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【R15】 15歳未満の方は移動してください。この作品には <残酷描写> が含まれています。

次は貴方の苗字が活躍するかも? 完結

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[毎日投稿]本編完結! 日本の約1582万人の苗字が活躍! 推定読了時間:2時間28分

謎の武装集団に包囲された聖名高校の2年生達。彼らは突然の危機に翻弄され続ける。
しかし、彼らには他人にはない力(イニシャルスキル)がある。
果たしてこの状況を解決できるのか? 敵の目的は?
各々の思惑と自らの能力で切り開く学園ストーリー

感情ボタンや感想等、反応を頂けると嬉しいですm(__)m

苗字を馬鹿にされたと思う方……どの苗字も素晴らしいものであり、私は決して馬鹿にしておりません。強いて言うならばこのお題が悪いと思います。
登場する偉人の末裔の方々……この物語はフィクションです。

1位の表紙

2位

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第1話

「これより、学年集会を始める! ここに集まった皆は分かっていると思うが、我々は今危機的状況に陥っている。正確には、我が校は現在所属不明の武装集団に囲まれている。人数は不明。目的もまだ分かっていない。こんな状況を解決するには皆の協力が必要だ。力を合わせよう!」

誰もが不安になっており、沈んだ空気の漂う中。

生徒会長の藤原が力強く語り掛ける。

「そんなこと言ってもよぅ」

「交渉に出た先生たちも戻ってこないし、もしかしたら殺されたんじゃ」

「いやよ、私まだ死にたくない! 結婚して幸せな生活を送る夢が」

「なぁ、こんな時まで生徒会長がリーダーってのはどうなのよ? 平和な時に選んだ奴がこんな命の掛かった大事な時までトップを張るってのは危ないんじゃねぇの?」

「そう言われるとそうかも」

「確かに、もっとこういう状況に慣れた人とかいないの?」

「おい、誰の賛成を得てリーダーやってるんだよ!」

「そうだそうだ!」

集会が始まって早々問題が生じた。

生徒会長の言葉に勇気づけられた生徒も多い中、自分よりも会議の中心に立っている存在が目障りに思う生徒もいた。

そんな生徒の中でも最初に発言した彼は、自分の思惑通りに事が運んだことに内心笑みを浮かべた。

それに対して、生徒会長は今はそんな時ではないと苦虫を噛み潰したような表情だ。

「ねぇ、何が起こってるんだろう?」

「分からない。さっきの人、確か荒木君だっけ? こんな時まで大人しくしてくれないなんて迷惑ね」

「それにしても、周りの人たちまでどうしちゃったんだろう?」

「そういえば、いつも教室の隅で黙っている人があんなに叫ぶなんておかしいかも」

その謎は彼の特殊能力にあった。

“イニシャルスキル”

そう呼ばれる能力がごく一部の人間たちに知られている。

苗字に合った能力がその人物の気質とマッチし、幾多の条件を経て初めて得られる。

その能力を自覚しているものもいれば、自覚していないものもいる。

最初の発言者の彼は前者である。

イニシャルスキル発動! 『デヴァステート』

木を荒らすと書いて『荒木』。「新しく開いた土地」の意味を持つその苗字は、やはり開拓者としての気質をはらんでいた。誰よりも先に立とうとする性質は人を引っ張っていくことに繋がる。

そんな荒木はいつしか特殊能力として、自分がトップに立つための扇動する能力を得た。

そして、その能力によって同じく開拓の由来を持つ『新田』も触発されたのだった。

扇動された生徒たちは溜まり始めたストレスを発散するかのようにヤジを飛ばす。

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いろいろ広がっていきそうで面白そうです!

umi

2017/11/24

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とじる

第2話

そんな騒然とし始めた体育館に再び生徒会長の声が響く。

「静粛に!!!」

重く、しかし全体に一瞬で浸透するその言葉に全員が静まり返る。

「皆、今はそんなことを言っている場合ではない。私が司会を務めるのが嫌だというならすぐに変わろう。しかし、私よりも迅速に結果を出せる人物でないと任せることはできない。少なくとも私は、ここにいる全員の命を預かるくらいの気概を持って立っている。覚悟が半端なものに譲るつもりはない」

