誰 か の 幸 せ を つ く り た い 。ま っ す ぐ 生 き て い き た い 。
コメントできません、すみません…💦
挿絵を頂きました!ありがとうございます。
❀TiLAさま 『海風と君の顔』 ❀ちょこりんこさま 『「愛」とはまだ呼べない』
❀ゆにおさま 『海風と君の顔』 ❀あっきゅんさま 『海風と君の顔』
❀911さま 『「愛」とはまだ呼べない』 ❀liuさま 『サザンカ』
❀M O Hさま 『サザンカ』『遊覧船乗り場』『海風と君の顔』
YOASOBI、ずっと真夜中でいいのに。、Ado…さんが好きです。
コメントをくださる方、いつも読んでくださっている方には本当に感謝です♪
私の物語が誰かの心を温めたらな…と投稿しています。
深 い 話 は 書 け な い け ど 読 ん で く だ さ る 方 が 、H a p p y に な り ま す よ う に 。
暗闇の中、荒い息遣いだけが聞こえる。握りなおした拳は、戦っている誰かの頬のギリギリを突き抜けた。ボヤ…とする視界を頼りに、自分は誰かと戦っている。なぜ、戦っているんだろう。誰と、戦っているんだろう。ここは、どこだろう。湧き続ける疑問を何処かに捨てて、唾を飲み込む。ただ理由のない正義感だけあとからあとから脳内に湧いて充満する。こいつを、倒さなければならない。自分は、勝たなければならない。ガスッと不快な音がした。相手の蹴りが自分の左頬から上をなぞるように蹴り上げたのだ。クッ…と声にもならない悔しさのに滲んだ言葉が息とともに出る。ぐっと再び握り直した拳を思いっ…続きを読む
皆、星を見上げる夜はある。✲✶✲(新しい転入先はここか…。)青空が映える白く新しい校舎は決して目に焼き付くようなものではなかった。転入を繰り返せば、嫌なほど知らない校舎の前に立たされる。ここでの人間関係も、とりあえず繋ぎとめるくらいでいい。いや、そうしなければいけない。そう心にとめなおして背筋を伸ばした。「えー…ご家族の事情でこの高校に転入することとなった…星宮莉桜さんだ。」「星宮です。よろしくお願いします。」これから共に過ごす、2年1組のクラスメイト達の前に立って軽く挨拶をする。担任は優しそうな顔をしていた。きっと、何事もなくやっていけるだろう。…続きを読む
「え、おばちゃん退職するの?」「もう年も年だしねぇ…。これからはお弁当だねぇ。」「もう給食食べられないの?おばちゃん、お願いやから私が卒業するまでは調理員さんやめないで!」昼休みは、ギシギシ音を立てる蒸し暑い校舎を出て、いつも調理員のおばちゃんのところにいく。ド田舎の私の高校でいつも給食を作ってくれるおばちゃんは、ちょっと遠い親戚だった。「高校で給食ってのも珍しいのよねぇ、真希ちゃんが入学する前から給食廃止の話は出てたのよ。」「お願い!私給食のためだけに学校に来てるの!」「何小学生みたいなこと言ってるのよ。」そのとき、予鈴が鳴った。いつもみたいに、おばちゃんは「午後の…続きを読む
高校2年生、ベランダでただ夜に飲まれる。星は眩しい。月は美しい。ただ、夜風だけが私を抱きしめる。全部が全部、綺麗なわけじゃない。瞬くスピカ。暗闇に浮かぶ三日月。そんなものと全然違う、自分。比べれば比べるほど、全部嫌いになる。自分が弱いって知らされる。自分が汚いって分からされる。一生懸命やれよ、とか。まだ頑張れただろ、とか。うるさいよ。頑張りたくても頑張れないの。藻掻き続けて、真っ直ぐ進めないの。ほっといてよ、でも独りにしないでよ。矛盾だらけで曲がってて、そんな自分が一番嫌い。嬉しい時は一緒に笑ってよ。寂しい時はそばにいてよ。悔しい時…続きを読む
