が自殺をしたり、これを読んでいる人の心まで腐っていく。

 それを阻止するためには妖怪を倒さなければならないのですが、スレの奥深くに潜んでいるため、あぶりだす必要があります。その為には人間である貴方の協力がいるんです。

 取り敢えず何かスレ内が明るくなるようなことを書き込んで下さい」

「はあ?」

「いいから」

 ひとしきり説明し終えた何かは即座にキーボードを世夜の手元に持ってきては打ち込むのを待っている。いつの間にか画面はスクロールしており書き込みの部分にカーソルが入っていた。

 反論をしようとしたのでさえ、さあとキーボードをさされて遮られてしまう。何かの方向に向いていた顔も無理矢理手で押さえられ画面に向く。

 これは言うことを聞くしかないとパソコンへ向かい始めた彼。

 頭を抑えた手が髪の毛越しにも分かるほどの冷たいものだったことと、そこから思い出した先ほどの異様な光景、恐怖。

 それらが彼から抵抗する気力を奪っていたのだ。キーボードの上で指先が躊躇う。

「明るくなるようなことか」

「そう。元気になるようなね」

「明るく元気にって、わかんねえ」

「なんでもいいからさ。気楽に」

「気楽ね……」

 渋面に満ちた表情。瞳の奥がぐるぐると回っている。

 少しずつキーボードを叩いた

143 名無しの権兵衛

 諦めてやるなよ

 もう少し考えてやろうぜ

 

 画面に出てきた文字にホッと息がはかれた。こんな言葉でさえ書くのにはとても強い緊張を強いられる。

「ありきたりですね」

「うるせ。これしか思いつかなかったんだよ」

「まあ、でも初めはこれくらいの方が良いかもしれませんね。まだ、全然ですけど」

「え」

「みてください」

 

 

 

144 名無しの権兵衛

 そんなこと言われてもよ……

 

145 名無しの権兵衛

 無理なことは無理じゃねえ……

 

146 名無しの権兵衛

 俺も浮気されたら許さない自信あるし……。

 自分のことも考えると余計ないわ

 

147 名無しの権兵衛

 だよな……

 

 

 

「もう一度やってください」

「おう……」

 

148 名無しの権兵衛

 暗くなるなって

 暗くなって何かが変わるわけでも人だし、どうしたらいいのか考えようぜ

 

 

 

「先よりはマシですね。やっぱりありきたりですけど」

「悪かったな。で、この後は」

「様子を見て書き込んで下さい。妖怪はこのスレに定着している頃。思い通りにならなかったら出てきます」

 

 

 

149 名無しの権兵衛

 そうだな。まずはどうするのか考えないとな

 

150 名無しの権兵衛

そうだな

 そういや、安価好きは?

 

151 名無しの権兵衛

 あれ、そう言えばいないな

 おーーい、安価好き

 

152 安価好き

 はーーい。落ち込んでた

 

153 名無しの権兵衛

 そうだよな

 ごめんな俺らが弱気になって

 

154 名無しの権兵衛

 これから頑張るからな

 

155 名無しの権兵衛

 俺にできることなら何でもする

 で、これからどうする?

 

156 名無しの権兵衛

 どうしような

 

 

 

「参加しないんですか」

「参加しないと行けないのか」

「いえ、とくには、でも解決には導いて貰わない床舞いますから、様子を見て書き込んで下さい」

「様子見てね……。なぁ、疑問を書き込んでも良いか」

「どうぞどうぞ」

 

 

 

157 名無しの権兵衛

 何でAは怒ってるんだ

 

 

 

「それを聞きますか」

「不思議じゃね」

 

 

 

158 名無しの権兵衛

 そりゃあ、他の男が一緒にいたからじゃ

 

159 名無しの権兵衛

 だな

 

160 名無しの権兵衛

 でもよ、それだけで怒るのか?

 

 

 

「怒らないんですか」

「怒る必要あるの」

「そう言うもの何じゃないんですか。ショック受けたり」

「そうなのか」

「さあ? 私はそうなんではないかと思っていましたが」

 

 

161 名無しの権兵衛

 怒るだろ

 

162 名無しの権兵衛

 俺も怒る

 

163 名無しの権兵衛

 そういうもんか

 

164 名無しの権兵衛

 そういうもんだ

 

165 名無しの権兵衛

 でもさ、安価好きが言っていたAのスッペクみる限り優しい奴なんだろ。それがそこまで怒るってなかなかないだろ

 

166 名無しの権兵衛 

 そういや、そうだったけど

 優しくても浮気は怒るだろ

 

167 名無しの権兵衛

 そうそう

 

168 名無しの権兵衛

 そう言うものなのか

 

169 名無しの権兵衛

 そうだって

 

170 安価好き

 チラッ

 

 ……Aはとても優しい。だからあんまり怒らない。正直、今回Aが本気で怒ったのに戸惑いが隠せないでいる

 前も一回こういうことがあったんだけど、その時は怒らないでこういう事もあるって言っていただけだった

 

171 名無しの権兵衛

 ……

 

172 名無しの権兵衛

 ……え、じゃあ何で今回怒ったんだ?

 

173 名無しの権兵衛

 二度目はないって事か?

 

174 名無しの権兵衛

 よくわからねえ……

 ちょ、安価好きメールして聞いてみろよ

 

175 安価好き

 うん、聞いてみるね

 

176 名無しの権兵衛

 よろしくーー

 

177 安価好き

 返信来た。うpするね

 

 お前、今日は体調大丈夫なのか

 見舞いに行くけど、何か欲しいものあるか

 

 ……まあ色々とな

 

 色々って何だ。しつこく聞いてみる

 

178 名無しの権兵衛

 おう。頑張れーー

 つうか、返信はや

 

179 名無しの権兵衛

 安価好きは今日体調が悪いのか?

 大丈夫か

 

180 安価好き

 大丈夫。精神的な問題だから

 

181 名無しの権兵衛

 おい

 

182 名無しの権兵衛

 それ、大丈夫だけど大丈夫じゃない。

 

183 安価好き

 えっへ

 あ、返信来た。うpするね

 

 

 ……まあ、一緒にいたのがお前の彼氏だったからつい

 

 ????

 別に彼氏じゃねえけど。よく話し掛けられてはいたけどうざいだけだし。好きじゃない

 Aの方が好き

 

184 名無しの権兵衛

 

185 名無しの権兵衛

 

186 名無しの権兵衛

 

187 名無しの権兵衛

 え?

