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未来の私に会いに行こう 完結

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失恋して悲しみのどん底にいる「私」は、打開策を求めてとある行動に出た。

1位の表紙

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 失恋した。

「ヨーヘイ君……グスッ」

 私は自室で泣き暮らしていた。付き合って三ヶ月目の記念日に切り出された別れ話。それから一週間も経つと言うのに、私は未だ失恋のショックから立ち直れないでいる。

「ヨーヘイ君の事、忘れる事なんて出来ない! うわああん!」

 再び泣き伏せる。悲しみの絶頂に浸り一頻り泣いてから、はたと冷静になった。

 私はいつになったらこの悲しみから抜け出せるのだろう。ずっとこのままだとしたら、どうなってしまうのだろう。そう考えると私は更に暗い気持ちになった。

「……知りたい」

 いつになったら立ち直れるのか。そして失恋の特効薬的なものがあるならそれも知っておきたい。

 思い立った私は、タイムマシンで未来の私に会いに行くことにした。行き先はとりあえず、この恋が思い出に変わっていそうな十年後あたりを選ぶことにした。

 十年後、二十五才の私は都会で一人暮らしをしながら、中小企業の事務員をしていた。部屋での晩酌中に、私は参上した。

「ヤッホー、十年後の私」

「キャー!? あ、そのダサい制服……! ひょっとして、十年前の十五才の私!?」

 後れ馳せながら、元の私の年齢は十五である。

「いきなりどうしたのよ。あーびっくりしたわ」

「……」

 私は部屋をまじまじと見渡した。築浅のワンルーム。そして辺りに散乱した、物、物、物。足の踏み場も無い程散らかった、これぞまさに汚部屋。

「十年後の私さあ……ちょっと、私生活だらしなさ過ぎじゃない?」

「仕事が忙しくてさ。今日はたまたま残業を早めに切り上げられたからこの時間に飲んでるけど、本当は毎日終電で帰ってきているんだから」

 ヘアバンドで前髪を上げたモコモコ部屋着姿の私は、そう言いながら缶ビールを飲み干した。成る程、目の下にはコンシーラーでは隠しきれない程の隈が刻まれている。かなりお疲れのようだ。それならこの部屋の惨状も仕方ないのかもしれない。

 私は足元にたまたま落ちていた写真を拾い上げた。それは最近行われたであろう飲み会の集合写真だ。前列の端に写っている自分を見て、舌を巻く。目の前の現物と比べて、なかなかの美人に写っているじゃあないか。

「で、いきなり何の用なのよ、十年前の私」

「ああ。実は、私ヨーヘイ君と別れたばかりで、なかなか立ち直れなくて」

「あーハイハイ、そういやそんな時もあったっけ」

 二十五才の私は荷物の下敷きになっていた座布団を引きずり出すと、その上に座るよう私に促した。そしておつまみのチータラ袋を私へ差し出す。

「そんな時って事は……もう立ち直れてるの?」

「あったり前田のクラッカーよ! 一年もすればね、新しい恋をしてスッチャラピーってもんよ」

 その表現については些か謎だが、特に突っ込まない事にした。しかし立ち直るまでに一年もかかるのか。意外と長いじゃないか。そして新しい恋ときた。やっぱりヨーヘイ君を忘れる運命にあるらしい。

 内心ガッカリとしている私を尻目に、二十五才の私はチータラを咥えながらうっとりと息を吐いた。

「懐かしいなぁ……ヨーヘイ君。三年間同じクラスで、野球部だったっけ。ゴールデンウィーク明けに告白されて、それから付き合い出したのよね」

「……グスッ」

「あらいやだ、ごめんなさい。傷をほじくり返しちゃって」

 二十五才の私は、肩を震わせて泣き始めた十五才の私の背を撫でた。慰めながら手近にあったペットボトルジュースを差し出してきたが、首を振って断る。どことなく濁って見えるペットボトルの中身。いつ封を開けたものなのか、甚だ疑わしい。

