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あふりかのそらのヒミツ 完結

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合計:17

192作品目記念作品になります。

1位の表紙

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ウチは、アフリカの空を見上げながら、

いつも、一人で、書いてる。

一人で、書いてる。

一人で書き続けている。

それには、深いヒミツがあるのだ。

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この物語は、実話である。

「あふりかのそら」

192作品目となるこの作品を親愛なる父シンゴ

に、捧げたいと思う。

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とてつもなく暑く、喉が乾く。

日本ならスポーツ飲料があるがそれはここにはない。

日本ならカップラーメンがあるがそれはここにはない。

バッテリーを消耗するのはやばい。

クーラーなんてあるわけない。

シンゴの全方向にアッツアッツの砂の山がただ永遠に続くのだ。

砂の山でも普通の大きさじゃないよ、10メートルクラスが次々現れ、怯える自分と、諦めようとする自分と真正面から向かい合って殴りあっている。

ともかく、念ずることは止まるな止まるな頼むから、もってくれ。

会社が用意した特別仕様のトラックの時速は220キロ、緩めることはできない。

緩めれば、二度と動けなくなるかもしれないし、砂漠を渡り切ることができなくなる。

頼むから、止まるな止まるな。

前輪と降臨にアッツアッツの砂が巻きつき夏のマフラーのようになっている。

そしてまた、極度の段差がエンジンルームへ砂を思いっきり引き寄せる。 

仲間と走っているならいいがそれもない。

自分ただ一人。

今なら、何かあれば無線やGPSで救助が すぐ来るだろう。

だが、ここにはない。

不安と焦りからますます汗ばみ、水分が体から抜き出されて行く。 

用意してきた飲み水も残りわずかしかないのだ。

シンゴは、何をしているかって?

彼は、自分の会社に胸を張って言った!

『僕なら、出来ます。やらしてください、アフリカ大陸横断を!』

というこの言葉の証明のためゴールのエジプト目指して、砂漠を走り続けている。

実家で聞いた大好きな蝉の鳴き声はもう聞こえない。

聞こえてくるのは、無理したエンジン音と自分の心臓の鼓動だけ 。

シンゴはある大手運送会社に勤め、手の器用さと持ち前の勇気を特にかわれた。

高校時代に親父の大事なバイクをバラバラに分解してしまい。怒鳴られた!

というエピソードは親戚が集まると必ずネタになった話題。

ところが、次の日ものの見事に綺麗に組み立てたという。

それから、整備資格は次々取り爆弾技師まで持ってる変わり者なわけだ。

そんなことから、

会社の一大広告企画である

『アフリカ大陸横断』

にチャレンジしたわけ。

シンゴとは、? 

誰って?

そう、あふりかのそらの実のお父さんなの。 

小さい頃、その時の思い出が詰まった埃だらけの宝箱をいつも出してきて写真や車の部品を見せてもらった。

っていうより、この話になると元気一杯にウチに話しかけていたのを思い出す。

だから、小さかったウチも真剣に頷きながら話を聞いた。

その影響からか、サハラ砂漠やアフリカが好きになった。

珍しい切手もたくさんもらった。

お父さんは、

「こんな切手滅多に無いだろう」

って、訪れた国の人たちと一緒に写る写真が貼り付けてあったアルバムを持ってきて、そこに挟み込んであった、三角や楕円形などの切手をもらったのだ。

その中に、あふりかのそらが綺麗に描かれた切手が一枚あった。

止まるな進め!