 

188 名無しの権兵衛

 まさかのホモーー

 

189 名無しの権兵衛 

 ……………………

 

190 名無しの権兵衛

 ……………………

 うそだろ

 

191 安価好き

 ちげえよ  

 そもそも俺女だぞ 

 

192 名無しの権兵衛

 

193 名無しの権兵衛

 

194 名無しの権兵衛

 

195 名無しの権兵衛

 

196 名無しの権兵衛

 

197 名無しの権兵衛

 は?

 

 

 

「……女だったんだ」

「女だったんですね。ここで一旦流れが変わりそうですね」

 

 

198 名無しの権兵衛

 え? 女

 

199 名無しの権兵衛

 嘘だ

 

200 名無しの権兵衛

 女……。俺っ子だったてことか

 

201 安価好き

 ほんと

 

 200ゲット……できなかった

 

202

 安価好き。狙うな

 

203 安価好き

 一度は取りたい

 

 それよりいつから俺を男だと思ってたし

 

204 名無しの権兵衛

 最初からだし

 

205 名無しの権兵衛

 だってな

 

206 名無しの権兵衛

 安価好きのスッペク見てきた。DKともJK書かれてなかった

 

207 名無しの権兵衛

 マジか……

 

208 名無しの権兵衛

 騙された……

 

 つうか、もう安価好きとAが付き合えば良いんじゃ

 

209 名無しの権兵衛

 あ、それ良い案じゃん

 安価好き、Aのこと好きそうだし、Aもメール見る限りまんざらでもなさそうだし

 

210 名無しの権兵衛

 いいな、それ

 

211 安価好き

 良くない。

 Aのことは好きだけどBから奪うつもりないし。そもそもAとは幼なじみで恋とかそんな感情はない

 

212 名無しの権兵衛

 チッ

 

213 名無しの権兵衛

 チッ

 

214 安価好き

 舌打ちするな

 

 さきAにそれ勘違いって返信送った。返ってきたのはこれ

 

 

 そうなのか? ならBに悪いことしたな

 

 これはと思ってじゃあ、より戻すって送ったら、それはもう絶対ないって返ってきた

 

 どうして……しょぼーん

215 名無しの権兵衛

 おう……

 

216 名無しの権兵衛

 どうしてだーー

 

217 安価好き

 二人が仲直りしてくれないと……、俺……

 

218 名無しの権兵衛

 泣くなよ……

 何とかより戻させるよう頑張ろうぜ

 

219 名無しの権兵衛

 そうそう

 

220 名無しの権兵衛

 でも、本人が絶対ないって言っているのにできるのか

 

221 名無しの権兵衛

 こら、そんなこと言わないの>220

 

222 名無しの権兵衛

 安価好きが泣いちゃうでしょ

 

223 安価好き

 (泣)

 

224 名無しの220

 ご、ごめん。ちゃんと考えるから

 ど、ど、どうしようか

 

225 名無しの権兵衛

 安価好きが泣いてよりを戻してて頼んだら戻してくれたりして

 

226 名無しの権兵衛

 確かに

 

227 安価好き

 ほんと、なら、やる

 

228 名無しの権兵衛

 いや、それでよりが戻ってもまたすぐに別れるだけだぞ

 

229 名無しの権兵衛

 そうだよな

 

230 安価好き

 なら、駄目……

 

232 名無しの権兵衛

 なぁ、先から思ってたんだけどよ、AとB絶対よりを戻させなくちゃ行けないのか

 

233 名無しの権兵衛

 そりゃあ、安価好きが望んでるから

 

234 名無しの権兵衛

 でもさ、本人達が望んでないのにより戻しても意味ないんじゃないかな

 安価好きはどうしてそんなに二人のよりを戻したいんだよ

 

235 安価好き

 ……………………

 

236 名無しの権兵衛

 安価好き・

 

237 名無しの権兵衛

 どうした? 何かあったか

 

238 名無しの権兵衛

 言いたくない事か?

 

239 安価好き 

 ううん。ただ、ちょっと……

 

240 名無しの権兵衛

 安価好き?

 

241 安価好き

 ……もともとBはAのことが好きで俺と友達になってくれたんだ。

 Aと親しい俺と友達になって接点作りたかったんだ。だからさ、AとBが別れたらBが俺に親しくしてくれる理由がなくなるんだ。友達じゃいられなくなるかも

 

 

 

「書き込みがなくなったな」

「どう書けばいいのか分からなくなったんでしょう。……それに」

「それに」

「だいぶ薄れていたのに、妖怪にまた引きずり込まれ始めている。早くしないからですよ」

「俺のせいかよ」

「ええ。先からずっと見ているだけだったじゃないですか」

「どう書けばいいのか分からないんだよ。引きニート舐めるな。人の慰め方なんて知るわけないだろう」

「はいはい。みんなが固まっているうちに書いて」

「へーーい」

 

 

 

242 名無しの権兵衛

 そう言うものなのか?

 

「疑問ですか」

「だって仕方ないだろ。友達とかいた事ないから、こう言うのが普通なのかも分からないんだよ」

「成る程。それは僕にも分からないな……。すくなくとも理想ではないように思えるけど」

「ていわれてもじゃあ、それが何かは俺には分からないけどな」

 

 

 

243 名無しの権兵衛

 そういうものって理由がなくなるってところにか?

 

244 名無しの権兵衛

 うん。そんなに簡単に友達って居なくなるものなのかな

 

245 名無しの権兵衛

 確かに……

 でも、あんまり想像できないけど女子の世界は恐いって言うしな

 

146 名無しの権兵衛

 裏があるんだろ

 

147 名無しの権兵衛

 そうそう

 

148 安価好き

 俺自身は女子の世界とか分からないけど、中学の頃、Bが他の奴と一緒に俺の悪口をしていたのを聞いたことがあるんだ。

 始めてできたA以外の友達だし、女子だったから、別れるのが嫌でその時は聞いてない振りしたんだ

 

149 名無しの権兵衛

 安価好き……

 

150 名無しの権兵衛

 ……………………

 

151 名無しの権兵衛

 でもよ、安価好き。

 二人だけの友達で別れたくないのは分かるけど、今の関係は両方にとってよくないもの何じゃないだろうか。

 これを機に止めた方が良いかもしれないぞ

 

252 安価好き

 え?

