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この恋が思い出に変わるとききっとわたしは死ぬだろう 完結

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あたしにとっては全てだったけど、彼にとってはそうじゃなかったって、まあ、そういうことなんですけど。

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うお、久しぶり。・・・元気だったか?うん、俺も元気。何年ぶりだろ?6年?うわ、もうそんなに経ったんだ。ほんと久しぶり・・・大人っぽくなったんじゃない?背が伸びた?すげえ!奇跡じゃん。牛乳だな、きっと。あのころ毎日飲んでたもんな。最近仕事どう?へーそっか、頑張ってんだなあ・・・。俺?俺はまあ、相変わらずだよ。海外に行く仕事が増えたかな。だから英語の勉強とかまた始めたよ。スーツが似合うようになったって?まじ?嬉しいわ、それ。・・・元気そうで安心した、ん、じゃあな。・・・あのさ、俺、あのとき最後に言ったこと覚えてる?ん、お互い忘れて幸せになろうって言ったよな。ひどいことたくさん言ったから忘れたほうがいいと思ってたんだけどさ、俺、忘れてない。忘れてないけど、今ならいい思い出だって思える。楽しいこともたくさんあったからさ・・・変なこと言ってごめんな、じゃあな。

6年ぶりに街中で偶然すれ違った彼はそう言って颯爽と去って行った。

あの、お別れした日と同じように、一度も振り返らないで。

好きだったよ、って言われたときもう好きじゃないって言われているのと同じだと気付いて涙がでた。

お別れした日、彼はいつもみたいにあたしの頭を撫でようとして、触れる直前、ためらいがちにその手を下ろした。そんな仕草に、あたしは絶望的な気持ちになって「ああもうほんとにおしまいなんだ」とうつむいて流れる涙をぼたぼたと地面に落とした。泣き喚いても縋っても何してもダメだった。じゃあ、と彼が去っていく足音が聞こえて、その音が聞こえなくなるまであたしはその場を動けなかった。

6年、あっという間だったな。忘れたことなんてなかったと言ったら彼は引くだろう。数年、偶然を再会を夢みて、もう一度会ったとき、どれくらいまだ好きだと言うことを伝えようか夢想した。

そんなに俺のこと好きだったなんて!と感動してヨリを戻してくれないかなあなんて未練がましい夢物語を何度も考えた。馬鹿みたいだったな。彼の中ではとっくに綺麗な思い出だった。あたし、全部覚えてる。彼を好きな気持ちも、そのままだ。おしまいだってわかっていたのに好きなままだった。どうしたら好きじゃなくなるのか全然、わかんなかった。今だってわからない。

思い出になるときは、きっと死ぬときだね、呟いた声は聞こえないだろう。雑踏の中、あたしだけがまだ、動けない。

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  • 誤字、脱字の修正をおこないました。(2018/10/04)

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思い出に変えようと必死で相手の悪い部分を探すけど、どうしても優しかったあの時で頭がいっぱいになる。そんな、繊細な気持ちの苦悩がよく読み取れて良かったです。

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>あふりかのそら様
コメントありがとうございます。傷ついた恋心についてよく考えてみたので、じっくり読んでいただけてとても嬉しいです!

作者:キキ

2018/10/4

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”思い出に変われない”のはまだ、相手を想っているからですね。
未練残る恋をしたことがある人なら誰でも共感できそうな文章で、読みやすく、素敵でした。
(スタッフN)

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〉中嶋ユキノスタッフN様
コメントありがとうございます。
未練の話なのでできるだけさっぱり読めるようにしてみました。読んでいただけて嬉しいです!

作者:キキ

2018/10/11

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