気持ちを込めれば込めるほどエンジンの調子が悪くなりだしたしだいだ。

『どうか、頼むからもってくれ。』

しかし、とうとう 、オーバーヒートを起こし砂漠のど真ん中で一番恐れていたことが起こってしまったのだ。

シンゴは頑丈なゴーグルをかけ、直射日光を避けるために布で覆い、車から降りる。

それでも 口の中は、砂だらけ。

あっつい、あっつい、ボンネットを開けると、

大きなエンジンが真っ黒の煙を吹き出している。

大切な残りの飲み水をエンジンにかけ、部品をできるだけダメージがない程度にバラし、砂を払って行く。

『カカレ、かかれ、頼むから!』

ごごごおおおーーーー

エンジンは見事にかかり、予定時刻よりもかなりな遅れで彼はゴールにたどり着いた。 

新聞には少し紹介されただけであったが、

会社の人たちは家族を集めてくれていて、駅には人だかりができていた。

シンゴは、このことがきっかけになり、日本に帰ってから運送会社を自分で立ち上げることとなるのだ。

シンゴの人生の中で、この時が最高の頂点であるに違いない。

人から得るものも、自分の自信も勇気も満ち溢れていたのだ。

姿は 身長は高く、今時の いけめんスタイル。

科学者もしくはスパイのような黒淵メガネをはめ。

ピリッとしまった顔つき。

ダークスーツにポッケから黄色いハンカチを出し。

ネクタイもカラフルで斬新なセンスの持ち主だった。

白いハット帽を斜めにかぶり、黒髪が異常に多くかっこ良く決まっていた。

見ただけで清楚感を誰もが感じ取り、これまでのシンゴの勇気ある行動に感動し尊敬していた。

しかも会社運営を綿密に計画しトラックも数台構える会社を作った。

人が大好きなシンゴは、従業員一人、一人を大事に育てていた。

その時に、事務員として働いていたのがハレヨだった。

なぜ、ウチが生まれたのか?

は、ふたりのプライバシーに触れることになるので、ここまでにさせていただきますが。。。。

この後、運送ビジネスが不況になり、ハレヨは、ウチを連れて実家へ帰ることになるのだ。

今後、ハレヨはお父さんに連絡をすることは一切なく、

女一人で、ウチを育ててくれたのだ。

この、ハレヨの決意は硬く。

曲がらなかった。

シンゴがハレヨに恋をした理由はここにあるのかもしれない。

さて、シンゴはこの後 他の女性と結婚し男の子ができた。

倒産しかけた会社を立て直しながら生活して行くスタイルに変化して行くのだ。

ウチと義理の弟は仲が良く、昔お父さんからもらった切手は全部取られてしまった。

ってか、あげたんだけどね。

なぜか、今度はウチが、聞いた話をお父さんの宝箱を開けて一生懸命に伝えていたのだ。

この頃から、人に伝えることが好きになったのかもしれない。

会社もコンパクトに縮小し、任せることのできる人が現れた頃、

やっと一休みできるはずなのに、

お父さんは、末期のガンに犯されてしまった。

末期ガンと診断されたお父さんは、今までの人生がまったく違う方に向かったことをいち早く理解した。

こんな時でも前向きなところが「変わり者」である証拠なのだと思う。

いくら、末期ガンでも諦めるのはまだ早い!

今の日本の先端医療技術に頼る他ない!