「それにしても懐かしいわねえ。初めてのデートは河川敷だっけ。クラスの人達がいないかキョロキョロしながら、手を繋いで歩いたのよね」

「……うん」

「花火大会にも行ったっけ。イチキュッパで叩き売りされてた浴衣だけど、『可愛いよ』って誉めてくれた」

「……」

 ヨーヘイ君との、輝かしい思い出のハイライト。私の目からは、再び涙が零れてくる。

「海に行った時なんか楽しかったわ~。手と手を取り合って、二人で砂浜を駆けたっけ。太陽が眩しかった……」

「……ん?」

 その思い出は、微妙に間違っている。海に行った時は、曇っていた。しかも砂浜を駆けたのはおいかけっこをしたのではなく、野良犬に彼の財布を盗まれたからだ。海遊びはそっちのけで、ひたすら犬を追いかけていただけの、海デート。 

「喧嘩も沢山した。でも彼は誠実な人だったから、いつも自分から謝ってくれたの……」

 いやいやいや、それはない。むしろ私から謝った時の方が多いぐらいだ。ヨーヘイ君は誠実どころか、付き合いたての頃から密かに五股していた。しかも本命は私じゃなかった。つい先日たまたまその事実が明るみになり、向こうから別れを切り出されたのだ。

「俳優顔って言うの? 二枚目? イケメンだったわよね!」

 それも微妙なところだ。どちらかといえば、三枚目。お笑い芸人っぽい感じ。

「ちょっと、二十五才の私」

「え? 何よお」

「その思い出、大分美化されてるんですけど」

「え~? まっさか~!」

 ケタケタと笑う二十五才の私に、十五才の私は淡々と事実を述べていく。すると二十五才の私は徐々に記憶を取り戻してきたようだ。次第にゲンナリとした表情になり、ガクッと肩を落とした。

「マジか……結構ダメな奴だったんじゃん、アイツ。五股してたとか、普通に忘れてた」

「まあ、私も私で悪いんだけどさ。見る目がなかったというか」

「ていうか別れて正解じゃない、十五才の私! むしろおめでとう!」

 二十五才の私は、酒臭い息をプンプンと振り撒きながら私の背中を叩いた。こうして客観的に見ると、奴が如何に酷い男だったかが分かったような気がして、それまで彼に抱いていた執着心のようなものがうすらいでいくのが分かった。

 にしても、十年後の私ってこんなんなのか。キッと視線を向けると、二十五才の私は目をパチパチとさせて小首を傾げた。

「え、何かな?」

「ねえ私、今彼氏いるの?」

「彼氏? ああ、半年くらい付き合ってるのが一人いるよ」

「結婚するの?」

「ん~どうかな。まだまだ遊びたいし、彼もちょっとだらしない所があるのよね」

 あんた程じゃないだろう。部屋の惨状を見ながら、私は内心ツッコんだ。二十五才の私は、「ねえ、そんな事より!」と私の手を取った。

「私っていつ結婚するのかな? 気になんない?」

「え?」

「今からさあ、見に行こうよ! とりあえず十年後!」

「え~、でも……」

「いいからいいから!」

 二十五才の私にゴリ押しされるまま、私達はタイムマシンに乗った。

 三十五才の私は、意外にも同じ部屋に住み続けていた。真夜中という事で部屋の照明は消され、隅に置いてあるベッドで眠っている姿が見えた。二十五才の私はベッドに駆け寄り、眠っている三十五才の私をユサユサと揺り動かした。