生徒会長の言葉を聞いた生徒たちは、誰が指揮を執るのが正しい選択か否が応でも分かった。

荒木でさえも生徒会長の藤原がリーダーであることに納得してしまったくらいだ。

一方、藤原は自分の能力がしっかり働いたことに安堵した。

イニシャルスキル発動! 『アップストリーム』

『藤原』それは全ての『藤』が付く者たちの大元。かつての権勢を誇った一族が様々な人生を辿り別れた。そんな彼らが一つに繋がる原点。いざという時には全ての本家として旗印になる。

そんな藤原はいつしか特殊能力として、危機的状況には『藤』を統べ、総力を結集する能力を得た。

それはすなわち、日本に多数存在する人間を統率する力に他ならない。

まだまだ未熟な学生である彼でも、一学年を統率するくらいは可能だった。

「さて、異論もないようなので話を進めさせてもらう。我々は現在武装集団に囲まれている。それに対して、こちらは武器も戦闘力を持つ人間も存在しない。奴らは我々に抵抗することなく敷地内から出てくるように勧告した。その後の目的は不明。圧倒的に不利な状況であることを念頭に置いてほしい」

「実は武術の達人がいるとかないかな? ほら、古武術で最強とか」

「そんな漫画みたいなことあるわけないでしょ」

「そんな話をしている場合じゃないわ。もっと真剣に考えてよ」

「そういうお前は何か案があるのか?」

「う……すぐには思いつかないけど………」

そこかしこで様々な意見が交わされるが、建設的な意見は少ない。

それも仕方がないだろう。

日本の高校生が戦時下のような状況判断ができる方がおかしい。

彼らはまだ社会人にすらなっていないのだから。

「まだ話は終わっていない。僕たちは選択しなければならない。彼らの指示に従うか、徹底的に反抗して助けがくるのを待つか」

「そんなの抵抗するに決まってるだろ。出ていったら殺されるに決まってる!」

「でも、出ていかなかったら体育館ごと爆破されるなんてことも……」

「奴らの指示に従ったとして、命の保証があるのか?」

「ここに金持ちの子供がいるとか。それで身代金を用意させるための人質?」

「そんな奴いるとか聞いてないぞ」

くっ、と自分の力不足に歯がみする生徒会長。

イニシャルスキルの効果は永続ではない。

自分勝手な会話が増え、全体の会議と言うよりもただの雑談と化していた。

こんな状況ではいつまで経っても方針が決められないだろう。

誰か、有能な人物はいないのか?

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とじる

「まず、それぞれのメリットとデメリットをまとめませんか?」

そう言って体育館倉庫から出てきたのは田中だった。

彼はホワイトボードをガラガラと押しながら前に出て来る。

そんな彼の前には道が開き、視線が集まる。

「どちらを選ぼうにも、知識や判断基準の共有こそが大事だと思うのですが。生徒会長、いかがでしょうか?」

「あぁ、良い意見だ。すぐさま実行しよう」

ここに来て心強い味方ができたことに生徒会長は希望を見出した。

これからの話し合いは、本当の意味での会議となるだろう。

イニシャルスキル発動! 『フェアティリティー』

田んぼという豊穣の大地で恵みを得てきた『田中』の先祖たち。彼らの努力は今なお受け継がれており、様々な豊穣を授かった。それは会議の場でも発揮される。

そんな田中はいつしか特殊能力として、実りある時間にするための有効なアイデアを出す能力を得た。

人々の前に立った田中は早速ホワイトボードに書き始める。

そこに書かれたのは「恭順」と「反逆」。

そして、それぞれのメリットとデメリットに分かれている。

「僕が思うに、恭順のメリットは全員が生き延びられる可能性がある点ですね」

そう言ってメリットの欄に「全員生存」と簡潔に書いた。

続けて欲しいという生徒会長の言葉に頷きをもって返す田中。

「もしも、彼らが痺れを切らして体育館に無差別攻撃を仕掛けてきたら死人は免れないでしょう。全員で大人しく出ていって、指示に従う様子を見せれば無用な殺しはしない可能性が高い」