ここで、シンゴのチャレンジがスタートしたのだ。

3日から4日おきに入院をし、抗がん剤の治療を受ける。

しかし、これがとんでもなく大変な、辛い思いをするのだ。

抗がん剤の治療を進めて行くと、髪の毛が抜けたり、吐き気がものすごく襲ったり、手や足の爪が剥がれるなどの現象が起こる。

しかし、お父さんは、これに耐え、再検査に臨む。

あの、アフリカの時のように。

でも、残念ながら結果はいいものではなかったのだ。

再検査の結果を聞きに病院を訪れると、今度は大腸に転移しているという。

そこで、腸の手術をすることになり、今回の手術で肛門が人工肛門になってしまうとのこと。

普通ならここでくじけてしまうのだが、会社を立ち上げるまでの大変さから見れば「チャレンジを諦めてはいけない!」と、手術を受けるお父さんシンゴ。

外は、桜が満開になり、花見のシーズン。

お父さんは、桜を見て命の儚さを感じ取っていた。

今、まさに自分と向き合っている。

弱い自分と真正面から向き合い、毎日自分に気合を入れる。

砂漠の真ん中で、車が故障し自分と殴り合ったあの時と同じ状態であったのだ。

そんな時、ウチあてにお父さんから手紙が届いていた。

中には、フラフラのミミズのような文字で。

最初に大きな文字で

『頑張れ』と、

次の紙に、

『私は、決着をつけたい相手がいる、この戦いに勝たねばならない。』

次の紙に

『その相手は、自分だ』

『俺は今、自分との戦い中だ!』

これで終わっていた。

その手紙の切手がアフリカの空が描かれたあの時の一枚の切手だった。

手術の日がやってきて、その10時間後には病室に寝ていた。

ここまでの、治療をうけたにもかかわらず、楽にはならなかった。

また、抗がん剤の辛い治療が始まり、さらにリンパに転移してしまっていたのだ。

その後、お父さんは、一人再生病院の『ホスピス』に入ることになる。

ホスピスとは、主に末期癌(がん・ガン)患者に対して緩和治療や終末期医療(ターミナルケア)を行う施設のこと。

自らの意思と選択にもとづいて最後の時までを少しでも快適に生き、その結果として、安らかな尊厳に満ちた死を迎えたいと、自ら望む末期のがん患者さんをサポートするのがホスピス。

だから、患者さんには、抗がん剤などの強い治療は行わず、「痛みのコントール」と、精神的・社会的な援助を行いながら、死が訪れるまで、生きていることに意味を見出せるケアが施されるところ。

ここで お父さんは、自分と徹底的に向き合うことになり、

『自分 VS 自分』

自分との戦いに決着をつける時がついに来たのだ。

自分との戦い戦い 

『自分VS自分』

シンゴはほぼ寝たきりで、床ずれが現れる。

そこからばい菌が入るかもしれない、という、要注意の病状となった。

それから一ヶ月が立ち、その間も何度か菌に犯され危なかった。

しかし、耐えに耐えたに耐えた、お父さん。

ついに、心臓がかなり弱り家族のものが全て呼び出さた。

時計が深夜の0時を指す五分前に、静かに息を引き取ったのだ。

自分との戦いを完了したお父さんは、立派で、素晴らしかった。

抜け殻に、まったく一つの筋肉も残っていなかった。

それはまるで、蝉の抜け殻のようで、死んだ人のようには思えなかった。

最後まで、戦い抜いたのだろう。

あの時の、

あの一生懸命にウチに話していた、

あふりかのそらを見ていたのだと思う。

だから、モノガタリーでのペンネームは、「あふりかのそら」

蝉の抜け殻から抜け出したお父さん。

そのシンゴは、

ウチの心に

お父さんシンゴは、

今も生きている。

いるのだ。

To 芸術の秋子 あふりかのそら

ー完ー

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4

舞殿王子さまへ
ありがとうございます😊
運送屋繋がりで、これからもよろしくおねがいしまーす!
コメントとっても嬉しかったです。
ありがとうございますm(_ _)m

作者:あふりかのそら

2018/11/3

5

なぜ あふりかのそら なのだろうと思っていました。

その名にこんなヒミツが、想いが、隠されていたとは思いませんでした。

「あふりかのそら」 
いいペンネームですね。

青楊

2018/11/4

6

青揚様へ
コメントありがとうございます😊
褒めていただきありがとうございまーす!

作者:あふりかのそら

2018/11/4

7

泣きました……。
そうだったのですね。
あふりかのそらさんの、お名前、実はずっと気になってました。
たくさんの想いが込められていたのだなあ……と、じーんとしつつ、読ませていただきました。

りんこ

2018/11/6

8

りんこ様へ
いつもコメントいただきありがとうございます😊
そして、ペンネームの由来で涙を流していただき、ウチも感激の涙を流しております。
本当に、ありがとうございまーす( T_T)\(^-^ )

作者:あふりかのそら

2018/11/6

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とじる

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