「ねえねえ三十五才の私! 起きてよお~」

「ん……、んん!? あんた達、誰!?」

「やだ、忘れたの? 二十五才の私と、十五才の私でしょ! ホラホラ~、肌がピチピチしてるじゃな~い」

 今更だが、二十五才の私は色々な意味で残念な気がする。勿論三十五才の私もそう思ったようで、眼鏡をかけて怪訝な表情を浮かべていた。

 どうやら三十五才の私は、雰囲気からして大分落ち着いているようだ。いや、年も年なんだから落ち着いてもらわにゃ困るのだが。

「ああ、タイムマシンで来たのね。理解したわ」

「ねえねえ、私がいつ結婚するのか聞きたくってさ~、来ちゃった! ねーいつ結婚するのー!?」

「二十五才の私、ご近所の迷惑よ。声を落としなさい。十五才の私の方が年上に見えるって、恥ずかしくないの?」

 三十五才の私は部屋の電気を付けると、私達をその場に座らせた。明るくなった室内を見回した私達は、目を見合わせた。

 部屋の雰囲気が、ガラリと変わりすぎている。

「ちょっと、三十五才の私! どういう事、部屋の物が全然無いじゃない! 質屋に売っぱらっちゃったわけ!?」

「静かになさい! 断捨離したのよ! むしろこれぐらいが普通よ!」

 確かに三十五才の私の言うとおりだ。物は少な目だが、モデルルームの一室のような、綺麗な部屋になっている。というかこの十年でこんなにまともになるなんて、結婚の事なんかよりこの十年で何があったのかの方が気になってきた。

 ふと、私はベッドに注目する。

「ん? 三十五才の私、随分ベッド大きくない?」

「ホントだ。これ、ダブルベッドってやつ? え! まさか……ケッコン……!?」

 二十五才の私と十五才の私は、顔を見合わせてポッと赤面した。三十五才の私は少し頬を赤らめながら、誇らしげに胸を張った。

「同棲してるの、彼と」

「えっ」

「なーんだ、同棲か」

「ちょっと、何だとは何よ」

 ムッと頬を膨らませた三十五才の私を、十五才の私がまあまあとなだめる。その横では二十五才の私がニヤニヤと薄ら笑いを浮かべていた。

「何て名前? もしかしてアツシ?」

「馬鹿、そんなのすぐに別れたわよ。タッ君よ、タツオ君」

「え~、いつから一緒に暮らしてるのよ~?」

「今年で五年目よ」

「五年目……」

 二十五才の私が、絶句しながらこちらへ目配せをする。私は気を取り直して口を開いた。

「き、今日彼氏さんは? お仕事?」

「ええ。毎週金曜日は、いつも泊まりの仕事なの」

「……何の仕事?」

「接骨院の事務よ。仕事熱心よね」

「……」

 私は微かな頭痛を感じた。毎週金曜に泊まりの仕事がある接骨院だなんて、聞いたことがない。しかし困ったのは、彼氏が裏で何かやっているのは火を見るよりも明らかなのに、全く疑っていない三十五才の私の方である。

 これ以上この話題を掘り下げるのはマズイ。必死に別の話題を探していると、二十五才の私が空気を読まずにペラペラと喋りだした。

「それさ~、絶対女と会ってるでしょ。早く結婚しちゃいなよ! アンタもう三十五でしょ!?」

「はあ?」

「あ、あのさあ! 三十五才の私はヨーヘイ君の事覚えてる!?」

 一触即発の雰囲気が漂い始める中、私は大声で会話に割り込んだ。三十五才の私は一瞬キョトンとしてから、甲高い声を出した。

「やだー! いたいた、そんな男。ちょっと、懐かしすぎる」

「私ね、実はヨーヘイ君に振られたばっかりで……」

「本当? 落ち込まないで、大丈夫よ! あなたも三十五になれば運命の人と結婚出来るから!」

「あ……うん……」

「それにしても懐かしい。河川敷で手と手を取り合っておいかけっことかしたっけ。太陽がキラキラと川面に反射して、綺麗だったわ~」

 やっぱり、ヨーヘイ君との恋はちゃんと思い出になっているようだ。ただし美化された上に、いい感じにごちゃ混ぜになっているようだが。

 微妙な気持ちを味わいつつも、私は先程と同じく思い出を訂正する事にした。すると同じやり取りを繰り返した後、別れた事を喜ばれるという、お決まりの流れになったのだった。

「となると、その先の私がどうなってるかも気になるわよねぇ。子どもとかいるのかしら」

「子ども!? 子ども……いやウーン……」

「会いに行っちゃおうよ~!」

「行きましょ行きましょ!」

 