 

253 名無しの権兵衛

 おい、お前何を

 

254 名無しの権兵衛

 辛いとは思うけどさ、お互い嘘着いてる今の方が辛いんじゃないかと俺は思う

 友達の振りするBも、いつ終わるのか怯える安価好きも。だから、いっそのこと終わらせてしまった方が

 

255 安価好き

 だけど……

 

256 名無しの権兵衛

 考えた方が良い

 

257 名無しの権兵衛

 俺も……、254の言う通りだと思う……

 

258 名無しの権兵衛

 俺も、その方が良いと……

 

 世夜の目は画面の中を見ていた。次々と写りだされていく言葉に眉を寄せている。

「うん?」

 動き出そうとする指を何かは好奇の色で見ていた。

 

259 名無しの権兵衛

 本当にそれで良いのか

 嫌々、だとしてもそれは中学の頃の話だろ。今は高校生だろ

 

260 名無しの権兵衛

 ? >259は何を言いたいんだ?

 もう少し分かり易く

 

261 名無しの権兵衛

 おう、すまねえ。

 その中学最初の時はBも利用していたのかもしれないけど、今までずっと友達やってきているうちに、少しは本当の友達になているんじゃないのかって思って

 可能性だけど……

 

262 安価好き

 それは、そうなったらいいなとは思うけどでもそんなの無理だよ

 

263 名無しの権兵衛

 何でそんな事言えるんだよ

 高校に入ってからも悪口とか言われたりしてるのかよ

 

264 安価好き

 それはないけど……。でも

 

265 名無しの権兵衛 

 あのさ、安価好き

 おれ、261の考え方が凄いと思うよ。

 友達なんだから最初はどうあれ仲良くできたら良いんじゃないかな

 ……可能性が少しでもあるなら信じてみても良いんじゃないかな

 

266 名無しの権兵衛

 俺もそう思う。仲良くしたいんだろ

 

267 安価好き 

 信じてどうしろって言うんだよ

 AとBのよりをもどすの諦めればいいの。それで友達がいなくなれって

 

268 名無しの権兵衛

 そうじゃないってただ明日でも話してみたらどうかって

 

269 安価好き

 何を……

 

270 名無しの権兵衛

 話す内容なんて何でも良いよ

 ただちょっと腹を割ってさ、話してみたら良いんだ。弱気に何なよ

 

271 名無しの権兵衛

 そうだぞ、時間は偉大だ。信じろ

 

272 名無しの権兵衛

 一緒に過ごした日々は楽しかっただろう。それを信じてみたらいい。相手も同じ気持ちだったって

 

273 安価好き

 でも……

 

 

 

「あと一息。流れが変わる前に、早く」

「おう」

 

274 名無しの権兵衛

 友達って言うなら信じてやれよ。それが先ず友達の第一歩じゃないのか

 

 

 

「う……、書いてて背筋が寒くなった」

「良い言葉だと思いますよ」

「いや、寒い」

 

275 安価好き

 うん。そうだね

  

 

 その言葉が画面に現れた瞬間だった。

 突然画面が激しい音を立てて揺れたのだ。それは外部からの衝撃と言うよりは内部からの衝撃と考えって良いのか、画面の中がゆらゆらと揺れている。

 

276 名無しの権兵衛

 な、なんだ!

 

276 名無しの権兵衛

 おい、今、パソコンの画面が揺れたんだけど、何が起こったんだ。地震か!

 

277 名無しの権兵衛

 テレビで地震の奴流れてないよ。つうか俺の所もなった

 何だったんだよ

 

「……今の」

「書き込んで」

「え」

「いいから」

 

278 名無しの権兵衛

 じゃあ、明日頑張れ

 友達だって思っているなら、向こうだって思ってくれるはずさ

 

179 安価好き

 え? うん。ありがとう

 

 

 

 また画面が揺れる

 

280 名無しの権兵衛

 また1

 

281 名無しの権兵衛

 なんだよ、ホラーなのか

 

「後、ほんの一息」

「一息ってこれ以上何を言えば良いんだよ」

「何でも良いから早く」

「いわれてもわからねえよ」

 戸惑う視線の先新たな分が付け足された。

 

282 名無しの権兵衛

 明日何かあったらここを頼れ。保守して待っている。

 

283 名無しの権兵衛

 ここの奴らは仲間だと思って良いから

 

284 安価好き

 うん。ありがとう。

 明日頑張ってきます

 

 

 

 パンと破裂音が響いた

 パソコンの中から何か異形の物が飛び出してくる。すぐに引っ込もうとするその異常に何かは嬉しそうに追い掛けた。

「やっと来た。逃がさない」

 異形が消え波紋を立てている画面に何かは手を置いた。触れた手のひらから引きずり込まれるように画面に入っていく何かに彼は思わず手を伸ばした。

「おいちょっと待って!」

 彼はまだなにが起きているのかを知っていなかった。だから手を伸ばし、その手は何かの裾に確かに触れていた

 世夜の意識が飛んでいた。

[newpage]

 世夜が目を開けたとき、青を基調とした色とりどりの渦の中を進んでいた。何かに体が引っ張られていくように、ぐにゃりぐにゃりと体が揺られていく。文字の羅列が呆然と開けた彼の目の前を踊る様に通り過ぎていく。その文字を読みとることはできなかった。

 呆然と渦の中で、回されている世夜の目に明るい光が届いた。

 

 気付いた瞬間、世夜は広い場所にいた。

 そこは周りを青に囲まれた何処までも何処までも続いている灰色の床だった。見渡す限り障害物などない。そこにあるのは三つだけ。世夜と何か、そして歪な姿をした人間ではない者。何かの言葉が本当なら妖怪という存在。

 三人がその場に立っていた。

「おや? 君も来たんですか?」

 何かがその目を驚きで見開いて聞く。それは予想外の事が起きたことに愉快を感じているようだった。

「何かな……。来たら悪かったのか」

「いいや。ただ、恐いことになるかもしれないので、逃げ回れよ」

「……お、おう。というか何が……。ここ何処だよ」

「何だろね……。パソコンの中、電脳世界ってところかな」

「はあ?」

 目が点になるとはこういう事だろう。聞いた問いへの答えに世夜は呆然とするしかなかった。

「電脳世界……」

「おう」

「……マジか」

「マジです。あなたもパソコンの中に引きずり込まれる私を見たやろ」

「ああ」

 そしてそれに触れて、引きずり込まれてしまったのだ。

「ではそこで待っていてな。話をしている時間はあれなので。待たせずすぎて向こうさんがそろそろしびれを切らしていますね」

「え?」

 何かが視線を向ける方向を彼も向けばそこに

は、人の形をし尖った爪と頭には鬼のような角を持つ妖怪が唸っているところだった。妖怪がその足に力を込めて突撃してくる。それは彼を狙っていた。

「うぇ」

 いきなりのことで反応ができない彼を真っ直ぐと狙ってくる。足が竦んで動かない。怯えている彼は大きな瞳で妖怪を見つめていた。妖怪が近付いてくる。恐くなって目を閉じた。

