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ほら、そこに 完結

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ハッキリ見えていた気がするのに、ボーッとしか見えなくなって、意識して見ようとすると、居なくなっている。良くありますよね。

1位の表紙

2位

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‪雨がね、降ってるんですよ。ポツリポツリと。その音は次第に大きくなり始めて、本降りになってきたあたりでね、コンコンって音がするんです。こんな雨の日の夜に何用だと思って、訝しげに玄関を開けたんですよ。そしたらね、誰もいないんですよ。いやぁ、おかしいな、変だなとは思ったですけどね、誰もいないので玄関を閉めて部屋に戻ったんです。

そしてしばらくすると、また外からコンコンって聞こえてくるんです。二回目だし、悪戯か何かだろうとは思ったのですが、よくよく考えると、この辺り大学しか無いんです。罰ゲームか何かだとしても、大学生がピンポンダッシュのような真似をするものだろうかと、少し考え込んいました。

考え込んでいた私は、玄関を開けるのをすっかり忘れていたのです。思い出したように開けようとする、私のすぐ後ろで、音が聞こえました。窓の方から今度は聞こえてくるんです。コンコン、コンコン、コンコンって。でも、ここは5階。窓をノックする人間なんていません。

恐る恐る窓にかかるカーテンを、そっと開けると、勿論そこには誰もいませんでした。当然です。地上5階、窓を伝って登ろうなんて人間は、そうはいません。

ホッとしたのも束の間、窓から見える電柱の陰に、何かがぼぅっといるんです。ゾッとした私は、思わずカーテンを引きました。

私は特に優れたところのない、平均的な成人です。誰かに見られる覚えも、追われる覚えもありません。こちらを見ていた気がするのは、気のせいでしょう。案の定、もう一度外を見ると、誰もいませんでした。幽霊の正体みたり枯れ尾花。という、やつです。何かを人影と見間違えたのでしょう。

それから二日、なにも起こりませんでした。きっと二日前は風が強く、巻き上げられた小石などが、窓を叩いていたと納得したのでした。

あの日から一週間。当然なにも起こりません。それでも、ふと、思い出したのです。あの陰に見えたのはなんだ。こちらを、私を伺っていたものは一体なんなのだと。

あれは裏手にある、普段は通らない、窓からしか見ることのない電柱の陰。

どうしても気になり、行かずにはいられませんでした。

恐る恐る、それでも一歩ずつ、確かに電柱に近付いていきます。

あぁ、怖い。怖い、怖い。あそこには、私の知りえぬものがいる。確かにいるのだと、そんな気がしてなりませんでした。

そして、意を決して覗き込んだ私の勢いに反し、物陰には、なにもいませんでした。

ホッとしたような、少し残念なような気分になった私は、部屋へと帰りました。

ただの気にし過ぎだと理解した私は、その日、カーテンを開けたまま、安心感と自分の見たものを信じ、眠りこけてしまったのです。

寝ている間に、少し肌寒い感覚を感じた私は、カーテンを開けたまま寝てしまたことに気付いたのです。

カーテンを閉めようと、窓へフラフラと寝起きの頭で近付いていった私は、見てしまったのです。目が合ってしまったのです。

そこには何もいないはずでした、確認したのですから。

でも、違ったのです。陰に潜むそれは、私に見つかったことを勘づき、隠れていたのでした。そう、私が油断するのを待っていたのです。

ああ、なんということでしょう。

私は、私を信じたばっかりに、喰われることでしょう。

目が合った陰のものは、動けない私めがけ、空を這って近付いて来るのですから。

動こうとも、目を逸らそうともしたけれど、ついぞどちらもできなかった私は、冷静近付いて来る化け物を見てる私に気付きました。

ああ、ああ!近付いてくる!

コンコン

部屋に、ノックの音が響き渡った。

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1

コンコン、と言う音に、ずっと恐怖を感じながら読みました。
ノックをしてくるところが生活感があって実に怖いです。

2

あふりかのそらさんコメントありがとうございます!

日常に存在する音を、日常に存在しないものが出すって、怖いですよね。

作者:アメフラシ

2018/9/26

3

実話怪談風に始まって、少しラブクラフト風の底知れない恐怖になるところ、ぞわりとして素晴らしかったです。
「何か」の描写を、直接はしないのが心憎い。
嫌でもあれこれ考えてしまって怖さ倍増です。
御馳走様でした((((;゚Д゚))))ガクガクブルブル

大久保珠恵

2018/9/26

4

大久保珠恵さんコメントありがとうございます!

現実と非現実の境にある恐怖。みたいなのを感じ取っていただけたようで、嬉しいです。

日常生活で、ふと、気になった何も無いところは、きっと何かがあるのだと思います。
お粗末さまでした(〃・д・) -д-))ペコリ

作者:アメフラシ

2018/9/27

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