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キャベツマン

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ハロウィーンの夜、ミネソタ州の田舎町で“湖畔の連続切り裂き魔”ブラッドリー・ウッドは警察の手によって銃殺される。だが、この事件は物語の序章に過ぎなかった……。

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目次

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主な登場人物

レイモンド………………物語の語り手

ジェニファー……………レイモンドの孫娘

リチャード………………ミネソタ州セント・ルイスパーク警察署の警察官

スティーヴ………………リチャードの息子

オースティン……………ミネソタ州セント・ルイスパーク警察署の警察署長

マイケル…………………ハロウィーンでジェイソンの仮装をした少年

ダニエル…………………フレディの仮装をした少年

メーガン…………………チャッキーの仮装をした少女

サラ………………………レクター博士の仮装をした少女

ブラッドリー・ウッド…ミネソタ州湖畔の連続切り裂き魔

キャベツマン……………???

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プロローグ

 雷鳴がとどろく夜だった。

 雷がまたたき、ひらめく。

 いま、ひとりの老人が孫娘を寝かしつけようとベットの側でゆっくりと腰をおろした。

「レイおじいちゃん、お話しして」

「もうお休みジェン、明日は楽しいハロウィーンの日だよ」

「いやだ! お話しして、お話しして!」

「わかった、わかった。そうせかしなさんな」レイモンドはジェニファーの頭をそっとなでた。「楽しい話かい? それとも怖いお話かな?」

「楽しくて怖い話をしてちょーだい」

「じゃ、話そうか」

「うん」ジェニファーの瞳がキラキラかがやいた。

「むかし、むかし、あるところに一人の男がいた」レイモンドはわざとハリウッド映画紹介よろしく低い声でドスをきかせた。「彼の名はブラッドリー・ウッド。ミネソタ州湖畔の連続切り裂き魔――通称キャベツマン」

「キャベツマン?」

「そう、キャベツマン。“キャベツの中から あおむしでたよ  ニョキニョキ”と歌うだろう」

「あははは」 

「キャベツマンは、ほんとうにいたんじゃよ……」とつぜんレイは真顔になったまま俯いた。

「ジェンは、朝目覚めたらなにをする? まずは寝ぼけまなこのままトイレに行ってジャーっとおしっこして、顔を洗って、歯をゴシゴシ磨き――」

「あははは」

「パジャマからお洋服に着替えたあと、家族におはようのあいさつして、食事をしながら一日が始まるだろう?」

「うん」

「キャベツマンは、目覚めたらすぐ誰かを殺すんだ。彼は人間を殺すことしか考えない。調理用のナイフで腹をぶっすり刺し、頭をちょんぎって胴体から切りはなし、両腕と両脚もバラバラに切断したあと、情け容赦なくからだじゅうをなますのように細かく切り刻む――まるで野菜サラダをつくる料理人のように――」

「おじいちゃん、もうやめて……」

「わははは」レイモンドはしゃがれた声でげらげら笑った。「おまえさんが話をせがんだんじゃよ」

「そ、そうだけど……」いまにも泣きだしそうな顔でジェニファーは訊いた。

「……なぜ殺すの?」

「ママとパパにこっぴどく虐められたのか……自分より弱いものを叩き潰したり、刺したり、血の色を見るのが好きだったのか……よくわからんね。ただ彼はたった一度だけ警察に捕まった。そのとき町の人々はほっと胸をなでおろした。だが平和な日々は長くは続かなかった。なんと彼は牢獄のなかでテレポーテーションの能力に目覚めてしまった」

「テレポーテーション?」

「いわば彼自身が望んだ場所を呪文をとなえて念じれば、全世界あるいは全宇宙、どこの場所にでもあっという間に瞬間移動ができたという――わかっているのは神出鬼没だってことさ。キャベツマンは、じつにずる賢い。彼は、町から町へ土地の人間に紛れ込み、のどかな田舎町を彷徨いつづけるのを好んだ――町にはおまえさんのようなかわいい女の子がわんさかおるし」