「止めや」

 すぐ近くでそんな声が聞こえた。

 目を開けるとそこには妖怪と何かの姿。妖怪は爪を、何かは何処からだしたのか鎖が着いた二つの鎌をぶつけ合っている。

「一番最初に弱い者を襲うのはまあ、セオリーですけどそう簡単にやれるとは思うな」

 妖怪の顔が歪む。もとからしわくちゃの顔に深い皺ができて醜悪だ。声にもならない低い音を発して妖怪は近付いてくる。

「お前の相手は僕です」

 男の言葉に妖怪の眼が始めて何かを見た。その眼が嫌そうな色を作る。

「さあ、遊戯(ゲーム)を楽しみましょう。あんたは先も言った通り、逃げ回って下さい。分かったな」

「おう……。と、言いたいが一つだけ聞いて良いかい」

「なんです。手短にお願いします」

「……その鎌、何処からだした。お前持っていなかったよな」

 世夜がさしたのは何かが持っている二つの鎌。最初に彼が見たときには何処にも持っていなかった。そしてその鎌の質量から服の内側に入れておくことも不可能なはずだ。もしかしたら服の内側があの青い猫のポッケトように異次元である可能性もなきにしもあらずだけど。

「ああ、これ」

 つまらなさそうに何かがいた。

「ここは電脳世界です」

「それは先聞いたけど」

「ここでは想像したことをある程度は形にできる」

「マジで」

「はい。何ですかね。強く思えば思ったことの情報が頭の中に流れ込んでくるから、それを形にしようと思えばいける。流れ込んでくるのはこの電脳世界での情報なのでどうでも良いことが交じってるが、それではなくちゃんとしたものを選択して下さいね」

「おう。まあ、多分そんな事しないけどな」

「まあ、そうやろうな。と言うわけで速く逃げて下さい」

「おう。頑張れーー」

 気のない応援をしながら世夜は今度こそ逃げた。どうにもこうにも不味い状況だという感じがしていない。あり得ないことが起きすぎていて逆に冷静になっていた。と、言いたいが世夜の様子は驚きが四回ほど回転して、感情のパロメーターが吹き飛んでいるだけだ。表は冷静でも裏は荒ぶっている。

(うわ! やべ! なんか良く分からないけど恐ろしい状況。つうかあり得ない状況。二次元好きとしては嬉しい状況。二次元好きじゃ全然ないけど! いや、マジで何だよ。電脳世界とか。ありえねえーーーーー。あり得ているわけだけどな。夢じゃねえよな。こんな夢もしみてるなら、凄い想像力だな、俺。夢じゃないけど! ほんと、何なんだよ。わけわかねえ、訳わかんねえ、わけわかんねえ)

と、言うようなあらぶりようである。

 そんな世夜から離れた場所で何かは妖怪と対峙していた。最初に世夜を助けたときの状態から動かず、二人力比べのように押し合っている。ギリギリとぶつかり合う音が二人の周りに響く。

 最初に動いたのは何かだった。空いた片手に持つ鎌を振り上げる。妖怪が避ける。次を仕掛けてくるのは妖怪。体勢を低く腹をめがけて攻撃を仕掛ける。何かは避ける。また同じ攻撃が仕掛けられてきて、今度は受け止めた。ぶつかり合いの勝負。不意に妖怪が顔を上に上げる。尖った角が何かを狙う。もう片手の鎌で受け止める。空いた妖怪の腹を蹴る。吹き飛んだ妖怪。だがその直前に蹴りを放っていた。鋭い足の爪が僅かに右腹をかする。

 地面に打ち付けられた妖怪は起きあがらなかった。何かが警戒しながら妖怪に近付いていく。覗き込むような近さになったとき妖怪が動いた。蹴りが放たれ、拳もだされる。二つの攻撃を受け止める。バランスの悪い体勢の中で妖怪は頭突きを仕掛けた。慌てて後ろに避ける何か。体制を持ち直す前に妖怪が仕掛ける。その攻撃を塞いだのは良いがバランスを崩して後ろに少し吹き飛んだ。

 妖怪の次の攻撃が迫る。それを避ける暇もなく地面へと吹き飛んだ。それは世夜のすぐ近くだった。

 妖怪がニヤリとこちらに向かってくる。世夜はびくりと肩を震わせる以外何もできない。そんなところに声がかけられた。

「何か壁になるものをだせ!」

「はぁ!」

「先、説明したでしょう! それをやってみてください!」

「え、いや! 無理だし!!」

「そんなこと言っている暇はないわ! やって」

 叫ぶ何かの言う通り、言っている暇はなかった。妖怪が近付いていている。パニックになりながら彼は壁になるようなものをと思った。

(壁になるような物って何だ。え、え、)

 混乱している彼の脳に浮かび上がったのは今日彼が見た一つの物体。それのことを強く思い描いた。そうすると頭の中に色々な言葉と画像が流れ込んでくる。

(なんだ、これ、わけわかんねえ。この中の一つを欲しいって思えばいいのかよ)

 戸惑いながら画像の一つに視点を合わせた。

 妖怪は後ほんの少しでこちらに届く。

 その前に光とともに何かが現れていた。それは洋風建築の家ならどの部屋でも必ず見ることができるだろうものだった。それがない部屋などあり得ない物だ。一つの板に取ってのついたそれ。

 そう目の前に現れたのはドアだった。

 ドアに妖怪の爪が突き刺さる。突き破ろうと妖怪はドアに向かい頭突きを繰り出す。何度もやるそれにミシミシとドアが音を立てる。ひいと世夜が声を漏らすが、それと同時にに笑い声が響いた。

