0

Amber 完結

ポイント
64
オススメ度
17
感情ボタン
  • 2
  • 0
  • 0
  • 0
  • 0

合計:2

秋の夕暮れはいつも物憂げ。
そして僕の心は……。

1位の表紙

2位

すべてのコメントを非表示

 秋の終わりの夕暮れは、琥珀色の風が吹く。

 草花も空も同じ色に染めながら、無色の冬に誘うのだ。

 

 まるで琥珀のなかに閉じ込めてしまうように。

 ほら、あそこの木々も……。

 並木道を見下ろす公園で、僕はそんな風景を眺めていた。

 琥珀色の風に吹かれながら。

 思春期まっただなかの僕には悩みがたくさんある。

 誰もが経験したように、悩みは次々と湧き出てくる。

 ほら、こうやって目を閉じると……。

――勉強のこと

――人付き合いのこと

――恋愛のこと

――将来のこと

 いまの僕には何もかもが辛かった。

 

 悩んでも悩んでも、答えが出なくて辛かった。

 でも、誰にも弱音は吐けない。

 それを聞いてくれる人がいないから。

 辛い気持ちはどんどん蓄積されていく。

 寂しさも悲しみも、そして怒りも……すべて押し殺すしかなかった。

 そんな毎日が夏のころから続いている。

 気付けばこうやって風に吹かれることが、いちばんの安らぎになっていた。

 ため息をついてから目を開き、並木道に目を向けた。

 風に吹かれ、サァァァ……サァァァァ……と木が揺れている。

 そのたびに葉が落ち、風に乗ったり、地面に落ちていく。

 一枚、また一枚。

 ん……?

 どうしてあの木だけ、葉がほとんど落ちているんだろう?

 寒々しい枝で、何枚かの葉が落ちるまいと踏ん張っているようだ。

 もしかしたらあれは僕なのかもしれない。

 ほんとうは早く散りたいのに、勇気が出ずに飛び立てない。

 あの葉たちもきっとそうに違いない。

 さっさと散ってしまいたいのに……と思いながら。

 日が暮れ、辺りは闇に包まれる。

 今日も風は僕をどこにも連れて行ってくれなかった。

 琥珀色の風は、もう凪いだ。

 僕はどうすればいいんだろう?

 不安定な心だけが、固い化石になっていく。

 あの風に閉じ込められたまま。

 

  • 2拍手
  • 0笑い
  • 0
  • 0怖い
  • 0惚れた

1

思春期の葛藤ですね。美しい情景が浮かんできました。

さなお

2018/10/6

2

さなお様
コメントありがとうございます(*´∀`*)
秋の夕暮れも悩める思春期も…どちらも美しく儚いものですよね…。

作者:文月八千代

2018/10/6

コメントを書く

とじる

オススメポイント 17

つづけて SNS でシェアしてオススメシポイントをゲットしましょう。

とじる

このページの内容について報告する

送信中

送信しました

文字数の上限を超えています。