どこか淡々とした口調に現実感が出たのか、一部の生徒の顔から血の気が引いた。

女生徒が膝から崩れ落ちる様子も見られる。

死。

それが訪れるのは自分かもしれなければ、隣にいる親友かもしれない。

沈んだ空気が再び流れる中、田中はさらに追撃する。

「とはいえ目的は不明ですので、必要な人数よりも多いからと殺される可能性もあるわけですが」

キュッキュッとマーカーの走る音が聞こえれば、恭順のデメリットの欄に「数減らし」とまるで家畜に対するような4文字が並ぶ。

田中の狙い通り、全員の表情には真剣味が増した。

「こんな感じで、誰でもどんなことでも、考えられる限りの意見を出してください。僕が書記を務めましょう。生徒会長、今まで通り司会をお願いしますね」

「ありがとう、田中君」

藤原と田中は互いに使命感を帯びた表情をして頷き合うと、バトンを渡された藤原が意見のある者に手を挙げさせて指名していく。

生徒会長に選ばれた日から、一学年の同級生くらいは全員覚えている。

現実的な意見から突拍子のないものまで、様々な意見が出て来る。

「一見ありえなさそうな意見も、今この状況においては一考の余地がある」

文字で埋まりそうなホワイトボードを眺めながら、生徒たちはこの先の選択の時に備える。

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  • 誤字、脱字の修正をおこないました。(2018/01/22)

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とじる

「さて、意見は出尽くしたようだね」

手の挙がる者が居なくなった体育館には、その日何度目かの静寂が支配する。

誰かもっと決め手となるような予想やアイデアはないのかと周りを見渡す者やこれ以上ないと目線を下げる者。

40人6クラス、計240人もいると様々な態度が見られた。

「加藤君、他にも何かないかな?」

生徒会長の藤原が注目したのは、何か言いたげなように見えた少年、加藤だった。

誰もが藤原から目をそらす中、彼だけは目線が何度か合うのだ。

「え、手を挙げてないんだけど………」

「何か、いいアイデアを持ってそうだったから」

おどおどした様子から、彼は積極的な性格ではないらしい。

しかし、藤原はどこか確信があった。

こういう人は時として有益なアイデアを持っているものである。

イニシャルスキル発動! 『アッド』

『加藤』。割合の多い『藤』のつく苗字の中で『加える』と言う文字が合わさった苗字。足りないよりは余る。少ないよりは多い。彼は大家族の中で争奪戦を繰り広げた結果そんな思考を持った。手持ちだけで安心せず、常に増やすことを考える。

そんな加藤はいつしか特殊能力として、どんなものでもあと1つ追加する能力を得た。

彼はこの能力に自覚はない。

勿論、無から有を生み出すわけでもない。

既にある物に1つ加えるだけなのだから。

その点では、アイデアを追加するというのはほぼノーコストと言っても過言ではない。

特に他の人達のアイデアを基に出来る今ならば。

「あ、えっと、じゃあ………もしかしたら、先生たちが人質になってるかもだから、立て籠るなら見捨てるのかどうするかも決めないといけないんじゃ?」

ともすれば独り言ともとれる彼の意見は、まだ検討されていなかった。

彼の声が聞こえなかった周りの人達も、その内容が伝わると動揺を隠せない。

自分達の決定や行動が他人の命まで左右するとは。

「そうですね、反逆のデメリットに加えないといけませんね」

そう言って田中がホワイトボードに書き加える。

「さて、ここらで次の段階に進もうか」

約240人に再び緊張が走る。

遂にこの時が来た。

生徒会長がこの次に言うであろう言葉を誰もが予想できている。

「皆のおかげで様々な可能性を考えることができた。中には自分では全く思いつかなかったものも多いだろう。それらを良く比較したうえで決めて欲しい。とはいえ、どちらにせよこれ以上時間がをかけるのは愚策だ。早急に決めたい。“恭順”か“反逆”か」

選んでくれ―――そう言った生徒会長の顔は誰よりも険しかった。

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  • 誤字、脱字の修正をおこないました。(2018/01/22)