「捕まえた」

 何かの声だ。

「これでチェックメイトだ!」 

 いつの間にか妖怪の背後に回っていた何かが、身動きが取れない妖怪に向かって鎌を二つ振り下ろした。

 妖怪の断末魔が辺り一面に消えていく。

 ズタズタの扉と共に跡形もなく消滅した妖怪。腰を抜かしている世夜の前で何かがにっこりと笑った。

「いやーー。ありがとうございました。一人でも片づけられたとは思うけど、何分ちょっと素早くて」

 ニコニコと笑う何か。その何かの言葉にふっと世夜は嫌なものを感じた。

「……おい」

「何」

「……もしかして、こっちに飛ばされたのってわざとだったりしないよな。俺にアイツを止めるもの作らせるために……」

 まさかな、と思いながら聞いたこと。だが、何かはそれを肯定するように笑っていた。

「いや、半信半疑でやったんですけど、やればできるもんですね。やっぱり人間は命の危機に瀕した時は、命がけでやってくれるんですね」

 時が凍り付いた。彼の表情が固まる。ぴくぴくと口元が震える。

「おい! テメェ、何してくれるんだ! 俺が死んだらどうするつもりだったんだよ! ああ!」

「大丈夫。もしできなくても助けには入るつもりでした。言っただろ。一人でも片づけられたって」

「そうだけど、そうだとしても!」

 止まらない彼の怒り。だが、そんなもの何処吹く風で何かは笑う。

「大丈夫ですって。それより、もとの世界に帰りましょうか。俺は大丈夫だけど貴方は体から魂が抜け出している状況だと思うから長居したら体に戻れなくなる可能性も」

「え、俺、魂なの。今」

「はい。普通の体では電脳世界には入ってくることができないので」

「ちょ、さっさと帰るぞ」

「はい。じゃあ、私の手を取って」

「おう」

「帰りましょう」

 何かの手に手を重ねればぐにゃりとした感覚が襲ってくる。そして気付けば最初と同じ青を基調とした世界をぐるぐる回っていた。

(最初は驚きすぎて感じなかったけど、これ……。スゲえ、気持ち悪い。

 

 吐く)

 世夜の意識はそこで途絶えた。

 

 

 目を開けるとそこは見知った己の部屋。パソコンの前。いつも起きるときと同じ体制での帰還だった。夢だったのではないかと、一瞬思ってしまうほどだったが、隣に何かがいるので違う。

「目を覚ましましたね。どうでした。電脳世界」

「吐く」

「そうですか」

 望まれている感想はそんなものではないだろうが、今の彼にはそれを言うのが精一杯だ。吐き気が酷かった。

 暫くそっとしていたら収まった吐き気に世夜はホッと息をつく。

「大丈夫ですか」

「おう」

「そうですか。で、何か聞きたいことありますか」

「ない」

「ないんですか」

 何かが不思議そうに世夜を見るが、世夜には本当に聞きたいことはなかった。

「ない。そりゃあ、不思議に思うことはたくさんあるが、たくさんあり過ぎてどれを聞けばいいのか分からないし、聞いたって全てを処理しきる自信がない。だったら、もう何も聞かない。変に知ったら余計知りたくなるからな。聞かない方が良い。だからない」

「そうですか」

「ああ。どうせ、今日限りですからね」

「え?」

「え?」

 驚く何かに世夜が驚く。

「今日限りだろ」

「いえ、これから妖怪を対峙するのに手伝って貰おうと考えていますというか、僕の中では決定事項だから、手伝って貰う」

「……嫌だ」

「パソコンの中に入っているデータ全部流した上で消去しますよ」

「やらせていただきます!」

 こうして、世夜と何かの日々は始まった。

 

 

 

 

 

 

286 名無しの権兵衛

 じゃあ、明日まで保守していくか

 

286 名無しの権兵衛

 そうだな

 

287 名無しの権兵衛

 ほ

 

288 安価好き

 さき、二人からメールが来ました。ちょっと載せますね

 

 A

 まだ別れてからそんなに立ってないのにいうのもどうかと思うが、好きだ。

 

 B

 今日、Aと話をしました。どうやっても私とよりを戻すことはできないと言われました。しょうがないと思う。結局こうなることは目に見えていたわけだし。

 安価好きちゃんも気付いていると思うけど、私は最初Aと近付くためだけに安価好きちゃんと友達になりました。

 だけど、いままで一緒に過ごしてきて安価好きちゃんの良いところもたくさん知って、好きになりました。Aとは別れたけど安価好きちゃんとはこれからも仲良くやっていきたいと思うからよろしくね。

 

 P.S あ、でもAのこと諦めた訳じゃないからね。ライバルとしてもよろしくね

 

 Aのは良く分からないけど、私も好きって返信しといた。Bのは嬉しくて何て返すか迷い中。ただ最後のライバルの意味が分からない。受験のことかな? どこ受けるのかまだ聞いてないけど。同じところなのかな

 

みんな、今までありがとう

おれ、結局何もしなかったけど、でもみんなと話してて勇気が湧いた。みんなと話してなかったら、Bからのメールを読む勇気なかったと思うし、このメールも色々勘ぐったんじゃないかって思うんだ。だから、ありがとう 

289 名無しの権兵衛

 し

 

290 名無しの権兵衛

 187、189>どんまいって安価好きーーーーーーー!

 

 良かったな、良かったな!

 

291 名無しの権兵衛

 まさかこんなに簡単にゴールするとは、だが良かったな!

 

292 名無しの権兵衛

 おめでとう

 

293 安価好き 

 ありがとう

 

294 名無しの権兵衛

 そんなにお礼言うな。照れるだろ

 だが、良かったな

 

 そして、安価好きは天然だった

 

295 名無しの権兵衛

 おめ!

 

 294>何言ってるんだ。途中から分かってたことじゃないか

 

296 名無しの権兵衛

 おめでとう

 

294>そうそう。

 にしてもAかわいそす

 

297 名無しの権兵衛

 これ、勘違いしたらどうするんだよ

 

298 名無しの権兵衛

 その時はその時だろ

 

299 名無しの権兵衛

 俺、Aのこと応援する

 

300 安価好き

 300ゲット!

 今度こそ取った!

 

 みんな、何の話しているんだ?

 

……

 

 

 

「解決したようですね」

「そうだな」

 最後に一度確認の為に見ていたスレでは問題が解決していた。

「……ところでさ、俺一つだけ質問したいんだが」

「何です」

「電脳世界の時、一人称とかころころ変わってただろ、あれ何で」

「何故、今のタイミングで聞くんです」

「何となく」

「そうですか。

 何故と言われても、よく説明できないんですけど、私はスレから生まれた妖怪で、生まれたときには自分というものを持ってなかったんです。それは徐々に作られていたんですが、その作られていた場所がちゃんねるという不確定多数の人が集まる場所でしたので、色々と混ざってしまったんです。こちらの世界にでればある程度はまとまるんですが、電脳世界の中だと、どうにも口調などが確立できないんです」

「へえ」

「他に聞きたいことは?」

「ない」

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とじる

にっ!