「でも、おじいいちゃん……これはおとぎ話でしょう?」

「おとぎ話なんかじゃない――もともと人間だった切り裂き魔ブラッドリー・ウッドが、なぜ史上最凶の殺人鬼キャベツマンになったのか――彼はハロウィーンの夜、失敗をしでかした。追っていた警察が彼の隠れ家を突き止め逮捕は時間の問題、死刑判決がくだされるだろう。凄まじい銃撃戦となった――結局、彼は警察の手によって射殺された」

「彼は死んじゃったんでしょう?」

「確かに彼は死んだが、キャベツマンになってこの世に生まれ変わった。ここ数十年の間に数え切れないほどの人間を殺し、人々は青ざめた顔で震えあがったもんだよ。このお話は真夜中がもっともふさわしい。だが面白いのはこれからだよ――おまえさんは眠れるかい?」

 レイモンドは咳払いをした。「――続きが知りたいかね?」 

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  • 誤字、脱字の修正をおこないました。(2018/10/05)

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「奴は湖畔の連続切り裂き魔だ!」リチャードは叫んだ。「ぜったい逃がさんぞ!」

 深夜零時、ミネソタ州の田んぼのあぜ道を一人の警察官が拳銃で撃たれた犯人の後を全力疾走で追いかける。

 雷鳴がとどろく。

 雷がまたたく、ひらめく。

 とつぜん大雨が降りはじめた。

 土砂降りの大雨。

 警察官と犯人の足元が泥にぬかるむ。

 天空の女神と悪魔が勢いよくシャワーを浴びているほど……

 ちくしょう、腹を撃たれちまった!

 ブラッドリーは血まみれの腹をおさえながら悔やんだ。

 あんときハロウィーンのガキどもに飴玉をくれてやったのが間違いだった。

 くそったれが!

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 ここはアメリカ合衆国中西部に位置する五大湖メガロポリス――ミネソタ州。

 今宵は十月三十一日。

 現在の時刻は午後八時をまわっていた。

 いま、四人の子供たちがアパートのドアをけたたましくノックした。

 ちっ、うるせえな!

 ブラッドリーはベットで眠っていた。

 彼はひどい二日酔いだった。

 立て続けにノックの音がひびく。

 子供たちがギャアギャアとはしゃぐ笑い声。

 頭がガンガンと割れそうだった。

「うるせえなこの野郎……ほわあああぁぁぁ!」彼は観念した気持ちでベットから起きあがり、大きなあくびをすると、ボサボサの長髪とちぢれた陰毛をボリボリと手でかきながら寝ぼけまなこのまま玄関のドアを開けた。「だれだ!」

「ハッピーハロウィーン!」子供たちはにっこり笑った。

 そこに立っていたのは――ジェイソンの仮装をした男の子、フレディの仮装をした男の子、チャッキーの仮装をした女の子、レクター博士の仮装をした女の子だった。

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「とっとと消え失せろぉ!」

 いつも彼なら大声で怒鳴って子供たちを追い返したに違いない。

 ハロウィーンといえば、子供たちは定番化されたといって過言ではない、カボチャのお化け、ミイラ男、ガイコツ男、魔女などに扮する。だが、大方の予想に反した子供たちの仮装に彼の胸はきゅんと締めつけられた――常日頃、彼が崇拝する殺人鬼たちが、わざわざ自分の家を訪ねてくれたという気持ちになった。

 なかなかかわいいじゃねえか!

 こいつは泣けるほど感動的だぜ!

 この歳になると涙腺がゆるんで仕方ねえや!

 ブラッドリーはにっこり微笑みながらいった。「ハッピーハロウィーン」

 

 子供たちもにっこり微笑んだ。

「ちょっと待っていろよ!」ブラッドリーはどぎまぎしながら踵を返し部屋の奥にある冷蔵庫へと向かった。「いまお菓子をやるからな」 

「おっと、やべえ!」彼は子供たちに見られないようにして、指と指の間にごっそりとまとわりついた陰毛にふっと息を吹きかけ、さりげなくパンパンと手をはじいた。

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  • 誤字、脱字の修正をおこないました。(2018/10/06)

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