 という訳で、我々はタイムマシンに乗り込んで未来へと向かった。

 四十五才の私は、相変わらず都会に住み続けていた。引っ越しをしたようで、壁紙や間取りが微妙に変わっている。

 痩せて不健康そうな四十五才の私は、なんと犬を飼っていた。

「ペロちゃ~ん! よーしよしよしよし」

 年の割に若く見えるが、肌には小皺が刻まれ始めている。手の甲には血管が浮き出ており、幼い頃に見た母の手とそっくりだ。ただ、母の手ほど荒れてはいなかった。

「タッ君は? ベッド小さいけど」

 三十五才の私が部屋をキョロキョロと見回す。四十五才の私は、キッパリと言った。

「……私の家族はこの子一人だけ。三才の男の子、ペロちゃんでーす!」

「うっ……」

 加齢により色々な所が変化していく自分。テレビで見たが、独身の中年女は動物を飼い始めるとヤバイらしい。何がどうヤバイのかはよく分からないが、とにかく想像からかけ離れていく自分の未来を見るのが恐ろしいと思った。

 だがまたここでも先程のやり取りが繰り返され、私達はぎゅうぎゅう詰めでタイムマシンに乗り込む事となった。

 五十五才の私は、なんと実家に帰っていた。見慣れた我が家は四十年の年月を経て、大分古びた佇まいへと変化している。自室を出てやけにギシギシする廊下を歩き、私達は電気のついている居間へと向かった。

「ん? あらやだ、昔のあたし達じゃない! まあ、揃いも揃って美女ばかり!」

 居間で深夜の通販番組を見ながら、こたつに入り煎餅を貪る五十五才の私。五十五才の私は、テイストとしては二十五才の私に近かった。だが二十五才の私のような痛々しい感じや、四十五才の私のような不健康さは無く、気の良い小太りのオバチャンといった雰囲気に変わっていた。

「仕事は? 辞めたの?」

「ええ。親の介護をする事になってね」

 穏やかに微笑む化粧っけのない五十五才の私。過去からやって来た私達はその左手に注目した。指輪は、ない。年上の私達は、三者三様に落ち込んだ。十五才の私はと言えば、もう半ば諦めていたのでそこまでダメージはなかった。

「それにしても、皆揃ってわざわざどうしたの?」

「え……」

「いや……」

「あ……あのね。私実は、初めての彼氏のヨーヘイ君に振られたばっかりで」

 年上の私達が口ごもる中、ヨーヘイ君の名を出すと、五十五才の私は喜色満面に溢れた。

「ヨーヘイ君! あらまあ懐かしいわねえ!」

 お決まりの反応。この先の展開を知っている私達は、ニヤニヤと笑みを浮かべた。

「あのね、おいかけっこしたのは川でなく海よ。川は初デート」

「しかもおいかけっこじゃなくて、彼が犬に財布を取られたから、取り返す為に走ったんだからね」

「ヨーヘイ君は誠実だったとか思ってたら大間違い。五股の最低浮気ヤローだから。しかもそれほどイケメンではない」

「あらあらまあまあ、そうだったかしら?」

「おい、騒がしいが何をしとるんだね」

 その時私達は、閉じられていた襖が音も無く開いていた事に気付いた。そこに立っていたのは、白い肌着シャツにベージュの腹巻き、白い股引きといった、昔ながらのスタイルのおじさんだった。