 日差しの暑い夏の日。この部屋には日差しははいってこないのにそれでも異常なほど熱かった。夏というのは本当に熱く秋比奈世夜には地獄のように思えた。

「アチィ……。たっく。本当に夏って言う奴はあり得ねぇな。こんな時に出て行く奴の気がしれねぇぜ。それより今日は何しようか。アニメでも見ようかなーー」

 面白い物を探すかのように世夜の目線はパソコンに向かう。彼はパソコンが一日でもなくなれば死んでしまうと思えるほどのパソコン中毒者だった。それで何かをするわけではないのだがただ単純な暇つぶしのためだけにパソコンは必須道具だ。そんな世夜がのんびりと今日はどんな暇つぶしにしようかと見ている横でひょいと手が伸びてきた。

「何言っているんですか。今日はここ。妖怪の気配がする」

 勝手なことを言いながら伸ばされた手は画面に触れるとどこからともなくあるサイトを開いてそこにあるURLを一つ開いてた。

「何勝手なこといってんだよ、この野郎!」

 世夜が抗議するそこには滅茶苦茶な格好をした人の姿。名前は知らない。知っているのは彼がパソコンのなか、○ちゃんねると言われた場所からきた妖怪であると言うことと、めんどくさくも世夜に手助けを求めにきていると言うことだけだった。妖怪何て冗談みたいなと思うかもしれないが本当のことだった。つい昨日世夜はその目で妖怪がでてくるのを見て、その体ではなく精神でパソコンの中にある電脳世界にまで行ってきたところだった。流石にその後はあまりにもな出来事に疲れパソコンをする前に寝てしまった。引きニートは突然の出来事に弱く、刺激されるとすぐに疲れてしまうものなのだ。

 そして朝起きて昨日のことなどすっかりなかったことにしてしまおうと何かを無視してパソコンに向かった世夜なのだが、気付けば思いきり話してしまっていた。

「まあまあ、いいじゃないですか。それより画面を見て」

 所々口調が変わる何かに言われて渋々画面を見ようと動く。本当は無視したいのだが、ここでそんな行動に出ると何かに個人情報を流出されないとも限らないのでしかたなくだ。昨日それで脅されたばかりの世夜としては油断ならなかった。恐ろしいのは何かがタッチ機能付きではないはずの世夜のパソコンをマウスなしに画面にタッチすることだけで操れることだろう。

 嫌々画面に映っているものを見る。それは○ちゃんねるからきた妖怪らしく、○ちゃんねるのスレだった。タイトルを見た瞬間、世夜はあまりにも馬鹿らしくどうでも良くなった。

「なんだこりゃ……」

 意味が分からないと言うように声がでる。

 タイトルはこうだった

【野菜嫌い】野菜があっても、お肉を食べればいいじゃない【集まれ】

 