カウントダウンが始まる。夏らしい提灯は徐々に明るさを落とし、とうとう光を失った。全ては、この大きな花火のためだ。暗い方が、美しく映えるだろうと出店も消灯する。「ねえ…花って華とも書くよね。意味的にも似てるよね。」「確かに…それがどうした?」「花火も…華火って書いた方が綺麗だったのかなぁ…って。」「綺麗?」彼は浴衣姿の私と暗闇の中で、小高い丘の上のベンチに座っている。言葉が届くだけの、じめじめとした暗闇の中で会話だけが進む。「なんとなく華っていう漢字のほうが美しさとか華麗さとかを感じるっていうか…。」「まあ、確かに華に比べると花は素朴な感じもするな。」「だから…華のほ…続きを読む
…―美保目線。「あ、風磨先輩。雨に濡れて服がビショビショになったから傘に入れて♪」「…全然懲りない。相合傘はしないから。」相沢美保。家は坂の上にある。朝は下って、帰りは上るのが日課のようなものだ。そしてもう一つ。私には日課がある。それは、一行風磨に絡むことである。小学生の頃は年の差は気にせず遊ぶ、楽しい幼馴染だった。だが!馴れ馴れしい私を避けてか、先輩をつけて呼べ、と言ってきた風磨は最近全く相手にしてくれない。2歳差なのに、少し距離を感じ始めて、寂しくなってしまっている。「えー、なんで。前言った言葉を忘れたの⁉」「…ハイハイ。これ貸すから。」トン、と折り…続きを読む
「38万キロって何のことか分かるか?」佐川先輩はオレにそう訊いた。スパイクを履きながら少し考える。「月までの距離のことだよ。」白い歯を二ッと見せて笑う先輩、佐川先輩はこの高校の陸上部の部長である。バトンを強く握りしめて、誰よりも速く美しく走る。オレはその一つ下の2年。佐川先輩たちの引退までほんの2カ月ほどしかなかった。「俺は、月まで走ってみたいんだ。38万キロ、伏見も走ってみないか?」「え!?何年かかると思ってるんですか。走るのは好きですけど…。」「俺ら3年は23人で今まで1年間一人一日10キロ走ってきた。一日も絶やさず…みんな、俺のこの目標のために。」月まで走…続きを読む
きっと、この人の胃袋を掴むのは宇宙1難しい。「…お兄ちゃんのでよければどうぞ。」「じゃあお言葉に甘えとく。」料理部部長の春雨拓海先輩を家にかくまったのには理由があった。集中豪雨である。それに加え、意外とボーっとしているこの先輩は鍵を家の中に置いてきたので玄関前でびしょ濡れで立っていたのだ。一応幼馴染くらいの立場にある私に「助けない」という選択肢はなかった。そして、兄・高明のほとんど来ていないTシャツを持ってきた。家の中は薄暗く、雷の音だけがそとでとどろく。「あの…春雨先輩。鍵を家の中に置いたのに気づかず登校したんですか?」「仕方ない。ゴッホにお好み焼きをあげていた…続きを読む
今日も雨は降っていた。かなり強い酸性雨だ。日記を薄暗い部屋でまとめ、古くなってギシ…と音を立てる引き出しにしまった。この街も、いずれなくなってしまうのだろう。すべて、酸性雨に溶けて。レイ・モーガンはぬるめのミルクを啜って、革で出来た服を着た。母の形見の勾玉のような首飾りを、頭から提げて、ショートの髪の毛を木の櫛で梳かした。人間が、環境破壊を始めてから200年余り。世界は、降り続ける酸性雨による食料の凶作、建築物の融解などで大きな打撃を受けた。人間は宇宙に生存基地をつくり、母なる星を捨てていった。地球に住む人間は、もう2億人程度だった。「レイ、酸性雨の今日の状況は?」「ph…続きを読む
優しい、音がする。静かな草叢の中のペンペン草の音だ。その音に、目を伏せる。その音は、あなたが呼んでいる証拠だから。❀隣の家に住んでいる、大智は私より4つも年が上だった。小学生の頃、お姉ちゃんと同い年だったから仲良くなったのだ。私が小5だったときに、彼はペンペン草の鳴らし方を教えてくれた。『ほら、かわいい音だろ?』『…全然できないよ。てゆーか、大智は受験勉強をしなよ。』『ふーん…小5のナズナには難しかったんだな。』『コドモ扱いしないでよっ。』ペンペン草の正式名称は私の名前と同じ「ナズナ」だった。お姉ちゃん・梓《あずさ》は文武両道、眉目秀麗、品行方正。ムズ…続きを読む