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産まれ持った苗字にスキルがあるという設定面白いです。その苗字の家に産まれたことは必然で個性を置き換えると苗字や名前になにか引っ張られ開花する能力はあるのかもしれないと思わせてもらいました。

sacman

2017/11/27

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とじる

そこに軽い口調で聞いてきたのは、最後の意見を書き終えた田中だった。

「水を差すようで悪いけど、どうやって決めるつもりですか?」

「今ここにあるのはそれぞれのメリットとデメリット。起こりうる可能性の箇条書きだけだ。本当はここから話し合いをして納得のいく選択をしたいが、そうも言っていられない。他の選択方法を決めるために時間を使うのも本末転倒だろう。だから、私から提案させてもらいたい」

理路整然と話す彼が提案したのは「多数決」

現状をよく理解している生徒たちはそれに対して異論はでなかった。

最も無難な選択であるのは間違いない。

「それでは、“恭順”が良いと考える者は東に。“反逆”が良いと考える者は西に集まって欲しい。さっきの意見を参考に、覚悟を持って決めてくれ」

そうは言っても、集団の中で最初に動き始めるのは勇気がいる。

ましてやこんな大切な選択を数秒で決められるはずがない。

誰もが周りの様子を窺っていると、颯爽と動き出した者がいた。

「俺は無駄に抵抗して死にたくねぇ。戦いに武器を持ち出されたらお終いだ」

そう言って東側に歩きだしたのは荒木だった。

イニシャルスキルが発現するだけあって、誰も知らない地を開拓する気概は人一倍だ。

荒木が動いたことにより、様子見をしていた他の生徒たちも動きだす。

「やはり、こうなったか」

「まぁ、人生の選択肢なんて高校三年生になっての大学選びが初めてだったりするし、こんなものですよ」

動き出した生徒が多い中、約半数はそれでも決めかねていた。

自分の踏み出す一歩がまさしく命運を決めるのだから、大学選びの比ではない。

しかし、そんなことをしている間に強行突入されでもしたら今までの会議も無駄になる。

どうやって心を決めさせるかと悩んでいると、今までどこにいたのか、藤原に次ぐ重要人物がようやく声を上げた。

「私は無抵抗に奴らの前に出るのは危険だと判断したわ」

大して声が大きいわけでもないのに、スッと通り抜けるように聞こえたのは反逆を選んだ一人の女子。

その落ち着いた佇まいは年齢よりも遥かに大人びて見えた。

そんな彼女は現生徒会の副会長『皇(すめらぎ)』である。

「あ、あの皇さんが徹底抗戦選ぶなんて」

「俺、あっちにするわ」

「私も無抵抗に出るなんて危ない気がしてきた」

「何もしないで後悔するよりもやって後悔って言うもんな」

あれよあれよという間に悩んでいた生徒はどんどん反逆派に流れていき、恭順派からも数名の移動が起こった。

イニシャルスキル発動! 『ワードフロム・ザ・トップ』

『皇』なんだかその漢字やその響きだけで尊いような気がしてしまう。先祖に高貴な方がいたのかなと誰もが思う苗字。

そんな皇はいつしか特殊能力として、組織内最高の発言力(カリスマ)を持つ能力を得た。

彼女のイニシャルスキルが発動する前は恭順派が優勢であったが、正しく鶴の一声で命運を左右する選択は決まった。

「皇、今までどこにいたんだ? ざっと見渡したが見つからなかったぞ」

「ちょっと、先生達の交渉がどうなるのか気になって。さっき戻って来たの」

「見てきたのか? そんなことをして、危ないじゃないか」

「大丈夫、校舎の窓からこっそり覗いてただけだから。それよりも、結果が気になるんじゃない?」

「うっ……聞かせてくれ」

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  • 誤字、脱字の修正をおこないました。(2018/01/22)

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めちゃくちゃ強そうな苗字出てきましたね…笑

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皆さんの感想や感情ボタン、お気に入りにやる気がでます。ありがとうございます。
是非連載の最後まで読んで、改めてどの苗字が強そうか聞かせてくださいな(*´ω`*)
ここまでで日本の約256万人の苗字が活躍しております(ネット調べ)

作者:爪隠し

2017/11/29

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とじる

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