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その戦いは血で血を洗うほど凄惨なものだという 完結

本当のじじ抜き

更新:2018/11/8

しんじ

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 トランプのゲームにババ抜きというものがある。ジョーカーを一枚抜くことで、二枚セットであるはずのカードからジョーカーだけがひとりぼっちとなる。それを最後まで持っていたものが負けというゲームだ。

 加えてジジ抜きというゲームもある。こちらは抜くカードをランダムにすることで、そもそもどのカードがひとりぼっちになったかわからない状態で最後に一枚持っていたものが負けというゲームである。

 ババ抜きのルールに一工夫入れたものがジジ抜きというわけだ。

 だが、うちの家族がトランプをする時にはさらにもう一工夫入れる。

 祖父、母、父、姉、僕の五人でやるわけなのだが、祖父はもういい歳なので審判役を務める。そして祖父は唯一、抜いたカードが何か確認する。

 僕たちはそのまま通常通りジジ抜きをする。ババ抜きもジジ抜きも、最後まで手札がある者が負けという敗北する条件があるのみで勝利条件は存在しない。しかしうちのジジ抜きは違う。

 どのカードがひとりぼっちなのか予想し、わかり次第祖父にそっと耳打ちするのだ。ただしチャンスは一回のみ。もし当たればその時点で勝利となる。

 一位で勝ち抜けた者には祖父から一万円が贈与される。二位には五千円、三位には千円、ドベには五円。

 無論、家族といえど容赦がなくなる。金が絡むと人は変わるのだ。金より家族は大事だが、時に金は家族を凌駕すると僕はこのゲームで身をもって知った。

 毎年お正月になると開催される我が家の恒例行事、それがこの“本当のジジ抜き”なのである。

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