 そんなどうでもいいようなタイトル。そのスレが開かれていて今現在も書き込みをされている状態だった。

「さあ、さっさと見ていきますよ。逃げたら個人情報を何処かのヤクザのパソコンに流し込みますからね」

「頼むから止めろ! 見るから」

 見た振りでいいかと思っていた世夜は脅されて渋々と読み始めたのだった。

【野菜嫌い】野菜があっても、お肉を食べればいいじゃない【集まれ】

名無しの野菜嫌い

  目の前に野菜が大量につまった段ボールが三つもある。

  そんなときあなたはどう処分しますか

2名無しの野菜嫌い

  捨てる

3 名無しの野菜嫌い

  廃棄処分

4  名無しの野菜嫌い

  燃やす

5 名無しの野菜嫌い

  誰かにあげる

6 名無しの野菜嫌い

  食べる

   ……訳がない。そこらの野良の餌にする

7 名無しの野菜嫌い

  おお! 偉い!!  って思ったけど6

8  名無しの野菜嫌い

  玉ねぎを犬に与えたらダメだよ

9 名無しの野菜嫌い

  じゃあ、猫に与える

10  名無しの野菜嫌い

  そういう話じゃないんだけどな

  まあ、処分方法と言えば処分方法だけど、でも野良に餌付けはダメだろ

11  名無しの野菜嫌い

  そうか。ならやめて海に流す

12  名無しの野菜嫌い

  それもっとダメだろ

  せめて土に埋めろよ。そしたら何かの肥料になるかもしれないだろ

13  名無しの野菜嫌い

  その場合細かく切れよ

  俺は野菜が嫌いだし面倒いからやらねえけど、妹が園芸好きで畑家に作ってるんだ。そこで肥料作るのに雑草やら何やら乾かして細かく切ってを数回繰り返して土みたいにしてる

14  名無しの野菜嫌い

  へぇー、大変だな

15  名無しの野菜嫌い

  タメになる~

16  名無しの野菜嫌い

  めんどくせ

  別に何も埋めねえからそのままでいいだろ

17  名無しの野菜嫌い

  まあ、そうかもな

18  名無しの野菜嫌い

  でも埋める場所あるのか。他人の土地に埋めたら犯罪だぞ

19  名無しの野菜嫌い

  あ

20  名無しの野菜嫌い

  そりゃあそうだよな

21  名無しの野菜嫌い

  普通に捨てるしかないんじゃねぇ

  許可なく庭でもの燃やすのも確か犯罪だろ?  ごみ袋に詰め込め 

22  名無しの野菜嫌い

  そうすると野菜だけがつまったごみ袋ができるわけか

23  名無しの野菜嫌い

  なんかこの家の人野菜嫌いなんだって分かるごみ袋だな

24  名無しの野菜嫌い

  俺夜にしか捨てにいけねえな

25 名無しの野菜嫌い

  それよりも俺は野菜になにか恨みがあるのかと思うぜ

26  名無しの野菜嫌い

  確かに

27  名無しの野菜嫌い

  段ボール三つぶんだもんな

28 名無しの野菜嫌い

  普通野菜嫌いはこんなに買わねえよな

  そもそも野菜事態かわねえ

29  名無しの野菜嫌い

  今月買った野菜トマトとモヤシだけ

  ……orz

30  名無しの野菜嫌い

  大丈夫。俺は一つも買ってない

31  名無しの野菜嫌い

  俺も

32  名無しの野菜嫌い

  俺も。というかまともな食生活してないから一ヶ月パンやおにぎりにカップラーメンとかしか食べてない

33  名無しの野菜嫌い

  あ、それ俺だ

34  名無しの野菜嫌い

  俺もだ

35  名無しの野菜嫌い

  おかしいな書き込んでないはずなのに俺がいる

36  名無しの野菜嫌い

  俺らって……

37  名無しの野菜嫌い

  ダメな大人だな。もう30なのに

38  名無しの野菜嫌い

  ああ。ホントにダメだな……

39  名無しの野菜嫌い

  だから人生の負け犬なのかな

40  名無しの野菜嫌い

  そっか。だからか

41 名無しの野菜嫌い

  いや、俺まだ23だし

42  名無しの野菜嫌い

  どうせ食わないだろ41

43  名無しの野菜嫌い

  そうそうその年でダメなら食わないって

44  名無しの41

  う……。その通りです

  うわぁああああああ!

  野菜なんか食わなくてもいいんだよ!!  なんか文句あるか!

45  名無しの野菜嫌い

  別にねえよ

  ここにいるやつ全員同じだし

46  名無しの野菜嫌い

  そうそうみんな人生の負け犬だ

47  名無しの野菜嫌い

  はぁ……

48  名無しの野菜嫌い

  あーあ……

49  名無しの野菜嫌い

  みんなそんなに落ち込まなくても独り暮らしの男の食生活なんて大体そんなもんだって

50  名無しの野菜嫌い

  そうか。そうだよな

51 名無しの野菜嫌い

  確かに。独り暮らしの男の食生活なんてろくなもんじゃないよな

52  名無しの野菜嫌い

  なんかホッとした

53 名無しの野菜嫌い

  俺も。

54 名無しの野菜嫌い

  私は四十代後半でいまだに独り身野菜嫌いなんだけど……

55 名無しの野菜嫌い

  おっふ

56 名無しの野菜嫌い

  おう

57 名無しの野菜嫌い 

  やっぱり野菜食べないのが悪いのかしら

 野菜食べない私は負け犬かしら

58 名無しの野菜嫌い

 負け犬かも……

59  名無しの野菜嫌い

  負け犬か……

 はぁ…………

60  名無しの野菜嫌い

  はぁ…………

61 名無しの野菜嫌い

 はぁ…………

 読み終わった世夜は目をぱっちくりとさせて呟いていた

「何で野菜一つでこんなネガティブになってんだこいつら」

  その呟きには呆れの色が色濃く現れ、なにしてんだこいつらとつぶやている。

「仕方ないんです」

 それに答える何かの顔は笑っており、軽く答える。

「妖怪が住み着いていますから」

「妖怪ってこんなことしてどうすんだよ

「こうすることで画面向こうの相手を弱らし生気を奪っていくんです。そしてどんどん弱らしていき最終的には食います」

「食べるのか!」

「はい、食べます。パックリと頭から魂を。肉体は最近の妖怪には不味いから食べないんですけど。昔はおいしかったらしいんですけど……。最近はガスやらなんやらが溜まって不味くなったとか。それに妖怪の思考事態が代わったらしくて。これも現代かに対向したことによる変化ですかね」

「いや、別にそんな話はどうでもいいんだけどよ……。妖怪の進化録とかあんま今日みねえしよ。そうか。妖怪は人間を食べるのか」

「はい。食べます。ちなみに妖怪に魂を食べられた人間は廃人になり穏やかに死んでいきます。大体五日後ぐらいですかね」

「へぇ」

「それを阻止するために妖怪退治をするわけです。というわけではい。何か書き込んでください。明るくなるようにですよ」

「何を」

「なんでもいいからはい。はやくしないとデータを消去しますよ」

「やらせていただきます」  

     62  名無しの野菜嫌い

  野菜食べないぐらいで大袈裟過ぎだろ

  世夜が打ち込んだのはそんな言葉だった。ぶっちゃけこれ以外思い当たらなかった。たかだか野菜が嫌いなだけ。まあ、書き込みを見ていたらいい大人がとは思うけどそんな人たちだっているだろう。ニートだって○ちゃんの中にはたくさんいるのだ。そんな深く呆れるべきではない。それでも野菜を食べないだけで人生の負け犬などなんと鼓舞したらいいのか全くわからない。

  そんな世夜の目の前で文字が打ち込まれていく

63  名無しの野菜嫌い

  食べないぐらいじゃないんだよ!

  食べないってのは酷いことなんだ!

64  名無しの野菜嫌い

  そうだ!  そうだ!

  食べなきゃ成長しないんだぞ!

65  名無しの野菜嫌い

  そうだ!  俺なんて四十代になって今だ148なんだぞ!

66  名無しの野菜嫌い

  うふ……

67  名無しの野菜嫌い

  おぉ……

68  名無しの野菜嫌い

  がんば……

  

  ちなみに俺は178

  ただし外にでないし野菜食べないからへにゃへにゃのへにゃへにゃ。日の外に出ると一時間で倒れる

69  名無しの野菜嫌い

  こっちもおぉ……

70  名無しの野菜嫌い

  やっぱ野菜食べないとこうなる

71  名無しの野菜嫌い

  野菜嫌いの運命

72  名無しの野菜嫌い

  嫌いなことが多いからな

73  名無しの野菜嫌い

  野菜嫌いは苦手を克服できない

  だからすぐに挫折する

74  名無しの野菜嫌い

  これからも挫折する

75  名無しの野菜嫌い

  人と食べにいけない

76  名無しの野菜嫌い

  上にいけない

77  名無しの野菜嫌い

  外にいけない

78  名無しの野菜嫌い

  野菜嫌いは

79  名無しの野菜嫌い

  人生の

80  名無しの野菜嫌い

  負け犬

81  名無しの野菜嫌い

  78~80 じゅうこーん!

