君の大好きな服に身を包み君の大好きな花を選んだ。運転席に乗り込み、隣に目をやって出発する。【今日は最近皆様もよく耳にするこの曲です!】流行りの曲が流れ始めたが、すぐにラジオを切った。あの日から【音楽】を聴かなくなった。正確には有名なバンドの彼らの名前を聴かないようそうしていたのかもしれない。そんなことを考えていると、懐かしい歌声と共に君が大好きだった歌が聴こえ助手席に視線を向けるが見えたのは、白の花束だけだった。そんな訳ないよな。そう思い直し、再び車を走らせた。到着した場所は俺たちの街を見渡すことが出来…続きを読む
※闇日記の閲覧には、閲覧者様によっては思いもしない恐怖が待ち受けています。一切の責任を負いかねますので充分にご注意ください。(ふぁ~。昨日は遅くまで飲みすぎたわ。)欠伸をしながら、職場の扉を潜る。ご主人様を今か今かと待っていた忠犬かのように凄まじい勢いで誰かが近づいてきた。「知ってます!?昔に流行った前略プロフ運営中止になるんですよ!」おはようの挨拶よりも先に興奮気味に後輩が言った。「…………前略プロフ?」まだ眠い頭を奮い起こして考える。「あ、高校の時に流行ったやつ?リンクにblog載せたり。」「そうです!!!みんなに…続きを読む
仕事終わりに携帯を見ると、【新着メッセージ】ドキドキさせながらパスワードを入れた。彼が好きな曲の歌詞に出でくる数字を。《 0 1 0 3 》------------------------< 今日の夜、何してる? 20:30-----------------------そのまますぐに返事を返した。------------------------ 今、仕事終わったところ> …続きを読む
深夜の着信の音で起き、眠たい目を擦りながら、通話ボタンを押す。電話の向こうから、鼻を啜る音、異様な静けさに数秒の無言も数時間のように感じる。やっと発された言葉に頭が真っ白になり、その後は、何も入ってこなかった。電話を切り、最低限の物を鞄に詰め込み、車に乗り込んだ。じめっとした外気温と車内の温度差で、フロントガラスが曇っていく。通り慣れたはずの道が知らない道のように永遠に続くような気がした。裏口に入ると、来るのを待っていてくれた母と気持ちが悪いくらい静かな廊下を一言も話すことなく歩き、待合室へ…続きを読む
「今日も1日間疲れたわ~」帰ってきて一目散に冷蔵庫を開ける。プチュッ化粧も落とさずに缶ビールを一気に飲み干す。「あー!!!美味い!!!」部屋着に着替え、ビニール袋の中から買ってきたツマミをテーブルに出す。「何飲もっかな~♪」また冷蔵庫からビールを取り、片手に持ちながらお酒の入っているキッチンの棚を開ける。ウィスキー焼酎日本酒…「……ん?あれ?こんなのあったっけ?」《ブルーベリーヨーグルト酒》「あと半分だし、とりあえず飲みきっちゃう…続きを読む
8月半ば暑さが続く中電車を乗り継ぎ、1時間かけて東京から茨城へ。久しぶりの実家に着き、一息つこうと、タバコを咥えると母から外で吸えと言わんばかりの圧を感じ、渋々外に出る。キュポッタバコに火をつけ、灰皿を探していると、隅の方に忘れ去られていたかのように置かれていた。(もうこの家には、吸う人いないだった。)そんなことを思いながら、思い出したのは2年前に亡くなった父。父が生きていた頃は、部屋でタバコを吸っていた。母からは「外で吸って!」と何度も言われたが、ヘビースモーカーだった父は頑なに拒み続け、毎回喧嘩…続きを読む
「パパ、ママ、見て!」無邪気な声が聞こえ、温かい幸せな風景。わたしは、月見草。人目につかず、ひっそりと咲く花。無言の愛を捧げ、傷を癒す。それがわたしの役目。わたしがあなたのもとへ来たのは、あなたが大学生の頃。クリスマスのプレゼント交換でわたしを引き当てた時。あの時のあなたは、真っ白な背景にひっそりと咲くわたしを見て、「こんなの使わねーよ」って、言ってたね。その言葉にショックを受けて、使われることはないんだって思ったよ。棚にあるたくさんのマグカップ。その中で、青い背景に白い文字でSと書いてあるマグカップがあなたのお気に入り。…続きを読む