 居間の蛍光灯に光る頭皮。濁った丸眼鏡。

「あら、ちょっといい所に。昔のあたし達が来てくれたのよ」

「え、誰このおじさん」

「いとこのジュン君? なわけないか」

「あなた。一番若いこの子、十五才の私がね、ヨーヘイ君に振られたんですってよ」

「何?」

 おじさんは目を見開いて、眼鏡を外して私へ顔を近付けてきた。そして五十五才の私が口にした「あなた」という言葉に、私達がザワザワし出す。

「あなた、ってもしかして」

「え、まさかハズバンド!?」

「何洒落てんのよ、夫って言いなさいよ」

「……ミヨちゃん」

「!」

 皺が刻まれた弛んだ皮膚が、ピクリと動く。その瞳の輝きを間近で見た私の頭に、とある直感がよぎった。

「ヨーヘイ君……」

「えっ!!」

「マジで!?」

「あら~、よく分かったわねぇ」

 年上の私達が驚きの声をあげる中、五十五才の私が朗らかに言った。話によると数年前に行われた同窓会で再会し、流れで付き合った後に結婚へと至ったそうだ。

「結婚指輪も貰ったんだけどね、指が太くなりすぎて入らなくなっちゃって。幸せ太りってやつかしら、オホホ」

「マジか……」

「ミヨちゃーん」

 部屋の外から、老人らしい嗄れた声が響く。五十五才の私は振り向きながら、ヨッコラセッセと立ち上がった。

「あら、ばあちゃんが呼んでるわ。ちょっとお暇するわね」

 部屋を出た五十五才の私の足音が、ドタドタと遠ざかっていく。後に残されたのは、四人の私達とおじさんになったヨーヘイ君、そしてこたつから姿を現したペロだ。

「ペロ! まあ……微妙にヨボヨボしちゃって」

 四十五才の私がペロの元へ駆け寄り、その体躯を擦る。妙なハイテンションで商品の説明をする男女の声が、空しく響き渡る居間。二十五才と三十五才の私は、気まずそうにヒソヒソと話していた。

「まさかのヨーヘイ君とはね……」

「タッ君はいずこへ……」

「あの、君達」

 微妙な雰囲気に包まれていた私達へ、ヨーヘイ君が声をかけた。ヨーヘイ君はしばらく逡巡していたが、やがてゆっくりと口を開いた。

「あの時は、本当にすまなかった」

『ワーオ! ジョニー見て! 床にぶちまけたフリカケが一粒残らず吸い込まれていくわ!』

『ナイスな吸引力だねヘンリー!』

 彼は多分、五股がバレて私へ別れを告げた時の事を言っているのだろう。やかましいテレビをオフにした私は、固唾を呑んでその言葉へ耳を傾けた。ヨーヘイ君はややうつむきがちに言った。

「許してくれないだろうと思うが、……それでも君と一緒に過ごせて、毎日がとても幸せだ。こんな幸せな日々、初めてなんだ」

「……」

「君達。僕と出会うその日まで、どうか身体に気を付けて、達者でいて下さい」

 その言葉を最後に、ヨーヘイ君は部屋を去った。私達はしばらく無言でいたが、やがて誰からともなくタイムマシンに乗ると、各々の時代へ帰っていった。

「じゃあね、十五才の私。元気出せよ」

「うん。二十五才の私も身体を大事にね。ブラック企業なんて止めちゃえ」

「アハハ」

 二十五才の私を元の時代へ送り届けた私は、やっと一人になった。元の時代への帰路をたどりながら、これまでに見聞きした様々な出来事を思い返す。

 タイムパラドックスを防ぐため、タイムマシンの電源をオフにした瞬間に、未来で見聞きした事を自動的に忘れるように設定してあるのだ。だから思い返せるのは、今だけなのである。

「結局はヨーヘイ君と結ばれるのか……」

 あれだけ最低さが露見した彼と結ばれるとは、何とも不思議な結末だった。そこに至るまでの人生を思い浮かべながら、私は何とも言えない気持ちに包まれた。

「ま、とりあえず無理にヨーヘイ君を忘れる事はしなくていいって事ね」

 そう考えると、随分気が楽になった。私は息を吐いて肩の力を抜くと、すっきりとした笑みを浮かべる。

「とにかく今やるべきは、汚部屋にならない為の努力だな」

 一人で苦笑いしながら私はタイムマシンを降り、その電源を切るのだった。

修正履歴

  • 内容に影響のない範囲で、一部表現の変更や追記をおこないました。(2018/09/27)

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何度か往復するタイムスリップではなく、自分を引き連れて歩くすごさに圧巻しました。
まず、思いつかないアイデアだと驚きながら楽しみました。

2

あふりかのそらさん
コメントありがとうございます!
楽しんでいただけて、書いてよかったなあと嬉しく思っております!

作者:カンリ

2018/10/1

3

面白いアイデアですね。
楽しく読ませていただきました。
スタッフK

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とじる

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とじる

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