82  名無しの野菜嫌い

  はぁ~

83  名無しの野菜嫌い

  これだからもてないんだ……

84  名無しの野菜嫌い

  そっか……

85  名無しの野菜嫌い

  だから彼女いない歴=年齢なのか

86  名無しの野菜嫌い

   そうだわ

87  名無しの野菜嫌い

  彼女はいるけど野菜食べれないからご飯食べにいけなくて不満持たれてる……

88  名無しの野菜嫌い

  爆発しろ~とか言いたかったけど可哀想に

89  名無しの野菜嫌い

  俺も似たようなもんだ

  俺の場合もう結婚しようって感じなのに野菜食べれないからなんか結婚生活が不安で俺が彼女にプロポーズできない。待っているみたいで最近は少し苛々してる。あってもそれとなく結婚の話をされて……。好きだけど疲れる

90  名無しの野菜嫌い

  うわぁ……。プロポーズ待ちとかマジやば

91  名無しの野菜嫌い  

  このままそのままでいたら破局するパターン

92  名無しの野菜嫌い

  もう秒読みだったり

93  名無しの野菜嫌い

  かわいそす

94  名無しの89

  言うなああああ!

  俺も考えないようにしてんだああ!

95  名無しの野菜嫌い

  強く生きろよ

96  名無しの野菜嫌い

  しかし!  89だけの問題ではないのだ!

  このスレの人間みんないつかそうなるかもしくは……

  彼女すらできない

97  名無しの野菜嫌い

  うわぁああああああ!

98  名無しの野菜嫌い

  ぎゃああああああ!

99  名無しの野菜嫌い

  のぅうううううう!

100  名無しの野菜嫌い

  こ、これ、が野菜嫌いの末路か……

101  名無しの野菜嫌い

  か、悲しい……

102  名無しの野菜嫌い

  いきる気がなくなる……

103  名無しの野菜嫌い

  一生家のなかでももういいもんね

「おい。これどうすんだ」

「どうにかしてください」

「どうにかってどうやって!」

「さあ? あいにく人間を元気にすることばを私は知りません」

「俺も知らねえよ! ニートに人間を励ますことができると思うな!」

「まあ、頑張ってください」

「俺の話聞いてんのか!! チクショ!  やってやら!  伊達にニートやってたわけじゃないんだ! ニートが釣れる言葉ぐらいなら分かるんだよ!

 …………………………………………………………多分!」

104  名無しの野菜嫌い

  女にもてたいなら野菜を食うようになればいい!

  

  いや、絶対そんなに簡単なことじゃないけどな。

  そう思いながらも世夜は打ち込んだ。ニートとというか彼女いない非リア柔野郎にはこの台詞がなんとなく効くとかなんとかパソコンばかりを見続けたうちに分かっていた。

105 名無しの野菜嫌い

  おお~!

  

  ってそんなに簡単にいかないんだよ

106  名無しの野菜嫌い

  そうか、その手が

  なんて言えたら苦労しねえよ

107  名無しの野菜嫌い

  それ言い!

 

  で、野菜嫌いが直ったら人生らくだよな

108  名無しの野菜嫌い

  人生なめるな

109  名無しの野菜嫌い

  確かに女性にはもてたい!  だが野菜は大嫌いなんだ!!

120  名無しの野菜嫌い

  その通り!  野菜よ撲滅しろ!

121  名無しの野菜嫌い

  野菜なんて、野菜なんて、嫌いだー!

122  名無しの野菜嫌い

  そうだ!  そうだ!

「ダメじゃないですか」

「イヤ、でもある意味元気になってね」

「どうせすぐ落ち込むんじゃないですか」

「そう言うなよな」

11  名無しの野菜嫌い

  野菜なんて食べない!

114  名無しの野菜嫌い

  野菜なんて買わない!

115  名無しの野菜嫌い

  そもそもまともな食事をしない!

116  名無しの野菜嫌い

  好き嫌いは駄目だって知ってるさ

  だけどだけどだけどダメなものはダメなんだ

117  名無しの野菜嫌い

  野菜なんて滅んでしまえ!

118  名無しの野菜嫌い

   そうだ!  どうか神よ!  この世に野菜のない世界を作れ

119  名無しの野菜嫌い

  理想国家の成立だ

120  名無しの野菜嫌い

  サプリメントって便利なものもあるしまじ必要ないよな

121  名無しの野菜嫌い

  おお!  そうだ俺たちにはサプリメントという強い見方が!!

 

  みんなー!  大丈夫だぞ~!!

122

  そうだ。みんな恵みだ~

「いやだめだろ」

  本気で呆れて世夜は画面をみた。なんというか呆れを通りこして滑稽にたどり着き、最後には憐れに行き着くスレである。野菜嫌いなだけでここまでとは……

「打ち込んだら」

 さきの呟きにたいして何かがそう言うのに世夜は首を振っている。

「もう打ち込んでる」

「早いですね」

「ついな」

123  名無しの野菜嫌い

  大丈夫じゃねえだろ……

124  名無しの野菜嫌い

  大丈夫なんだよ!  サプリメントさえあれば栄養素はなんとか吸収されるんだ!

125  名無しの野菜嫌い

  そうだ!そうだ!

 考えてもみろ人類が何故野菜なんかを作ったと思う。それは栄養をとるためだけなんだ!だから栄養をとれたら食べなくてもいいんだ!

126

  その通り!

 野菜は栄養のためにある!!  あえて食べる必要なんかない!!

127 名無しの野菜嫌い

  そうだ! 野菜を食べる必要はない

128 名無しの野菜嫌い

  野菜すべてを破棄だ~!

129  名無しの野菜嫌い

  人生負け犬でも生きてやる~!!

  野菜は嫌いだー!

130  名無しの野菜嫌い

  それでいいのか!?

「なに、打ち込んでるんです」

「いや、なんか思わずビックリして……こいつらなんか幸せもんだな」

131  名無しの野菜嫌い

  いい!

132  名無しの野菜嫌い

   野菜嫌いがどうしたー!

  こうやって成長しとるわー!!

133  名無しの野菜嫌い

  え?  でも彼女や結婚の件はどうすんだ

「おい」

「はぁ! いかん不可思議すぎて……」

134 名無しの野菜嫌い

  うっ!

135 名無しの野菜嫌い

  グサ!

136  名無しの野菜嫌い

  なんて奴だ。俺らの弱点をついてくるとは……

  ゴホッ(吐血)

137  名無しの野菜嫌い

  大丈夫か!  まだ行ける!!

  ドサッ(出欠多量)

138 名無しの野菜嫌い

  うわぁああああああ!

  しんじまう!!

139  名無しの野菜嫌い

  俺はもう死にました……

  はぁ~。別れるしかないのかな……。はぁっ

140 名無しの野菜嫌い

  諦めるなああああ!

  俺ももう無理かな(体育座り

「どうしてくれるんですか、これ」

「え、いや、すいません」

「どうにかしてください」

「はいっす」

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